18歳から考える 建築家として独立する為の77

 

 18歳から考える 建築家として独立する為の77

 

 

18歳~21歳 大学生の内にすべき事


1  建築を見て周る。

2  海外を旅行する。

3  ホームページを作るスキルを、身に付ける。

4  英語を話す。留学する。

5  設計事務所でバイトをする。

6  写真を撮る。

7  CADを使えるようになる。

8  3Dソフトを使えるようになる。

9  伝わる模型を作る。

10 手書きのパースを書けるようになる。

11 宅建(宅地建物取引業法)の資格を取る。

12 インテリアコーディネーターの資格を取る。

13 建築基準法に、強くなる。

14 文章を、書けるようになる。

15 本を、沢山読む。

16 設計課題に向き合う。

17 人生設計をする。

18 構造に強くなる。

19 環境設備に強くなる。

20 年収について考える。

21 パワーポイント、ワード、エクセルを使う。

22 イラストレーター、フォトショップを使う。

23 夏休みを有効に使う。

24 材料工学とか、音響工学とか。

25 独立意識の高い友達を作る。

27 色々やってみる。

28 昔の建物に学ぶ。

29 生物について学ぶ。

30 インテリアに強くなる。

31 詳細図(矩計図)を書く。

32 意匠系研究室に入る。

33 何処に就職するか考える。

34 木造について考える。

35 鉄骨造について考える。

36 鉄筋コンクリート造について考える。

37 住宅について考える。

38 卒業設計に必死で取り組む。

 

 

22歳~28歳 設計事務所に入社


39 会社に入る。

40 経験と、知識を、積み上げる。

41 二級建築士を取る。

42 一級建築士を取る。

43 建材を知る。

44 ディテールを作る。

45 照明計画に強くなる。

46 外構・植栽計画に強くなる。

47 造作家具・建具に強くなる。

48 転職する。

49 人脈を作る。

50 経営を学ぶ。

51 自社のHPを作る。

52 親を説得する。

53 会社を辞める。

 

 

29歳 設計事務所で、独立する。


54 独立前に、長期休暇を取る。

55 社名を決める。

56 企業理念を考える。

57 ロゴ、名刺を作る。

58 営業を開始する。

59 信頼される事が重要。

60 融資関係に強くなる。

61 土地の提案に強くなる。

62 接客を身に付ける。

63 著作権について考える。

64 キャッチコピーを作る。

65 広告を打つ。

66 入札先を探す。

67 確定申告をする。

68 収入について考える。

69 結婚する。子供を作る。子供を育てる。

70 各種団体に所属する。

71 商品を開発する。

72 自分の家を建てる。

73 市場を分析する。

74 株式会社に変更する。

75 覚悟を決める。

 

 

はじめに・自己紹介

 

はじめまして。株式会社RC design studioの代表取締役社長、澤田友典と申します。2017.3現在39歳のオヤジです。私は現在、富山県で建築設計事務所を、営んでおります。27歳で独立したのですが、本当に右も左も解らず、やってきました。独立当初、独立の参考になる本は、一切、有りませんでした。私は、手探りで、自分で戦略を考え、失敗し、分析し、改良していました。いわゆるPDCAサイクルですが、そんな基本的な言葉すら知らず、ただがむしゃらにやっていました。

 

私が建築家を目指したキッカケは、私が中学生だった頃に、実家を新築した事です。家が作られていくという、なんとも言えない感動を、目の当たりにしました。それ以来、私は、建築家になる事を、目標にやってきました。

 

「建築家として独立する」という目標は立てたものの、大学生時代にどのように、取り組んで良いのか、全く分かりませんでした。とりあえず、本を読んだり、建物を見に行ったりしましたが、それが建築家になる為に、どのように役に立つのか、全く分かりませんでした。「大学に行って、目の前の課題に取り組む」それが、当時の私に出来る、全てでした。

 

千葉の大学を卒業する時に、私は、就職先が、決まっていませんでした。設計事務所の就職活動は、卒業後に行うのが一般的だと、思い込んでいました。就職先が無いので、大学卒業時、選択肢は、実家に戻るしかありませんでした。

 

実家の富山に戻って、出来る範囲で就職活動を始めました。大手ハウスメーカーと、地元の中規模(6人)の設計事務所に、求人が出ていたので、話を進めました。ハウスメーカーの方は、独立志望の私には、選択肢に無い就職先でしたが、母親が「あんた、そんな我儘ばかり言って!なんでも経験やちゃ(富山弁)」と強く言うので、仕方なく面接に行きました。面接で話を聞くと、もしかしたらハウスメーカーに就職しても、良い経験になって、独立の役に立つかもしれない、そう思い、就職を検討する事にしました。

 

設計事務所の方は、電話口で、経験者しか募集していないという事で、断られました。しかし、会うだけあってほしいと、交渉して、なんとか面接してもらえる事になりました。作っていったポートフォリオを見せると、割と好印象で、「良くプランニング出来ている」と褒められました。合否の結果は後日という事でした。

 

ハウスメーカーの方も、同時進行です。筆記試験、支店長面接とクリアして、北陸の人事責任者と会う事になりました。人事責任者は、結構強めの言葉で、私を揺さぶってきました。「理数系の人って愛想が無いとか、私の事を、設計者タイプだから、接客は出来なさそうだの」言い過ぎない程度に、明らかにプレシャーを掛けてきます。私は、その揺さぶりに対して、上手く切り返しが出来たらしく、次は社長面接になりました。しかし、ハウスメーカーの社長面接の前に、設計事務所の方が、採用が決まり、ハウスメーカーの方は断りました。年収は倍くらい違いましたが、当時、私は、あまりお金に興味がありませんでした。実家暮らしだったので、生活費に困る事も無いので、迷わず設計事務所に勤める事を決めました。

 

そうして、その会社に5年間勤めました。入社当初から、図面書きだけではなく、デザインにも積極的に関わらせて頂き、5年後(27歳)には、自分一人で設計を出来る、自信が付いていました。入社当初、手取りで12万円だった給料が16万円(+残業代が5万程度)になっていました。会社がお客様から頂いていた設計料と、自分の給料を比べて、これなら自分で遣った方が、儲かると思いました。又、お金の問題ではなく、当時、独立する事に対して夢が膨らみ、どうしようもなく、自分でやってみたいと、思うようになっていました。

 

独立後、解ってはいたのですが、仕事が全くありません。よく、友達の家を依頼されたのを機に独立した。という話を聞きますが、私には全く当てがありませんでした。仕方が無いので、戦略を考えて「富山県内の工務店や、ゼネコンに設計の下請けをやります」という内容のメールを送り、書類でも同じ内容を郵送しました。その内の何社かから、反応があって、お付き合いが始まりました。次第に、HPから仕事を受注出来たり、知り合いから仕事が回ってきたりしました。しかし、仕事の大半は、工務店の協力会社(下請)という立場から、抜け出せずにいました。

 

このままではいけない。そう思い、独立5年後に、自分の自宅兼事務所を、建てる事を、決意しました。当時、結婚は、していませんでしたが、「事務所を借りるくらいなら、住宅ローンを払って、建ててしまった方が、会社としてもアピール出来る」と思い、決断に踏み切りました。

 

その時、どのような建物にするか、考えに考えました。色んな本を読み、見てきた建物を振り返り、会社のその後の戦略を考えました。その過程で、保険の事、土地の事、ローンの事、等、色んな事を、深く知る事が出来ました。

 

そうして私は、鉄筋コンクリート造で自宅兼事務所を建てました。するとどうでしょう。今まで、ほとんど自分では受注出来なかったのですが、少しずつ自社で、受注出来るように、なっていきました。自分自身が、鉄筋コンクリート住宅に住んでいるので、鉄筋コンクリートで住宅を建てたい人が、お客様として増えてきたのです。しかし、逆に、木造で受注するのが難しくなっていきました。特色を出すというのは、特色以外のものが売れなくなると、想像は付いていましたが、現実として体験しました。

 

鉄筋コンクリートの自宅兼事務所を建てて、しばらくは、鉄筋コンクリート住宅を自社で受注しならが、木造や、鉄骨造の建物を、建設会社の下請けとしてこなしていました。しかし、会社の状態が、はっきりしないと思い、私は腹をくくりました。鉄筋コンクリート建築専門の設計事務所に変更したのです。自宅兼事務所を建ててから、5年後の事です。社名も「studioそら一級建築士事務所」から「株式会社RC design studio」に変更しました。この本を書いている2017.3現在で社名変更から半年が経ちましたが、特に変化はありません。まさに、今年は勝負の年です。本を書いている暇があれば、HPを直した方が良いのですが、何となく書き出したので、この本が書き終わったら、HP改修に取り組みます。勿論、本を書く事は、自分自身の事業を見直す事に繋がり、私にもメリットがあります。

 

この本は、私が、建築家を目指してから、向き合った事を、要素として分割したものです。その要素(項目)を、一つずつ見て頂く事で、設計事務所として独立するには、どの様な、知識やスキルが必要か、解る本にしました。私は、全く解らずに暗闇を走って来ましたが、この本が、あなたの暗闇を照らす、小さな懐中電灯になれば幸いです。

 

 

18歳~21歳 大学生の内にすべき事

 

大学生は、建築に対する、熱い思いを溜め込む時間です。色んな建築を見に行って、刺激を受けましょう。色んな事に、積極的に参加し、見聞を広げましょう。大学で、学ぶ事は基本的な事なので、建築家として独立するのであれば、必ず役に立ちます。楽しみながら、学びましょう。


1 建築を見て周る。

 

「建築を見て周りなさい」大学一年生の時に、教授に言われた、記憶があります。建築MAP東京/ギャラーリー・間を片手に、週末に、友達と東京へ建物見学に行ったのを、覚えています。建築の勉強は、まず、触れてみる事から始まります。色々見て、感じる事で、次第に、自分の好きな建築というものを、作っていきます。感動できる、建築に出会う事も重要です。世の中には、身震いする程、感動できる建築があります。そんな建築に出会った時、建築家になりたい、と明確に志せるのです。

 

まずは、自分が感動できる建築を探しましょう。探して、探して、探して、探しましょう。建築が好きになれば、これから独立に向けて、あなたに襲い掛かる、困難にも立ち向かう事が、出来るでしょう。学生時代にすべき一番の事は、建築を見て周り、自分の好きな建築を見つける事なのです。建築を見て周るのは、学生時代だけではありません。就職してからも、独立してからも、見て周ります。しかし、時間的に、一番見に行けるのが、学生時代なのです。時間がある限り、建物を見に行きましょう。その積み重ねが、独立する事に繋がります。

 

私が見た中で、一番感動したのは、ローマのパンテオン神殿です。なんと、屋根の中心に穴が開いていて、礼拝堂に雨が入ってきます。礼拝室が日時計になっていて、12時に、キリスト様の後ろに光が集まる仕組みになっています。その時、感動で胸が打たれました。あなたも、そんな感動できる建築を、自分の足で、探してみて下さい。

http://st-sora.jugem.jp/?page=16&cid=38292(私のローマ旅行記です、お暇な方は是非)


2 海外を旅行する。

 

海外を旅行すると、多くの刺激があり、建築家としても経営者としても、得られるものは多いです(建築家として独立するという事は、経営者になるという事です)。異文化に触れる事は、デザイン的に刺激になると共に、多様な視点を養う事に、繋がります。経営者は、物事を多角的に分析する必要があり、その訓練に海外旅行は最適です。一人旅の方がベターです。ツアーと違い、困難が降り掛りますが、自分なりの発想で問題を解決する事は、経営者として、とても貴重な経験になります。

 

僕は20歳の時に、初めて、フランスとスペインに、海外旅行に行きました。大学主催の旅行で、アントニオ・ガウディとル・コルビュジェの建物を巡るツアーでした。毎日、ワインを飲んで、美味しいものを食べて、最高の旅行でした。中でも、コルビュジェの建物に出会えた事が、私の建築家になるという思いを、決定付ける事になり、建築家としての分岐点となりました。

 

ラトゥーレット修道院や、ロンシャン教会の、光と影が作りだすリズミカルで粗野な空間に魅了されました。私もこんな建物が作れたら、どんなに良いだろう、建築を学び始めて二年目でしたが、それまで見た事のある建物とは、全く異質な、私に訴えかけてくる「何か」によって、私は、完全に建築の虜になりました。建築の虜になった私は、それから時間が出来れば、建物を見て歩き、「建築が好き」という、思いを高め続け、独立するに至ったのです。学生時代は、夏休みがとても長いです。社会人になったら、そんなに長い、休暇はまず作れません。バイトでお金を作り、出かけられるだけ海外に出かけましょう。その経験は、建築家・経営者、両方にプラスになります。


3 ホームページを作るスキルを身に付ける。

 

大学生時代の内に、HPを作る技術を身に着けるべきです。建築設計事務所は、あまり儲かりません。なので、独立当初は特に、会社絡みの全ての事を、自分でやらなければなりません。その最たるものが、HPです。

 

HPは、制作を依頼すると簡易なもので20万程度、コンテンツを充実させると、50万円は掛かります。そんなお金、独立当初に作り出せるはずがありません。しかも、仮に依頼したとしても、HPにもっとも大切な、「売り方、ページ構成」の部分は、HP制作会社ではなく、自分で考える必要があります。

 

HP制作外会社の人は、設計事務所の事は良く解っていません。建築業界の事を、詳しく知らないので、売り文句も考えられないし、顧客像も見えていません。せいぜい、売りを絞る特化型HPを推奨してくる程度です。つまり、HP制作会社は、デザインは出来るが、コンテンツ・文章・HP戦略は、こちら側にお任せの状態なのです。これでは、HPを依頼するメリットが少ないです。

 

では、どうするかと言うと、自分でHPを、作るしかありません。近年、HP制作ソフトの発展は目覚ましく、誰でも簡単にHPを作れるようになりました。独立した若手の設計士は、私の知る限り、皆、自分で作っています。

 

HPのデザインも重要ですが、コンテンツを充実させたり、最新情報をアップし続けたりする事の方が重要です。何時みても、代り映えのないHPでは飽きられます。ブログの更新は勿論、自主制作の強みを生かし、新コンテンツを出し続けるのが大切なのです。

独立した時に、本格的な自社のHP制作に臨む前に、学生時代に、自分のHPを製作してみましょう。作る時は、デザインを重視するのではなく、内容を吟味してほしいです。どのようなHPにすると、アクセス数がアップするのか分析し、改良を重ねましょう。FacebookやTwitterと連携し、色んな窓口からHPに誘導するのも、試してみましょう。

 

個人的なオススメのHP製作の練習方法は、HPで実際に商品を売ってみる事です。モノを販売するという事が、どういう事か、実際に体験できるし、収入も得られます。建築関係の海外の建物を紹介しながら、アフィリエイトしても面白いと思います。アクセス数アップを狙い、海外旅行に行った情報をブログ化し、HPに誘導しましょう。海外で見つけた面白いアイテムを、売るのも面白いです。

 

私は、23歳の時に、日本中の建物を紹介するサイトを作りました。当時、個人サイトを持っている人は、ほとんど居ませんでした。富山の情報誌に紹介されたりもしました。しかし、雑誌に取り上げられる事よりも、自分のサイトを通じて、個性的な知り合いが増えていった方が、私にとって意味がありました。独立を、後押してくれたのも、そこで知り合った友達です。

 

私が言いたい事は、行動する事で世界が変わるという事です。HPを作るという事は、自己発信する事です。情報を発信する事で、反応を作り出す面白さを、ぜひ体感して下さい。私は、WordPressで会社のHPを作っていますが、Wixとかでも、近年、実に簡単にHPを作れます。まずは、何かテーマを見つけて、思いのままに、作ってみましょう。考えるより、やってみた方が早いです。とりあえず、深く考えずに、簡単なサイトを作ってみて下さい。


4 英語を話す。留学する。

 

英語が、設計事務所に就職するのに、どの程度、重要視されているか調べてみましょう。WEBで設計事務所の募集要項を、覗いてみましょう。応募資格の欄に、実務経験、建築士の資格の他に、英語、中国語が話せる人となっています。近年、組織系設計事務所、有名アトリエ設計事務所は海外で、多くの仕事を受注しています。建設業界は海外進出に力を入れていますので、各社、英語を話せる人のリクルートに力を入れています。今後、世界が国際化していく中で、英語ぐらい話せて当たり前の世の中が、もうすぐ、そこまで来ています。

 

しかし、実務レベルで英語を話せる人は、まだまだ日本には少ないです。これはチャンスです。英語を話せれば、希望する設計事務所に入れる率が、ぐんと上がります。就職活動中の3.4年生は忙しいと思うので、1.2年生の内に、英語を話せるようになりましょう。オンライン英会話等、昔に比べると格段に、話せるようになる学習方法が整っています。DMM英会話は、毎日25分、ワンツーマンでレッスンして、4950円です。継続して勉強すれば、話せるように、なるのではないでしょうか。

 

ちなみに、地方の設計事務所では、2017年の現段階では全く英語は必要ありません。商圏がそもそも県内や隣県であるので、当然ですが、お客様は、皆、日本人です。私の経験では、一度だけ、インド人のお客様がいましたが、相手が日本語を話していました。しかし、近年、富山県でも、観光地には外国人が増えました。その影響で、スタッフの外国人化が進んでいます。建築現場でも外国人の労働者を、たまに見かけるようになりました。東南アジア系の人でしょうか。日本人が嫌がる、辛い重労働の仕事をしてくれる、海外の人材を確保する為に、建築業者も海外まで出向き、リクルートする時代になっています。将来的には、地方設計事務所業界でも、英語が必要になってくるでしょう。

 

このように、建築業界も、英語が必須になりつつあります。正直、私は地方の人間なので、ビジネス英語の普及具合が、解っていません。しかし、楽天、ファーストリテイリング(ユニクロを展開)、アサヒビール、シャープ、武田薬品工業、三井不動産、三井住友銀行、三菱地所、三菱商事、日立製作所、日本電産、が英語公用語化を発表しています。又、公用語でなくても、給料に影響する会社は多いでしょう。この傾向が、年々強まるのは、世界の動きを見れば、必然です。英語は、学生の皆様が、何が何でも、マスターすべき言語なのです。

 

英語をマスターするには、やはり留学がベストです。どっぷり英語に漬からなければ、本格的には話せるようになりません。さらに、留学すると、日本を離れ、日本を外から見て、日本人はどうしていくべきか、考えられる人材になります。そうしたグローバルな視野を持つ人材を、これからの企業は、獲得したいのではないでしょうか。

 

日本経済は、日本の人口の減少に伴い、今後益々縮小してゆきます。そうした流れの中で、企業が発展途上国に市場を求めるのは、当然であり、その流れは経済発展と密接な関わりがあります。そして、その流れは建築設計事務所業界にも顕著に表れているのです。しかも、インターネットで最新の情報は、英語で発信されます。又、英語で検索できる情報量と、日本語で検索できる情報量は10倍違います。グローバルなビジネスマンは、英語で、ネットで情報を収集する必要があるのです。急いで、全力で、英語を勉強して下さい。英語が話せるだけで、独立への道のりが、随分楽になります。


5 設計事務所でバイトをする。

 

設計事務所で、模型の制作を、バイトに任せている所は、意外と多いです。私が大学生時代、模型のレベルの底上げをしていたのは、そうした設計事務所に、模型のバイトに行っていた人達でした。彼らに、教えてもらって、私も模型のスキルが上がったのを、覚えています。

 

模型のバイトに通うと、大学生の段階で、プロの設計事務所の雰囲気を、直接肌で感じる事が出来ます。スタッフの方に進路の相談に乗ってもらっても、良いと思います。相談に乗らない人は、あまりいないでしょう、むしろ相手にとっても、良い刺激になるはずです。まれに、バイトから正社員になれるケースもあり、棚から牡丹餅です。正社員になれなくても、模型のバイトに通っていた実績は、就職活動で有利な実績です。是非、模型のバイトをしてください。

 

私も大学生の頃、模型のバイトに行きたかったですが、バイト先が見つかりませんでした。模型のバイトは新規採用より紹介がメインで、紹介以外の方法で、バイトを探す方法が、当時、良く解りませんでした。会社を経営する立場になると解りますが、バイトの採用は紹介が一番無難です。最低限の、人格が保障されていますし、なにより引継ぎがスムーズです。何人も、面接したりしなくて済み、面接経費という人経費削減にもなるのです。

 

となれば、設計事務所に模型のバイトに潜入するには、紹介が一番良いのだが、そう上手くいかないケースが殆どだろう。今の時代なら、バイトの採用をWEBで募集しているので、HPを閲覧して、片っ端からメールや電話すれば、模型のバイト先くらい、見つかるのではないだろうか。

基本的な話だが、メールを送るのであれば、相手に、こちらを採用させたいと思わせる、一工夫が大切です。この「一工夫」というやつが、人生を成功に導きます。自分の制作した模型写真くらいは添付しましょう。意欲的な人に、バイトをお願いしたいと、会社側は思っているものです。

 

悔やむべき事に、当時の私には、どんな会社か解らない、設計事務所に、片っ端から、バイトの募集をしていないか、電話する勇気も行動力もありませんでした。「行動力」は、起業するのにとても大切な能力です。私が当時、行動していれば、結果が変わっていたかも、しれない訳ですから。

 

あなたは、坂本龍馬を知っているだろうか。龍馬は、時代に影響されない、広い視野で時代の先を見て、薩長同盟を成し遂げ、大政奉還の成立に尽力した人物です。つまり、江戸幕府を倒し、明治政府を樹立した立役者です。彼が持っていた能力が「分析力」「企画力」「行動力」です。

 

「分析力」「企画力」「行動力」は、会社を設立して、事業を成功に導く為に、無くてはならない能力です。市場を分析して、何が足りないか発見し、それを補う企画を立案し、それを実行する。会社はこの、事業の繰り返しによって、成立しています。「行動力」是非、磨いてほしいです。

 

坂本龍馬の人物像は、起業者にとって、参考になります。是非、本を読んでみて下さい。視野の広さ、行動力に感動して涙が出ます。

 

お~い!龍馬/原作:武田鉄矢 作画:小山ゆう

龍馬伝/司馬遼太郎


6 写真を撮る。

 

私が通っていた、大学の研究室では、写真を撮るのが日常で、写真の現像も研究室で出来ました。自分で撮った写真を、自分で現像するのは、中々に興味深く、面白いです。カメラの講義が、どの程度あったか覚えていませんが、カメラは「習うより慣れろ」です。基本的な事は、本に書いてあるし、建築写真に限定すれば、構図が全てです。建築写真の構図は、写真の水平と垂直さえ注意すれば、後は練習あるのみです。

 

住宅の場合、建物の内観撮影は、10mm程度の超広角レンズが必要です。可能であれば、学生時代から、超広角レンズに慣れたい所です。独立したら、建物の竣工写真は、とても重要です。竣工写真を見て、お客様は依頼してこられるので、写真の良し悪しが、直接売り上げに影響します。本来は、プロのカメラマンにお願いするのが一番ですが、住宅程度でも、5~10万程度は必要であり、独立したばかりの経営状態では、中々、プロには頼めません。又、外観写真は青空が映えるので、天気に合わせて撮る場合は、自分で撮るのが一番です。

 

つまり、将来的に広告に使えるレベルで、自分でも写真が撮れるようになる必要があるのです。大学生時代から、旅行に出かける時に、一眼レフで写真を撮るようにしましょう。その練習の積み重ねが、将来、自分の会社のHPに載せる、竣工写真のクオリティを上げる事に繋がります。そして写真のクオリティが上がれば、自社の売上も上がるのです。


7 CADを使えるようになる。

 

2017年現在、ほぼ全ての建築設計事務所が、CADで図面を書いています。手書きの図面は、絶滅しました。CADのスキルは、将来、絶対必要ですし、かなり高度なレベルで、使いこなす必要があります。プロの作図スピードを見たら、驚くと思います。ショートカットキーを多用し、マウスを連打します。大学生の間は、そこまで、早い作図のスキルは、必要ないと思いますが、少なくともCADで作図は出来るようになっておくべきです。大学のCADの授業は、レベルが低いので、自分で勉強した方が、効率が良いでしょう。世の中には、教科書より、勉強するのに適した本が、沢山あります。しかし、本を選ぶ時に問題になるのが、そもそもどのCADで勉強するのが、一番メリットがあるのかという事です。正確なシェアが報告されていませんが、シェアの一番は、フリーソフトであるJww-cadです。次にAuto-cadや、Vector worksが挙げられます。二次元の図面を書く性能に限定すれば、どのソフトも大差ありません。二次元の図面のプレゼン性能で言えば、昔は、Vector worksが優れていましたが、今は大差ないと思います。

 

構造事務所、設備事務所、工務店、ゼネコンの多くがJww-cadを使っています。Jww-cadは、地方では圧倒的なシェアを誇りますが、都市部を中心としたアトリエ系設計事務所では、Vector worksが使われているケースが多いです。アトリエ系建築設計事務所は、プレゼンに力を入れる業界なので、Vector worksが普及しています。店舗業界にも、Vector worksを使っている人が、多いような気がします。Auto-cadは、どちらかと言えば、大手設計事務所で使用されているイメージです。

 

私がオススメするのは、Jww-cadでの勉強です。Jww-cadのスキルは絶対に無駄になりません。就職後、幾つかの設計事務所を渡り歩けば、何処かの設計事務所は、使っていると思います。又、3次元CADやBIMをメインで使っている会社は、併用して、Jww-cadを使っているケースが多いです。これは、他の設計事務所から転職してきた所員が、3次元CADに慣れるまで、Jww-cadを利用しているケースです。しかし、結局、三次元CADを覚えず、Jww-cadしか使わない事も、良くあります。この様に、Jww-cadは、非常に使い所のあるソフトです。しかも、フリーソフトでWEBからダウンロードするだけです。学生でも、簡単に手に入ります。Jww-cadの作図スキルを、是非とも、獲得しましょう。

 

CADは、書けるようになるだけなら、意外と簡単です。パソコンに慣れている人なら、3日もあれば、書けるようになります。本屋で、Jww-cadの製図の本を買って、参考例をCADで書き終わる頃には、大体はCADが使えるようになっています。後は、早く書くために、練習あるのみです。

 

私が就職した2000年は、手書き(ドラフターで書かれた)図面がまだ、辛うじて存在していました。所長が書いた、手書きの図面をCADデーターに直すのも、新人の仕事でした。初めて見た、所長の手書きの図面は、味わい深く、美しく、感動しました。しかし、そうした図面も、もはや過去の産物です。

 

CADは手書きに比べ、変更が容易だし、メールに添付出来るし、データーは共有出来るし、着色が簡単だし、手書きに比べ優れた点が多いです。手書きで図面を書ける必要は、実務には必要ありません。必要なのは、一級・二級建築士の二次試験の時くらいでしょう。しかし、厳密に言うと、建築士の試験は、ドラフターを使わないで、手で直接書いても問題ありません。

CAD図面(作図中、パソコンモニターで見ている図面)は、スケール感覚が無い事が良く問題視されます。スケール感覚とは、図面上のサイズと、実際のサイズを、感覚的にリンクさせる事です。慣れてくると、図面(出力された図面)を見ただけで「ここ、ちょっと狭いな・・」とか、感覚的に、解るようになります。パソコン上のCADの図面では、このスケール感覚が、解りにくいのです。なので、年配の設計士は、若い設計士に「手で図面を書かないと、スケール感覚が身につかないぞ、いきなりCADで書かずに、下書きをドラフターでしなさい」と諭すのです。まあ、間違っていませんが、私は、現在、ドラフターで下書きはしていません。面倒臭いので(笑)。学生の頃は、スケール感覚を磨く為に、ドラフターで下書きをした方が良いと思います。

 

参考に、私は、どのように設計しているかと言うと

①ゾーニングを、簡単に行う。

②ラフ平面図、ラフ立面図、ラフパースを作成。(手書き)

③3DマイフォームページデザイナーPRO(プレゼンソフト)でラフにデザイン。

④ラフ模型1/50

⑤他の方向性を探り、①~④を繰り返す。

⑥しばらく、別の事をして、新鮮な気持ちでプランを見返す。

⑦プランの脳内熟成。プラン変更等。

⑧プランが固まれば、CADでプレゼン図面を作成。

⑨3Dマイフォームページデザイナープロで、プレゼンパースを作成。

⑩模型製作(1/50)。内部の間仕切りも制作。

 

といった感じです。住宅の場合は、上記を1~2週間で行います。デザインの仕方は、人それぞれです。自分なりの、デザインの仕方を見つけましょう。


8 3Dソフトを使えるようになる。

 

3DCGソフトを使えるのは、独立する設計者にとって、最低限必要なスキルです。ですので、学生の時から、勉強していく必要があります。実務では、CGパースのクオリティによって、施主に与える印象が、大きく違ってきます。

 

とは言え、小規模な住宅や、事務所の提案には、スピードも大切です。現実的には、1日くらいでCGパースの作業を、終わらせる必要があります。モデリングから、じっくりやっている暇はありません。そうなると、3ds max、shadeといったモデリングソフトではなく、平面図データーを入力すると、自動的に立体が立ち上がるような、連動型のソフトを使う事になります。ARCHICADやARCHITREND、3DマイホームデザイナーPRO、といったソフトです。これらのソフトを使えば、住宅程度であれば、一日で、外観と内観のパースを作れます。

本格的なパースは、パース専門の会社に、外注するのが一般的です。餅は餅屋です。しかし、HPにしても、写真にしても、同じ事ですが、小規模な設計事務所には、お金に余裕がありません。所員もいないので、自分でやるしかありません。私は3DマイホームデザイナーPROを使っています。価格が15万くらいで、バージョンアップする費用も必要です。もう少し、高価格のソフトを利用したい所ですが、当社の経営状態では、手が出ません。パースをメインに置かず、模型をメインに据える事や、手書きパースで対応しています。

 

その他、色んなCGソフトがありますが、学生の方には、まずは、基本的な、モデリングソフトからスタートしてほしいです。費用の事を、合わせて考えると、皆様ご存じのSketch UPから、スタートしても良いかもしれません。可能であれば、レンダリングプラグインで、本格的にパースを仕上げる所まで、辿りついてほしいです。そこまで辿り着けば、地方設計事務所であれば、喉から手がでる程、欲しいスキルを、あなたは手にいれています。地方事務所の所員で、本格的な3Dパースを作れる人は、ほとんど居ません。都心部でも、そんなに多くは、いないのではないでしょうか。高度に3Dパースソフトを使える事は、即戦力の人員であり、就職に大変有利なスキルだと言えます。

 

2000年の、私の時代ですら、3Dパースの得意な友達の所には、企業の人材担当者が殺到していました。3Dパースを、就職活動の武器にする方法は、効果的です。ただ、注意したいのは、パース要員として、設計事務所に就職してしまうと、パースばかり書く事になります。それでは、プランニングやデザインといった、自分で独立する為に、一番必要なスキルが身に付きません。あくまでも、プランニングを勉強できる会社に、就職すべきです。

 

別のメリットとして、本格的な3Dパースが書けると、独立したばかりの頃に、パースの下請けで食い繋ぐ事が可能です。3Dパース制作は、お金を作りやすいスキルです。しかし、一般的な設計事務所より、3Dパース制作会社の方が、儲かります。3Dパース屋さんにならないように、気を付けましょう。

 

パース屋さんでも良いかな、と思われた方は、パース屋さんを目指しましょう。正直、パース屋さんは、設計事務所より、独立しやすい職種だと思います。営業に回れば、単価はともかく、仕事は受注出来るでしょう。経営も安定しやすいでしょう。若いスタッフを何人も雇い、数年で経営を安定させているパース屋さんが全国的に、何社もあります。しかし、パース屋さんでは、建物が完成した時の「感動」が味わえないのです。

建築設計事務所の仕事は、とても遣り甲斐のある仕事です。自分がデザインしたものが、長い年月をかけて、次第に出来ていく様は、なんとも言えない感動があります。しかも、自分も楽しく仕事が出来て、お金がもらえて、感謝までして貰える。こんな素敵な職業、他にありますか?

 

特に、住宅だと、人と人の深い付き合いになります。お客様の「夢」である、家づくりを完成させ「良い家にしてもらって、ありがとうございました。」と、言われた時の充実感は、なんとも言えないものです。お金の価値を遥かに超えるものなのです。

 

家づくり、面白いです。お金になりませんが・・・

私は、建築家になって、本当に良かったと思っています。


9 伝わる模型を作る。

 

模型は、設計デザインを相手に伝える時に、一番効果的なアイテムです。図面は勿論、パースより模型の方が、伝える力が有ります。しかも、作っていて楽しいです。完成して眺めると、自分でも解っていなかった所が、模型から気付く事があります。「あ、ここもう少し、庇を深くした方が、バランスいいな・・」とかです。模型を眺めていると、3Dパースや、図面では解らない、立体的なバランスが解るのです。

 

模型で、施主に、何を伝えたいか考え、その為には、どの様な模型にすべきか検討します。私の会社では、1/50のホワイト模型を作るケースが多いです。余計な情報を排除する為に、着色はしません。内部も確認出来るように、各階毎に、バラバラになるように作っています。模型は、図面の100倍、パースの10倍、お客様に、デザインを理解してもらえます。

 

模型とパースを提出すると、施主の興味は、殆ど模型に行きます。模型は、手に取って、色んな角度から眺められます。パースを見て、施主は、喜びはしません。しかし、模型を見ると、明らかに表情が明るくなります。模型は、施主にとって、宝物にも成り得るのです。

 

プロの模型は、単純なホワイト模型が多いですが、学生の間は、自分のイメージを投影した模型を目指すべきです。私は、卒業設計展に良く行くのですが、学生の熱のこもった模型に圧倒され、その後、ちょっと気合いを入れて模型を作ったりします(笑)。


10 手書きのパースを書けるようになる。

 

大学で、パースの授業があると思います。一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法、アクソメトリック。色々有りますが、実務で実際にパースを、上記の様な図法を用いて、手で書く事は、ほとんどありません。パースは3Dパースソフトで制作する方が、圧倒的に早く、クオリティも高く作れます。柔らかい雰囲気を出す為に、手書きで、外観・内観パースを書く事もあります。しかし、その場合も、3Dパースソフトで制作したものを印刷して、上からトレーシングペーパーを当てて、手書きなぞるのが一番簡単です。

 

パースは、建物が、何処から見たら恰好が良いか、視点を検討する事が重要です。二点透視図法の消失点の位置は、パースのデザインに大きく影響します。何処に、消失点を設置するか、バランスを見て決めたい所です。3Dパースは、消失点や視点を簡単に変更できるので、構図を検討するのに便利なのです。

 

では、手書きのパースの出番は、無いのかと言うと、実は、沢山あります。お客様と打ち合わせの最中に、パースやアクソメトリックを手書きで書いて、説明します。平面的な図面で書いても、解りにくいので、パースで伝えるのです。この時に、すらすらパースが書けたら、恰好良くありませんか。お客様から、尊敬の眼差しで見られて、話しも纏まり易くなります。

 

私は正直、パースはあまり上手ではありません。もう少し、手書きパースのクオリティを上げたいと思っていますが、なかなか練習時間が取れません。社会人になってから、時間を作るのは大変です。学生の内に、手書きのパースを、スラスラ書ける様になっておいた方が、良いと思います。


11 宅建(宅地建物取引業法)の資格を取る。

 

私が、小規模な設計事務所として独立する為に、必要だと思う資格は、以下の三つです。

 

◆一級建築士

◆インテリアコーディネーター

◆宅建

 

この中で、インテリアコーディネーター、宅建は、受験制限がありません。誰でも受けられます。勉強にもなり、就職活動にも有利です。時間のある大学生のうちに、取っておくべきでしょう。(*資格の更新にお金がかかります)

 

宅建とは、主に不動産業界の資格です。しかし、建築とは、土地を購入して、その上に建物を建てる行為です。当然ですが、不動産業界とは、密接した関係にあります。設計事務所の通常業務として、土地の紹介(不動産会社と協力)、土地の購入の立合い(不安が無いように進める為)があり、土地から購入予定のお客様に、宅建の資格を持っている事は、アピールポイントになります。

 

又、宅建の資格があれば、不動産の賃貸経営サポート、建売住宅の売買サポートなどを、不動産会社と連携して行い、設計事務所の業務から、一歩踏み込んだサービスが提供可能です。実際に、設計事務所の「設計・監理」という枠組みを超えて、「販売」「賃貸」という不動産業界の分野にまで、業務を広げている、設計事務所もあります。そうした所に、就職活動する場合には、宅建の資格はとても有利です。

例えば、賃貸アパートを設計する仕事があるとします。一般的には、設計事務所の仕事は、建物の設計・監理までです。しかし、お客様の要望は、賃貸アパートの設計ではなく、資産運用なのです。そうなれば、設計・監理するだけではなく、利回りを計算し、税金対策を提案し、不動産屋を紹介する必要があります。もっと言えば、資産価値が下がらない建物にし、空き室対策も必要です。このような所まで踏み込んでこそ、仕事は受注出来るのです。不動産関係で踏み込んだ仕事をする時に、宅建の資格ぐらいは、持っておきたいものです。

 

宅建の内容は「権利関係」「宅建業法」「法令上の制限(建築基準法)」「税その他」の4項目です。どれも、建築家としても、経営者としても、知っておくべき項目です。何を隠そう、2017年現在、私は、宅建の資格を持っていません。2014年に、1度受験したのですが、惨敗です。思っていた以上に難しく、それなりに勉強する必要があると感じました。この「それなりに勉強する時間」というものが、社会人になると、仕事で忙しくて、なかなか確保出来ないのです。ましてや、結婚して、子供が出来ると、それどころではありません。比較的時間のある学生の内に、取っておくべき資格です。建築学科は忙しいと思っているかもしれませんが、社会人になれば、もっと忙しいですし、子供が出来ればさらに忙しくなります。学生の時に、もっと頑張るべきなのです。

 

資格者別求人数ランキング2016年9月版/ALL About

全国のハローワークの求人数より算定

1位:建築士  3位:宅地建物取引士  6位:インテリアコーディネーター

 

このように、2016年の集計では、建築系の資格は、就職にとても有利です。学生の間に、3位と6位を取ってしまいましょう。


12 インテリアコーディネーターの資格を取る。

 

宅建に続いて、インテリアコーディネーターの資格も、取ってしまいましょう。男性の建築士で、インテリアコーディネーターを持っている人は、案外少ないです。しかし、少数だからこそ、独立してから差別化の役に立つのです。

 

女性の場合は、女性の顧客にアピールするのに、最適な資格です。女性で建築家として独立した場合、メインターゲットは、同世代の女性になるケースが多いです。女性主体の家づくりや、女性関係の店舗改装、等、女性である事を売りにした、ビジネス展開が可能です。必然、インテリアコーディネーターの、資格の必要性も高まります。

 

しかし、インテリアコーディネーターを持っている、法的な必要性はありません。建築士の場合は、建築士の資格を持っていないと、建物の設計が出来ません。不動産の場合は、宅建の資格を持っていないと、不動産の売買が出来ません。でも、インテリアコーディネーターの資格を、持っていないからといって、インテリアの仕事が、出来ない訳ではないのです。

 

しかし、日本は資格を重要視する国柄です。インテリアコーディネーター専門のスタッフの場合、インテリアコーディネーターの資格を持っていない訳にはいきません。そうした現状を考えると、建築士であっても、インテリアコーディネートを行う訳ですから、資格を持っている必要性があります。建築は、車や家電と違い、完成品を想像で買ってもらう事になります。お客様は、自分の家の内装が、素敵なものになるのか不安に思っています。そんな時、「インテリアコーディネーターです」と言うだけで、最低限は、信頼して貰えるのです。

私は、一級建築士も、インテリアコーディネーターも、資格を持っています。内装の打合せの時に「インテリアコーディネーターの澤田さんに、決めてもらおう」と冗談半分ですが、言われます。インテリアの資格が、お施主様に、効いているな、と感じます。しかし、住宅の内装の事を「一級建築士の澤田さんに、決めてもらおう」とは、冗談半分にもならないのです。インテリアコーディネーターの試験範囲は、二級建築士と、ほぼ同じです。インテリアに特化した内容なので、それなりに面白く勉強出来るかと思います。インテリアコーディネーターの資格は、学生の間に取得してしまいましょう。

 

余談ですが、世の中には、インテリアコーディネーターとして、独立して仕事をしている人達も、結構います。しかし、彼女達の多くは、ハウスメーカーの下請けとして、仕事を受注しています。一方で、少数ですが、自社で幅広く受注して、工務店を下請けに使い、活躍されておられる方も、おられます。インテリアコーディネーターの方の弱点は、建築の施工的な事が、あまり解らない事です。店舗改装にしろ、リフォームにしろ、建築の構造の事や、納まりの事、施工的な事が、解っていないと、困る事が多々あります。インテリアコーディネーターの方は、大掛かりな工事に、弱いのです。つまり、建築士、インテリアコーディネーター、双方の経験を積めば、「工事に強い、インテリアコーディネーター」として、差別化出来るのです。

 

インテリアコーディネートに特化する事を、会社の特徴にするビジネスモデルも、有効だと思います。インテリアが大好きな方は、検討してみてください。オシャレなリフォームを手掛けている会社(3年)+住宅をメインにしている設計事務所(3年)+大手住宅メーカーでインテリアコーディネーター(3年)、の3社に就職、転職されたら良いかと思います。


13 建築基準法に強くなる。

 

大学一年生から、建築基準法の授業が始まります。大学の法規の授業は、実務における建築基準法の、初歩でしかありません。大学生の間に、大学の授業内容くらいは、熟知しましょう。

 

そもそも、実務社会においても、建築基準法を実務レベルで使いこなせる人は、そう多くありません。1/5人、いれば良い方だと思います。それほどに、建築基準法は、難解な要素を含んでいます。小規模な住宅なら、それほど難しくありません。しかし、建物の規模が大きくなるにつれ、難しくなります。

 

一級建築士の法規の試験で、難解な問題があります。しかし、試験の法律の問題が解けても、実務には、別のスキルが必要です。別のスキルとは、どの条文が設計している建物に関係あるのか、調べられる力です。建物は、用途、規模、地域が違うと、扱う条文が違います。計画中の建築が、どの条文を調べれば、良いのか判断出来るようになるには、それなりに経験が必要です。まあ、判断出来ない人の為の本もあります。用途と規模ごとに、関連する法文が記載されている、ガイドブックです。最初は、そうしたものを使って、必要な条文がどれか、調べてみても良いでしょう。

 

あと、実務では建築費を、出来るだけ掛けずに、法律をクリアするスキルも必要です。法文はAでも良いし、Bでも良い。と書いてある事が、度々あります。解りやすく書いてあれば、良いのですが、非常に分かりにくいケースもあり、力量が問われます。Aだけしか出来ないと思っていたら、実はBも出来たという事が、結構あるのです。

通常、B案は「ただし書き」で記されています。ただし書きとは、法文の最後の方に、「ただし〇〇〇でも良い」と書いてある部分で、法文に「もしAを実行するのが、大変だったらBでも良いよ」と書かれているのです。ページの下の方に紹介されている、ただし書きの、関連告示のページを調べると、代替え案が、記載されているのです。そして、Bの方が、プラン的に融通が利き、施工費も安くなるケースが、ほとんどです。

 

このように、法律は、実務では、プランにも影響する、重要な項目です。就職してからも、悪銭苦闘しながら、勉強する必要があります。プロが利用している参考書に、建築申請memo/建築申請実務研究会、という本があります。解りやすく、プロ仕様なので、オススメです。学生の間は、手始めに、その本を読みながら、宅建の「法令上の制限」の項目に、取り組みましょう。

 

余裕があれば、二級建築士の法規にも、挑戦してください。二級建築士の法規は、宅建の法規と、何が違うかと言えば、法令集を使って、問題を回答しても良い、という事です。法令集の言葉は、慣れないと読み辛いです。しかし、法令集を使いこなすスキルは、建築家になるには、避けては通れない道なので、独立を目指すなら、頑張るしかありません。

 

建築基準法とは、法令集が全てです。最終的には、参考書に書いてあろうが、建築申請memoに書いてあろうが、関係ありません。

 

建物を建てる時は、建築基準法を満たしているか、役場に確認を取る必要があります。確認申請という手続きです。役場には、建築指導課という窓口があり、法令について、条文の解釈を質問する事が出来ます。しかし、全て「法令集」を元にした回答です。「申請memoに、こう書いてあるのですが・・」と質問した所で「関係ありません」と言われるだけです。つまり、法令集が読めないと、役場で、打ち合わせが出来ないのです。

 

しかし、「建築指導課」とは、すごい名前ですよね「建築相談課」ではないのです。我々プロも、指導を受けているのです。それに、建築基準法は、あくまで基準なので、一般的な建物を想定して、作られた法文です。変則的なプランだと、どう判断して良いか、解らない時があります。建築指導課は、そうした時に、判断(指導)できる立場にあるのです。

 

最終的には、工事を着工する時には建築指導課(建築主事)の許可が必要です。ですので、判断しかねる部分は、建築指導課に聞いてしまった方が、早いです。電話でも、質問を受け付けているので、まずは電話しましょう。私は、直ぐに電話するので「又、ここの設計事務所、電話を掛けてきた・・・」と思われているかもしれません(笑)。迷っている時間が、勿体ないです。

 

法律を、使いこなせるように、なるのは、中々に険しい道のりです。覚悟を持って進みましょう。複雑な、排煙設備(建築基準法施行令 第126条の2)の条文が解るようになれば、最初の壁を突破したと言えます。読み込んでみて下さい。関連告示も要チェックです。

 

ちなみに、建物に係る法律は「建築基準法」だけではありません。建築基準法の法令集の最初の方に、関係法令一覧が書いてあります。用途や規模によって、色んな法令に適合する必要があるのです。メジャーな所だと、消防法があげられます。住宅以外、ほとんどの建物で消防法が絡み、実務では事前打ち合わせに消防署に伺います。建築基準法の申請時に、消防同意として、消防法について消防署がチェックします。排煙や、代替侵入口等、建築基準法の関係の事も、消防活動に影響がある内容については、消防署で確認されます。消防法とは聞きなれないと思いますが、例えば、出入り口の上に付いている誘導灯や、学校で見かけた屋内消火栓、等、ようは、消防法とは火災に関係する設備を取り仕切る法律です。消防職員が、定期的に立入検査して、設置内容に変更が無いか確認するのも、消防法の特徴です。

 

民法なんかも、住宅では良く使われます。隣地から50cm建物を離すのは、この法律の指導です。TV番組のクイズに出題される「樹の根っこは、敷地境界線を越境したら切っても良いが、枝は勝手に切る事が出来ない」のは、民法第233条の条文によります。

 

その他にも、市街化調整区域の田んぼを、農地転用する時は、都市計画法の申請が必要だったり、川の傍に建てる時は河川法の申請が必要だったり、飛行機の航路の下で高さの高い建物を建てる場合は、航空法の申請が必要だったり、旅館を建てれば、旅館業法。老人福祉施設を建てれば、老人福祉法が関わってきます。最近、話題の省エネ法により、大規模な建物は一定の断熱性能が義務化されました。さらに、道路法、電波法、水道法、下水道法、景観法、騒音規制法、等、実に様々な法律があるのです。

 

建築家は、色んな法律を勉強する必要があるのです。しかも、高額商品を扱う建築業界では、お客様と意見がこじれたり、建物に問題が発生したりすれば、訴訟になる可能性もあます。判例なんかも、ある程度、知っておく必要があるのです。


14 文章を書けるようになる。

 

文章を書けるようになる?・・・書けるけど。

と、思われる方も、おられると思います。しかし、殆どの方が、適切な文章を書けないのが、現状です。私も、必死で勉強中です。

 

ここで言う「文章を書けるようになる」とは、読み手を、説得する文章を書けるようになる。という事です。このスキルは、ビジネスをする上で、非常に重要です。職業名で言うと、コピーライターの方の、仕事内容になります。専門の職業があるという事は、世の中に必要とされているスキルで、一般の方には、難易度が高いという事です。

 

当社では、建築雑誌に広告を出しています。その打合せに、営業の方の他に、コピーライターの方が来られます。営業の方が、僕の写真を、自前のカメラで撮影します。しかし、文章の作成は、外注のコピーライターを利用しています。つまり、記事広告にとって、写真より文章の方が、専門性が高いのです。

 

では、文章は、どのような場面で、必要になって来るのでしょうか。まずは、HPに記載する文章です。建物の考え方、会社の考え方、デザインの考え方、等、文章で表現する事は、沢山あります。次に、資料請求の文章。資料請求して下さった方への、アプローチメール。お施主様との、メールのやり取り。挨拶。各種資料の文章。ブログ。フェイスブック。と、文章を書く機会は、実に沢山あります。

 

そして、この文章で訴えかける事が、会社の売り上げに、非常に大きく影響を及ぼすのです。文章力が、会社の生死を分けます。もちろん、文章をプロのライターの方に依頼するのも良いでしょう。しかし、それでも、熱のこもった文章の原案は、自分で書く必要があるのです。

 

この文章力を身に付ける為の練習方法は、ブログを書くのがオあススメです。HPの所でも触れましたが、ブログでアフィリエイトしたら、練習と実益を兼ねられます。その他、小説を書いてみたり、私のように、本を出版してみたりしても面白いでしょう。「MY ISBN」でネット検索してみて下さい。誰でも、簡単に、4980円で本が出版出来ます。

 

「文章力」は会社の、売上を左右します。是非、自分の文章力を、磨きましょう。又、一朝一夕で身につくスキルではありません。大学生の頃から、文章を書く習慣を身に着けましょう。とりあえず、長文のブログを初めて下さい。


15 本を沢山読む。

 

本を沢山読む事は、誰にとっても重要な事です。しかし、起業する場合、さらに重要になります。私は、27歳で独立してから、13年間で多くの経営者と、出会ってきました。感じる事は、起業している人は、例外なく、博学であるという事です。知識量が、一般の人とは、比べようがありません。

 

何故、起業している人は、博学なのでしょうか。起業者は、知識欲を、人並み以上に持っています。会社を継続させるには、幅広い知識が、不可欠なのです。起業者は、自分を研鑽する事に、時間を惜しみません。本を読んで、見聞を広め、新しい発想を得て、我が子のような会社を、成長させたいのです。

 

時代は、動いています。川のように流れていると言えます。立ち止まっていては、時代から遅れを取ります。激流の川(時代)を泳ぐ為に、本を読んで情報を収集する事は、起業者にとって、最低限の事なのです。学生と比べて、起業者は、必死で本を読んでいるのです。生き残る為に。

 

建築設計事務所で、起業しようと思っている、あなたは、出来る限り、本を読む必要があります。建築の本、経営の本、物語、絵本、漫画。何でも読んで、新たな発想を身に付け、知識を貯蓄する必要があります。

 

私の、起業を目指す人への、オススメ漫画

ナニワ金融道:不動産に関する知識が得られます。目的を実行する為に、作戦を練る必要性を知れます。

ガバチタレ!:行政書士のすったもんだ。

ラーメン発見伝:商品開発について学べます。


16 設計課題に向き合う。

 

大学で、設計課題が出されると思います。最初は、良く解らないなりに、本やWEBで調べたり、先輩の設計を見たりして、手探りでやる事になるでしょう。

 

設計は、コンセプトを明確に打ち出す事が重要です。コンセプトとは、設計する建物の存在理由です。何故、その建物は必要なのか、自問自答しましょう。

 

◆誰に対して、何を提供するのか。

◆建築が建つ事で、解決するものは何か。

◆利用者は、何を求めているのか。

◆その建築は、なぜそこに必要なのか。

 

自分で自分に、色々問いかけて、コンセプトを導きだしましょう。そのコンセプトを実現するのが、建築デザインです。ようは、形にする前の段階の方が、大切なのです。何故、その建物は建てる必要があるのか、深く考えましょう。

 

まあ、設計手法の話は、私がすべき話ではありません。色んな本を参考に、自分なりの設計方法を、確立してほしいです。それよりも、私が言いたいのは「設計課題は、就職活動の最重要アイテムだ」という事です。設計事務所の就職の面接に、設計課題を、まとめた、ポートフォリオは欠かせません。設計事務所の就職活動のスタート時期は、他業界と比べて遅いでしょう。しかし、4年生の前半から就職活動するとしたら、1~3年生の設計課題を、持っていく事になります。つまり、一年生から、取り組んでいる、課題の一つ一つが、就職活動の内定を掴み取る為の、アイテムなのです。そう思えば(実際にそうだが)、設計課題に必死に取り組む事も、出来るでしょう。建築に対する、熱い思いを胸に、一つ一つ真剣に設計課題に取り組んでほしいです。

 

まあ、起業すると、設計に、真剣に向き合わざるを、得ません。他社と比較された場合、競合先に負ければ、労力が水の泡となります。負けると、全く、お金にならないので、勝率は、会社の存続に直結します。住宅業界は特に、他社と競合ばかりです。他社と言っても、設計事務所だけではなく、ハウスメーカーや工務店とも、競合します。そして、競合先との闘いに、勝ち残らなければ、意味がないのです。住宅業界は、弱肉強食のサバンナです。2番では意味がありません。お客様にとっての1番になるのです。

 

競合しない場合でも、生易しいものではありません。そもそも、お客様にパートナーとして選んでもらう事は並大抵の事ではないのです。さらに、選んでもらってからも、お客様の要望を叶えた家づくりをするのは、とても大変な覚悟のいる仕事なのです。

 

それに比べれば、学生の設計課題は、建築を純粋に楽しめる、天国です。しかし、施主がいないからこそ、建築を追及できます。深く、深く、自分なりに建築と向き合えるのです。学生時代にしか味わえない、濃密な一時を、全力で楽しんでほしいです。


17 人生設計をする。

 

独立という目標を、明確なものにする為に、人生設計をしてみましょう。先の事なんて解らない、という人もいるでしょう。確かにそうですが、予定が変われば、その時に変更すれば良いのです。人生設計をすると、人生における、今のあなたの「立ち位置」が、見えてきます。

 

参考例

18歳:大学入学。

22歳:設計事務所に就職。

26歳:別の設計事務所に就職(違う考え方を見る為)。

29歳:独立する。

32歳:結婚する。(嫁30歳)

33歳:子供が生まれる。(嫁31歳)

35歳:2人目の子供が生まれる。(嫁33歳)

36歳:自宅兼事務所を建てる。

38歳:所員を雇う。

40歳:株式会社に変更。事業を拡大する。

 

まあ、例えばこの様な感じです。見えてくるのは、大分タイトなスケジュールだという事です。余裕がありません。これに、大学院の2年間を組込むのは、容易ではありません。就職中の担当作品を、充実させる為に、実務経験は、7年くらいは欲しい所です。所属した設計事務所の担当作品で、独立後に、最初の営業をかける事になります。独立後に、経験もないのに、大規模建築を受注するのは、不可能です。所属している間に、大規模建築の、経験を積んでおきたいです。仮に、大学院に進学するなら、実務経験の7年を5年にする事になるかと思います。5年間で、担当した物件がある程度溜まれば良いのですが、ビジネス的に見て、実務経験が2年間少なくなるのは、独立には不利です。個人的には大学院に行かないで就職した方が、人生設計としては適切だと思います。私のケースで言うと、就職(22歳)してから、2人目の子供が生まれるまで(37歳)、期間の長さ的にはギリギリでした。大学院に行くなら、相当、その後をスムーズに進めるか、子供を作らない選択士になるかと思います。

 

参考例に記載した、35歳で2人の子供を育てるのは体力的に、容易ではありません。しかも、女性は年齢的に35歳を超えると、妊娠しにくくなります。子育てのみを考えると、20代で結婚すべきなのです。日本の人口を維持する為にも、2人は生みたい所です。人口の減少は、国力の低下に直結します。将来問題になる事の、大半は少子高齢化が原因なのです。という訳で、自分の為にも、社会の為にも早めに結婚する事をオススメいたします。

 

結婚する前に独立して、仕事を軌道に乗せておく方が、無難です。結婚しないなら、問題ありませんが、結婚して、不安定な収入になる事を、許してくれる女性は、そうそういません。現実的には、女性は年収で、結婚相手を判断します。婚活では、相手の年収を一番重視し、400万円以下の年収では、興味を持ってもらえません。200万円台では、お話すらしてもらえません(笑)。性格や相性も大切ですが、女性にとっては、年収が一番大切なのです。現実はシビアです(笑)。独立後の年収を上げないと、結婚できる可能性が著しく下がるのです。そもそも、個人事業主は収入が不安定なので、結婚相手としては人気がありません。年収ぐらいある程度ないと、相手にしてもらえないでしょう。独立は、結婚と絡めて計画的に実行すべきです。


18 構造に強くなる。

 

世の中にある、ダイナミックな建築は、最先端の構造力学と、最先端の施工技術によって、作られています。シドニーオペラハウス、サグラダ・ファミリア、清水寺、TWAターミナル、国立代々木競技場、ビルバオ・グッゲンハイム美術館、等が、あげられます。一方、小規模な建物にも、工夫された構造デザインを、そのまま、意匠デザインに利用したものが、沢山あります。私の好きな建築家である、フェリックス・キャンデラ(1910~1997)は、構造家であり、建築家であり、施工者でもありました。HPシェル構造の解析で有名でしたが、そのシェル構造の特徴を生かした、素晴らしい建築を、多く手掛けています。

 

キャンデラは極端な例ですが、特徴的な構造デザインを、建築の意匠デザインとして、市場に提案しているビジネスモデルも成功例が多いです。解りやすい例だと、特殊な小屋組みを、デザインに利用している例は、実に多いです。意匠設計事務所(設計を担当する、一般的な設計事務所)は、構造デザインを意匠デザインに取り入れる為に、構造設計事務所とタッグを組みます。自分一人で考えるより、構造のプロにアドバイスを貰いながら、進めると、構造家に触発されて、優れたデザインが生まれます。

 

地方でも、これからは、大胆な構造デザインを、意匠として組み込んだ建築が、増えてゆくと思います。その背景には、WEBの普及があります。遠くの構造事務所と、メールの遣り取りだけで、仕事をするのも、珍しくなくなってきました。富山にいながら、東京の第一線で活躍している、構造事務所に依頼するのも容易です。なんなら、海外の構造事務所に依頼する事も、可能かもしれません。WEBの普及によって、色んな地域の人と、一緒に仕事をする事が、可能な時代になっています。当社も、富山県の会社ですが、大阪、東京、北海道の会社に構造設計を依頼しています。今後、建築業界でも、県外の業者と、メールだけで業務をやり取りするケースは、どんどん、増えてゆくだろう。

 

意匠系設計者が行う、簡易構造計算に、在来木造の壁量計算(建築基準法施行令46条)があります。地震力と風力に対して、建物が抵抗出来るように、床面積に合わせて、必要な耐力壁を入れる条文です。意匠設計者が行う、構造計算は、実務的には、この条文くらいです。

 

構造設計者にしても、近年は、殆ど自分で計算していません。構造計算ソフトに、してもらいます。一貫計算プログラムと呼ばれるもので、図面を入力して、材寸を入力するだけです。材寸が小さいと、エラー判定が出ます。当然、構造計算書も出力できるので、構造設計事務所の、業務の手間は格段に少なくなりました。代わりに、高額な構造ソフトを、買う必要がありますが・・・。

 

意匠設計者として、独立すると決めつけるのであれば、構造で探求すべきは、意匠と構造が融合されている建物に、多く触れる事だけです。構造を、デザインにどう生かすか。自分の持ち味を、見つける必要があります。ちなみに、構造設計事務所で、全国展開して経営に成功している会社が沢山あります。構造設計事務所、儲かるかもしれませんよ(笑)。キャンデラのように、構造設計者+意匠設計者を目指しても面白いかもしれません。

 

構造デザインが、意匠デザインになっている建築例

サンタモニカ教会/フィリックス・キャンデラ/メキシコ

東京カテドラル聖マリア大聖堂/丹下健三


19 環境設備に強くなる。

 

大学時代に、給排水・空調・衛生設備って、習ったよな・・。印象が薄くて、私は、あまり覚えていません(笑)。大学時代は、意匠にばかり、目が行ってしまいますが、実設計では設備の知識は、とても重要です。そもそも、意匠設計者にとって、設備設計者・電気設計者・構造設計者との遣り取りをまとめるのは、仕事の一部です。まず、計画段階の話だと、意匠と構造と設備の、関連を見る必要があります。配管が通る所に、梁があると、梁貫通できるか確認する必要があります。機械の設置スペースの検討、天井裏スペースと室内機の寸法調整、等、関連内容を確認して、意匠と設備を、調整する必要があるのです。

 

住宅業界では、見積り図面までは、意匠設計者が設備図、電気図、構造図まで書くことも、しばしば、あります。在来木造の場合、梁と柱の構造図を意匠設計者が書く必要があります(プレカット屋さんや、構造設計者に書いてもらう事も可能です)。電気図や設備図は、住宅レベルだと、わざわざ専門の設計事務所に作図を依頼しません。つまり、住宅レベルにおいては、意匠設計者が、構造・設備・電気について、見積り図を書ける必要があるのです。

 

住宅業界では、様々な冷暖房に対する取り組みが行われています。床暖房、床下エアコン、全館空調、壁内温風、太陽熱の利用、地熱の利用、温水ルームヒーター、FF式ファンヒーター、等、多種多様です。その中で、設計事務所として一つを選び、お客様に、理由と共に、冷暖房を提案する必要があります。意匠設計者は、全ての冷暖房に精通している必要があるのです。国の方針として「より環境負荷の少ない住宅・建築物の開発・普及」が掲げられています。環境負荷の少ない、高性能な建物の推進は、建築業界全体の流れで、冷暖房設備機器も見直されています。建築家として、プランニングに合わせた、暖房器具を選定し、環境負荷の少ない建物を提案する必要があります。

 

パッシブソーラーシステムを取入れた建物にも、興味を持つべきです。太陽光を、上手く取り入れたり、遮ったりする事を、デザインに生かした建物は、とても沢山あります。その中で、有名なのが、ル・コルビュジェのブリーズ・ソレイユです。窓の前に設ける、立体の大きな格子が、日光を遮りながら、外観デザインのアクセントになっています。又、住宅の市場で有名なのが、OMソーラーシステムです。屋根面のOMソーラーパネルで、屋根裏の空気を温め、ファンで床下に送り込み、建物を暖房するシステムです。

 

ビジネス的にみて、環境設備に特化するのは、効果的です。パッシブソーラーに特化したり、高気密・高断熱住宅と、抱負な環境設備の知識を組み合わせたりして、他社と差別化するのも面白いと思います。ZEH住宅(ゼロエネルギーハウス)も、国の補助金を活用した指導の基、普及しています。

 

しかし、基本的には、日本の住宅は、先進国の中で著しく建物の断熱性能が低く、問題になっています。世界的な傾向を見ると、明らかに建物は高断熱化に進んでいます。ドイツの住宅は高断熱が義務付けられていて、日本とは性能が違います。日本は、「こたつ」という、局所暖房が文化レベルで普及しましたが、これからの時代は、もっと快適に過ごせる家が求められています。建築家としては、消費エネルギーを減らし、かつ、快適な建物を目指すべきでしょう。

 

おススメ書籍

エコハウスのウソ[増築改定版]/前 真之:建物の性能と、環境設備との関係について理解出来ます。


20 年収について考える。

 

アトリエ系の年収について「2チャンネル」抜粋しました。まずは、アトリエ系の、現状を確認しましょう。

4 : 名無し組 [] : 投稿日:2005/08/02 14:40:42
あたし
【年齢】25歳
【職種】設計事務所
【学歴】大卒
【資格】2建士
【仕事内容】設計・現場監理・申請
【給与】基本手取り17万
【労働時間】10:00~じっさい…23:00、24:00
【ボナス】ちょこっと
住宅の設計事務所でした 雑誌なんかにもでてるとこ
1ヶ月前にやめてやりました
もう二度と働きません!

 

8 : 名無し組[] : 投稿日:2005/08/03 18:58:09

【年齢】24歳
【職種】設計事務所
【学歴】高専卒
【資格】なし
【仕事内容】設計・現場監理・申請
【給与】基本手取り8万
【労働時間】9:00~18:00、実態は22:00けろ、休日出勤しても手当てなし。
【ボナス】8万
結構有名ところなんだけどな~
ほかの設計事務所ってみんな高い給料もらってんのネ

 

10 : アトリエ[sage] : 投稿日:2005/08/03 19:07:18
【年齢】31歳
【職種】設計事務所
【学歴】院卒
【資格】1建士
【仕事内容】設計・現場監理・申請
【給与】年俸230万
【労働時間】8:30~23:30
【ボナス】ここ7年なし
いっそ殺せ

18 : 名無し組[] : 投稿日:2005/08/06 01:14:16
拙者
【年齢】27歳
【職種】アトリエ系設計事務所
【学歴】大卒
【資格】なし
【仕事内容】打ち合わせ以外のほとんどの業務。木造中心。
【給与】月収13万、年俸159万
【労働時間】10:00~3:00 第2第4土曜、日曜日休み
【ボーナス】年末3万円
これでも勝ち組だと思ってる。やりたい仕事だから。
喩え月3万円から出発だとしても…

 

51 : 名無し組[] : 投稿日:2005/08/17 23:27:00
前職は
【年齢】36歳
【職種】小規模設計事務所
【学歴】大卒
【資格】1級
【仕事内容】設計監理(意匠)
【給与】年収300万(手当込み)
【労働時間】9:00~23:00
【ボナス】夏冬各1ヶ月 年収に含む

344 : 名無し組[???] : 投稿日:2006/05/27 00:56:07
【年齢】32歳
【職種】アトリエ系事務所 (勤務6ヶ月)
【学歴】文学部修士→就職→建築通信学校(京都)
【資格】無し
【仕事内容】 先生の身の回りのお世話、線の練習、模型の練習
【給与】無し(貯金切り崩しています)
人格を完全否定から始まっていまだまともに口を聞いてくれません。
掃除の仕方、口の聞き方、字の書き方、全ては建築につながると言われています。
貯金が無くなるまで、頑張ってみます

ゼネコンに行った友人や院に進んで大学に残った友人には負けたくない。
設計課題の作品は、クラスで1番だったオレ。

 

606 : アトリエ勤務[???] : 投稿日:2006/08/09 00:38:00
【年齢】29歳
【職種】設計事務所
【学歴】大卒
【資格】一級建築士
【仕事内容】設計・積算・現場監理・申請
【給与】基本手取り11万
【労働時間】8:00~24:00
【ボナス】ない

某建築家の事務所だ そろそろ独立するか
しかし戸建中心だったが食っていけるのか
まーいいか ねるよ つかれた

独立後の現在
【年齢】37歳
【職種】零細設計事務所
【学歴】大卒
【資格】1級
【仕事内容】代願、設計(下請け)、デザイン監修
【給与】売上約400万 実質年収250万ぐらい(手当なし)
【労働時間】9:30~25:00(たまに昼寝あり)
【ボナス】なし

681 : 転職します[tenn] : 投稿日:2006/08/20 02:21:08
【年齢】24歳 なりたて
【職種】某有名アトリエ系設計事務所
【学歴】都内有名私立大学卒
【資格】なし
【仕事内容】設計・積算・現場監理・申請 ・模型つくり
【給与】1万円!
【労働時間】8:30~11:00
【ボナス】って何?

アトリエ系って悲惨ですね。世の中、各業界がリクルートに力を入れていますが、アトリエ系事務所の待遇は、あまり改善されていません。私は詳しくは、覚えていないのですが、勤めていた時は、初年度22歳で、年収200万弱。独立を決心した5年目で、年収240万(27歳)くらいだったと思います。独立して2年目、工務店から設計の下請けを、それなりに受注して、勤めていた時の年収を、超えられました。独立5年目(32歳)年収が400万を超え、銀行から住宅ローンを2900万借りました。現在(39歳)は、500万以上の収入がありますが、不安定なままです。

 

建築設計事務所は、お金になりません。好きな事で、ご飯を食べているのだから、給料は少なくて当たり前だ。という、時代錯誤な考え方の上に、成り立っています。所員は、修行させてやっている、弟子という位置づけです。

 

しかし、所員の給料が少ないのは、仕方がありません。だって、会社が儲かっていないからです。設計事務所は、仕事を作り出している、という意味では、建築業界のトップに君臨する、先生様です。しかし、その実は、業界の中で最も収入の少ない、ただの貧乏人なのです。

 

「それでも良い、僕は、好きな建築を仕事にして、生きていく!」という、建築大好きな変人か、

 

「いや、僕はその状態の中で、工夫して儲けてやる。」

という、意気込みがある人だけ、建築設計事務所の起業を目指しましょう。

 

しかし、設計事務所の起業は、悪い事ばかりではありません、メリットもあります。独立に、殆どお金が掛りません。パソコンとプリンターがあれば、自宅で開業する事も、出来ます。所持金10万円で独立出来ます。独立時の銀行の借入が、必要ないので、借金が無く、倒産のリスクが低いです。経営が悪化すれば、それこそバイトで食い繋ぎながら、チャンスを待つ事も可能です。

会社生存率データベース/国税庁によると、会社の生存率は、5年後(14.8%)。10年後(6.3%)。20年後(0.4%)。30年後(0.02%)です。大変低い生存率ですが、私の知っている限り、富山県で、業績の悪化によって倒産した、設計事務所は、ありません。皆さん、頑張られておられます。そう考えると、設計事務所での独立も、案外、捨てたものでは無いかもしれません。

 

しかし、倒産するリスクが低いと言っても、実際に設計事務所に勤められて、独立される方は、そんなに多くはありません。アトリエ系の設計事務所に勤められた方の、1/10以下でしょう。独立しない場合、設計事務所を転々とされるか、他の職種に流れる方も多いです。独立しない、一番の理由は、独立して上手くいくか解らないという、不安の部分が大きいでしょう。さらに、小規模な設計事務所だと、所長が引退すると、廃業になるケースがほとんどで、永久就職先とは、とても言えません。年配の設計者は、大規模な設計事務所の数少ない管理職の椅子に座れないと、再就職すらままなりません。つまり、アトリエ系設計事務所に入ったら、独立するしか道は無いのです。背水の陣です。

 

私も独立する時は、不安でした。どうなるか解らない事に挑戦するのは、とても勇気がいる事です。しかし、考え方を変える事で、不安を乗り越えました。「やってみて、上手く行かなかったら、再就職すれば良いじゃん」と、ようは、失敗しても、どうって事ないのだと、意識改革したのです。

 

「独立」という決断は、人生で初めての挑戦でしょう。レールの上を走り、独立という終着駅まで辿り着きました。ここからは、自由なのです。何処に行っても良いのです。自分で考え、自分で行動します。危険があるかもしれません。それも、自己判断なのです。つまり、ここからは「挑戦」の連続なのです。


21 パワーポイント、ワード、エクセルを使う。

 

これは、今時の大学生に、言う事ではないと思いますが、少しだけ書きます。パワーポイント、ワード、エクセルは、ビジネスの現場では、非常に良く使われます。使えない、では今時、話になりません。必要不可欠のスキルです。ですが、そんなに高度に使える必要は、ありません。さわり程度で、問題無いでしょう。

 

パワーポイントは、お客様の前というよりは、数名の会議、ちょっとした発表の場で使います。勤めているだけだと、そのような機会も少ないですが、起業すれば、そういう機会に巡り合いますので、必ず必要です。

 

ワードは、言うまでもなく必要です。エクセルは、請求書、見積書、領収書、建築数量の拾い出し、等、色んな書類に使います。会社の帳簿も、わざわざ専用のソフトを買わないでも、エクセルで十分です。

 

エクセルが出来るというのは、就職活動で、少しだけアピールポイントになります。年配の設計者を除いて、皆、もちろん必要         最低限は使えるのですが、複数枚の見積書を、数字連動で作れる人は、そこまでいません。見積り作成ソフトを使っているケースが、多いでしょう。しかし、エクセルの方が、見積り作成ソフトに比べて、自由度が高いので、エクセルで作れるのに、越したことはありません。

 

建築設計事務所は、デザイン関係の仕事なので、見積書や、請求書も、デザイン性が必要です。お客様に提出する書類の体裁は、気を配るべきなのです。会社のイメージカラーを選定し、各書類に会社のイメージカラーを使い、各書類を、共通のデザインに統一すべきです。その統一されたデザインというのが、エクセルだと簡単に作れるのですが、見積書専門のソフトでは作れないのです。起業した時に、各種書類を、自分で作れるように、学生時代から、エクセルのスキルを獲得しておきましょう。

 

余談ですが、近年、設計事務所業界でもプレゼンにアイパッドが、良く使われます。10年前は、竣工写真を印刷してファイリングして、見せていましたが、アイパッドで見せた方が、オシャレに見えます。パソコンより、起動に時間が掛らないですし、便利です。私は、工事写真や、各種説明資料もアイパッドに入れてあります。

 

学生の就職活動にも、アイパッドが使える様な気がします。ポートフォリオだけではなく、自分というものを、アイパッドの写真を見せながら、プレゼンするもの、面白いかもしれません。もう、一般的に、されているのかな?

 

設計事務所の就職活動は、一般の企業の就職活動と、求められているものが違います。アトリエ系だと、なおさらです。独自の感性で、プレゼン方法を開発し、設計事務所の所長を唸らせてやりましょう。相手を納得させるという事は、建築設計事務所の業界では、一般業務です。打ち合わせとは、プレゼンを作り、そのプレゼンを使ってお客様を納得させる事です。つまり、良いプレゼン方法を開発する事は、良い打ち合わせをする為に必要不可欠な事なのです。「新しい発想」が出来る人材が、求められているのです。

 

世の中は、あっと言わせたもの勝ちなのです。作戦を練りましょう。


22 イラストレーター、フォトショップを使う。

 

イラストレーター、フォトショップを使えるのも、独立するのに、必要最低限、必要なスキルと言えます。CADもプレゼン能力が高くなっているので、CADでプレゼンの書類を作る方が、建築プレゼンの場合、簡単です。しかし、イラストレーターで、書類を作るケースも沢山あるので、大学生の内に、使えるようになりましょう。

 

私は、会社の資料を、イラストレーターで作る事が、度々あります。業者に会社の資料を依頼すると、高額です。会社概要8ページで、10万円は掛かります。自分でイラストレーターを使って作成すれば、ネット印刷を使うと、50部6000円で済みます。その他に、名刺、広告、チラシ等、使うシーンは様々です。

 

フォトショップも良く使います。竣工写真の加工や、イラストレーターに添付する画像の加工に使います。電線を消したり、人物を切り抜いたり、色合いを調整したり、3Dパースを加工したり、と、フォトショップも、実務で良く使うので、必ずマスターしましょう。

 

イラストレーターと、フォトショップが使えるのは、就職でも有利だと思うので、スキルとして獲得しましょう。地方の設計事務所だと、そこまで高度に使える人はいません。2~3人の事務所だと、使える人がいない、可能性すらあります。しかし、さすがに、事務所の中で誰も使えないというのは、事務所として問題があるので、若手が使える必要があるのです。という事は、若手のあなたは、使える必要があるのです。


23 夏休みを有効に使う。

 

大学生は夏休みが、2カ月くらいあります(冬休みは2週間くらい)。この、期間を有意義に使う事で、あなたの将来が輝きだします。本当です。

 

まず、社会人になって、2カ月休みを取ろうと思ったら、会社を辞めるしかありません。勤めている間は、GWや年末年始に、長くて10日程度の、休みがあるだけです。長期休暇はなく、2~3日しか休めない会社もあります。

 

つまり、大学生時代の、2カ月の休み、計4回、これは、あなたの人生において、とてもとても、貴重な長期休暇なのです。心して計画しましょう。

 

オススメは、海外旅行です。お金が無ければ、長期休暇の前半にバイトを詰め込んで、後半に旅行に行きましょう。一人旅がオススメです。最低限の英語が話せれば、問題ありません。私は、一人旅でメキシコに行った時、ホテル以外、全く言葉が通じませんでした。身振り手振りだけでも、なんとかなるものです。そもそも、世界には、英語が通じない国が多いです。英語圏でなければ、観光スポット以外は通じません。日本だって、英語は通じないですよね(笑)

 

そして、海外の一人旅は、ツアー旅行では体験出来ない出会いや、試練や、感動や、失敗という、貴重な経験を、あなたに与えてくれます。なにか、ちょっと怖いから、来年にしよう。とか、後ろ向きの考え方では、何も生み出せません。思い立ったら、即行動するのは、成功する経営者の、基本姿勢です。

 

とりあえず、大学一年生の夏休みに、好きな国に行ってみましょう。

集中的に、英語を勉強するのも、良いかもしれません。アメリカに語学留学行くのは、高額な費用が掛かるので、語学留学は、東南アジアで十分だと思います。一か月間、アメリカ50万、フィリピン15万くらいです(+生活費、航空費、各種証明書で15万円程度が掛かります)。大学生でも、一か月間、必死でバイトすれば、20万くらいは作れるでしょう、残金は親に甘えるしかないですね。語学学校には、世界中から、語学留学に来ているので、色んな国の友達が出来ます。語学留学に来て、そのまま旅行に行く人もいるそうです。色んな国の人と、友達になれば、視野が広がります。なにより、わくわくしませんか。

 

勉強なんて、何時でも出来ます。大学の長期休暇でしか出来ない事に、全力で取り組むべきです。本当に、この期間は貴重です。親にお金を借りられるなら、先に借りて、年間を通して返しましょう。親を納得させるのも、勉強のうちです。学生の間は、甘えても、良いのではないでしょうか。

 

私事ですが、大学の長期休暇の使い方を、本当に後悔しております。2年生の夏休みに、フランスとスペインに行った事以外、何をしていたか、記憶にありません。実家に帰って、だらだらした、くだらない夏休みを過ごしてしまいました。皆様は、そうならないように、計画的に夏休みを、過ごして下さい。

 

余談ですが、私は、社会人になってから、5年間、英会話のNOVAに行っていました。しかし、私はもちろん、生徒で、ビジネスで使えるレベルで、喋れるようになった人を、見たことがありません。まあ、簡単な会話くらいは、出来るようになるでしょう。外人の友達も、作れるかもしれません。しかし、本当に、喋れるようになろうと、思ったら、集中的に詰め込む、しかありません。1年間ぐらい、必死で、英語漬けの環境に、取り組む必要があると思います。


24 材料工学とか、音響工学とか。

 

大学では、様々な事を、授業で習いますが、どの授業からも、リアリティというものが感じられません。今、習っている事って、社会に出てから必要なの?という感じです。単位が必要だから、取あえず、受講しておこう。そんな緩い感じで、授業を受けているのでは、ないでしょうか。

 

これは、非常に勿体ない状態です。私は、仕事をしながら、たまに必要になって、大学の時の教科書を開いたりします。その時に、大学の授業って、非常に面白い内容だったという事に、気付かされます。今、私が、大学の教科書が、面白いと感じるのは、その知識が具体的に、必要な状態に、直面しているからです。つまり、必要だと解れば、勉強は有意義なものになり、勉強意欲も必然的に沸くのです。

 

前置きが長くなりましたが、建築家になる上で、大学の授業がどう役に立つのか、ちょっとだけ紹介します。例えば、石。花崗石、砂岩、大理石・・。耐久性、吸水性、・・。説明を聞いているだけでは、全く面白くありません。「建物の何処に、どのような理由で使われているか」から逆算して覚えると、実務にも役に立つし何より面白いです。

 

墓石は、御影石で作られています。墓石に必要な要素とは、長い月日、変わらず、雨によって削られない固さや、割れなど起こらず、加工しやすい石である事です。又、日本では外部の床に、大理石をあまり使いません。大理石は、柔らかいので、床に使うと、直ぐにすり減ってしまうからです。しかし、タージマハールの床は、白い大理石です。すり減って、歪んでいますが、歪みが、風合いを作っています。日本は几帳面な国柄であり、床に大理石を使うのを好みません。日本では、耐久性の高い御影石が床に使われるのです。大理石は、石灰岩が主原料で、色が鮮やかです。しかし、御影石は、火山岩なので、暗い地味な色しかありません。色合い的には、外部に大理石を使いたい所ですが、耐久性の低い大理石を、外部で使う事は一般的にはしません。一方、店舗設計では、耐久性より色合いが大事なので、大理石が使われる事が多いです。又、大谷石は脆く、雨で浸食されますが、柔らかい風合いが好まれ、外部で使われる事があります。と、このように、石の種類に応じて、適材適所で選定されているのです。

 

外部でアルミを使うか、ステンレスを使うか、よく議論になります。レンジフードや、手摺、庇、見切、笠木、色んな場所で使われています。ステンレスの方が、錆びないと思っている人も多いですが、アルミ(アルマイト加工品)の方が錆びません。そもそも、アルミは素地で使われる事は少ないです。アルマイト加工されているものが、流通しています。アルミもステンレスも、同じシルバー色ですが、アルミの方が柔らかい質感です。ステンレスの方が高級感があります。アルミ板は、ステンレス板に比べて光を乱反射します。看板に使う時は、ライトアップするなら乱反射するアルミ板の方が、無難です。しかし、ブティックの看板だと、文字の読み易さより高級感を優先して、ステンレス看板の方が適切なケースも多いでしょう。このように、アルミとステンレスといった、一見、似たような素材でも、プロの世界では吟味して使われるのです。

 

木も、沢山の種類があって、それぞれに特徴があります。パイン材は柔らかいので、住宅の床に使うと、傷が付きます。しかし、柔らかい材種は断熱性能が高く、足元が温かく感じるので、住宅の床に普及しています。タモやナラは、堅木で価格帯も割と低く、使いやすい木材です。一見、タモとナラは似ていますが、タモの方がシャープで強めの木目で、和風寄りです。ナラは、タモと比べると柔らかい木目で、和洋共に使いやすいです。タモもナラも、家具で非常に多く使われています。自分の家の家具の材種を調べてみて下さい。その他、高級感を出す為に、チークやウォールナットを使ったりもします。又、和室の床柱には非常に多くの材種が使われ、和室のイメージ合わせて選定します。住宅では、木にこだわりを持って建てられるお客様も多く、「木曽ヒノキの家」とか、樹種や産地を特色にしている、家づくりが普及するくらいです。まずは、身の回りに使われている、木材の材種を調べましょう。慣れれば、良く流通している材種くらいは分かるようになります。

 

音響工学も、意外と、身近な工学です(そもそも、建築学は全て、生活に身近な存在です)。部屋は、音が反響すると喋りづらいです。使用目的に合わせて、部屋の壁や天井に使用されている、材料の吸音率を調整する必要があります。例えば、コンクリートの打ちっぱなしの壁がある場合、他の部分で吸音を確保しないと、音が反響して、テレビの音が聞き取りにくく、会話がしにくい部屋になってしまいます。天井等に、吸音板を使用するべきでしょう。

 

音響に特化する、設計事務所のビジネスモデルも、成立すると思います。オーディオを趣味にしている人は、マニアの方も多いです。マニアの方を納得させるには、こちらも、マニア並みの知識が必要です。オーディオルームや、シアタールームには、一定の需要があります。そうした、音響関係のビジネスに有効なのが、地下室です。私も、3棟、音響に配慮した、地下空間を作った事がありますが、音響の分野は奥が深いです。私は、設計者としては、オーディオルームに詳しい方だと思います。しかし、打合せの時に、自分がオーディオを趣味にしている訳ではないので、施主様と意気投合出来る訳ではありません。オーディオを趣味にしている、設計士がいれば、オーディオマニアの人は、その方に、頼みたくなるのではないでしょうか。

 

以前、タモリ倶楽部で「マイ電柱」について、やっていました。究極の音を実現する為に、オーディオ関係の、電気配線を、一般電気の引き込みから分離させる考え方でした。私は、そこまでする、オーディオマニアがいる事に驚きました。注目すべきは、そのマイ電柱を、工事する会社は、ほぼ一社独占状態にある事です。豊富な知識で、マニアの人の要求に答える事は、究極の差別化に繋がるのです。

 

学生で、オーディオが好きな人は、音響工学を極めて、将来独立するもの良いと思います。その為には、音響ルームの設計を売りにしている、設計事務所に就職するのが、一番です。地域なんて関係ありません。日本中探して、音響が得意な設計事務所に就職しましょう。さらに、オーディオ専門店に転職して、オーディオも、音響ルームも解る建築家になれば、マニアは、あなたをほっとかないと思います。そして、趣味のオーディオを仕事にしている、あなたは、きっと仕事を楽しめて、輝けるはずです。好きなものを突き詰めるというのは、ビジネスモデル作成の有効な手段なのです。

 

手始めに、簡単な5.1chサラウンドルームを自分の家のリビングに作り、ゲームや映画を楽しみましょう。3万円でも、ある程度のサラウンドスピーカーが手に入ります。プロの世界を覗きたければ、近くのオーディオ専門店を訪れたり、大建工業というメーカーのショールームには音響ルームがあるので、見に行ったりしても良いと思います。パナソニックのHPにも割と詳しく記載されています(「リビングをシアターにして楽しもう」で検索)。

 

余談ですが、コアビジネスが成立しやすい、世の中になりました。その背景には、WEBの普及があります。例えば、オーディオに特化した設計事務所を、WEBが普及していない時代では、お客様は、専門の業者を探すのが大変でした。しかし、現在は、ググ(Googleで検索)れば、簡単に探す事が出来ます。特化した技術は、日本全国から問い合わせが、あるでしょう。情報発信も簡単です。HPを作って、オーディオが詳しい設計事務所である事を、アピールするだけです。SEO対策を施せば、お客様が、あなたをググってくれます。現在は、WEBで簡単に、特殊な設計事務所と、特殊なお客様が、繋がれる、世の中になっているのです。

 

「何かに特化する」というのが、重要になっています。私の会社も、鉄筋コンクリート建築に特化しています。すると、なんと全国から問い合わせがあるのです。まあ、遠方の物件は結局、成約しにくいですが、それは、当社側の対応が追い付かないだけで、当社側の対応さえ、相手を満足させるものに変われば成約するのです。

 

総括して、何が言いたかったかというと、大学で習う事は、漠然としていて面白味がありません。しかし、学習する人(あなた)の姿勢次第で、面白い授業に変わるという事です。授業の範囲に納まらず、自分で、実施設計と結びつけて、勉強していく姿勢が大切です。そうすると、建築学は面白くなります。あたなが大学で勉強しているのは、単位を取る為ではないはずです。将来、独立する為に勉強するのであれば、自分から意欲的に学んでいく必要があるのです。


25 独立意識の高い友達を作る。

 

大学生になると、どうしても、自分の通っている大学という、内側に目が行ってしまいます。身近な友達は、重要です。一緒に遊んだり、授業の解らない事を聞いたり、買い物したり、ビリヤードしたり、カラオケしたり、麻雀したり、恋愛の相談をしたり、一緒にコンパしたり、とても大切な存在です。しかし、大学の外に出て、色んな人に会う事は、さらに、とても大切な経験で、あなたのレベルを引き上げる事に繋がります。

 

色々行動してみると、解ってきます。枠の中から飛び出して、別の場所に行くと、そこには、同じように枠の中から、飛び出した人がいます。面白い事を探して行動すると、同じように、面白い事を探している人に、出会えるのです。SNSの普及は、共通意識のある人との出会いを、非常に簡単にしています。私が、大学生の頃(2000年)、他校の建築好きの人を探す、手軽な方法はありませんでした。しかし、今では、ツイッターで検索するだけで、建築が大好きな人や、学校の枠を超えた建築サークルが簡単に見つかります。逆に、無ければ、自分で作って、呼びかければ良いだけです。世界中から建築大好きを集めたサークルを作るのさえ、難しくないでしょう。世界中の学生の情報を集められる、大企業が喉から手がでるシステムが構築可能です。日本で、世界中の建築好きが集まるイベントを是非開催してほしいです。私も誘って下さい。

 

「出会い」というものが、SNSを利用して、非常に効率化された世の中になりました。SNSやHPから情報を得て、色んな所に顔を出して、色んな人に会うべきです。学校という枠の中より、きっと貴方に、刺激を与えられる人に、出会えるはずです。

最終的に、建築家として独立するのは、大学の建築学科の各学年で、1人かぜいぜい2人位でしょう。1/200人以下といった感じかもしれません。そうなると、大学の枠の中で、友達と競っていてもナンセンスです。大学の外に出て、「うわ!こいつ、絶対に凄い建築家になりそうじゃん。スゲー」と思う人と話をして刺激を受ける事が、将来、設計事務所で独立する為に、いかに重要か解ると思います。ここで重要なのが、デザイン力で一番になる必要はありません。自分自身を見つめ、自分の特徴を強化して行けば良いのです。人生は、色んな人と出会う事で、変化します。あの人の、あの言葉を聞いて、人生が変わりました。という事が、ざらにあるのです。凄い人を、見つけに出かけましょう。

 

「俺より強い奴に会いに行く」

 

格闘ゲームのストリートファイター2のキャッチコピーですが、まさに、この心境で出かけてほしいです。

 


26 彼女を作る 。

 

彼女を作る。これが、建築家として独立する為に、もっとも重要なスキルであり、経験なのです。胡散臭い?まあ、そう思うのも、もっともです。しかし、聞いてほしです。

 

設計事務所の業界は、B to B(企業 対 企業)はともかく、B to C(企業 対 消費者)の場合は、実際には人、対、人の付合いになります。最も顕著なケースが住宅設計です。家づくりは、お客様の夢そのものです。その夢づくりに協力するには、企業対個人で、形式的に臨んでいては、信頼される、家づくりのパートナーになれません。一個人として、親身に、真剣に、誠実に取り組む必要があるのです。

 

お客様に、怒られる事もあります。それは、お客様も家づくりに真剣である証拠です。車を買う時に怒る人はいないでしょう。人と人。住宅設計は、人付き合いが、全ての業種で一番必要な業種なのです。設計の打合せが、一年以上になる事も良くあります。そこから、工事がさらに一年弱。2年間の、親密なお付合いが必要なのです。つまり、人付き合いが、ある意味、設計よりも大切になるのです。

 

この、人付き合いというものを、一番勉強出来るのが、彼女を作る事なのです。好きな子に告白する。デートする。すったもんだある。相手を知る。自分を知ってもらう。相手の意見を聞く。主張する。喧嘩する。自分を変える。お互いが納得できる、関係を作り上げる。これは、そのまま、家づくりのコミュニケーションに生かせる技術なのです。

若いうちこそ、どんどん積極的に女性にアプローチしよう。女性に声をかけよう。フラれよう。何が駄目だったか、分析しよう。作戦を練ろう。実行しよう。コンパを企画しよう。同窓会を企画しよう。友達に女性を紹介してもらおう。こういった、積極的な経験は、独立して、営業という分野で生きてきます。「草食系」とか、住宅営業ではありえません。優しい顔で、相手をリラックスさせながらも「肉食系」である必要があるのです。知り合いの人で、好みの女性を見かけたら、とにかく声をかける人がいます。その位になりましょう。

 

住宅のトップセールスマンは、表と裏の顔がはっきりしています。表裏がある人ほど、沢山、住宅を売っているのです(悪質な、リフォーム営業の話とは違います)。裏表がある事は、悪い事ではありません。お客様も、内心それを承知しています。お金を払うから、良くして貰える。そんな事は、世の中の常識です。お客様は、色々良くしてもらって、納得して、契約している訳です。

 

しかし、ハウスメーカーの営業なら、裏表がはっきりしていても良いのですが、設計事務所で、表の顔を作って売るパターンは、成立しにくいです。設計事務所の場合、営業のように、契約だけ出来れば良い訳ではありません。現場では、施主様と打ち合わせをして、建物を完成させる必要がありますし、工事して完成後も、何かあれば、自分で責任を取る必要があります。企業を存続させる為にも、問題になる行動は避け、誠実な対応を心掛ける必要があります。

 

個人事務所の場合、特にあなたという「人」を信用してもらう必要があります。色んな経験を積んで「人」を磨きましょう。その「人」を磨く時、彼女を作るのは有効だという事です。彼女ほしいですよね(笑)。前のめりで行動しましょう。


27 色々やってみる。

 

とにかく、色々やってみる事が重要です。何気なくトライした事で視野が広がり、思いがけず、後から経験が役に立つ事は、往々にしてあります。特に、設計事務所で独立する場合は・・。

 

私の話で言うと、中学までやっていた書道は、私のデザインに大きく影響を与えています。土地と建物の、バランスを見るのは、書道の、白と黒のバランスを見るとの同じです。社会人になってから陶芸も2年程していましたが、コンクリートの立体を作るのって、陶芸と凄く良く似ています。私のデザインは、陶芸から大きく影響を受けています。

 

ピアノも良いかもしれません。建築は、リズムです。建物の入口に入ってから、出るまでの、光の濃淡、空間の大小、人の密度、色、形。その、リズムは、音楽の曲と似ています。私は、コルビュジェの建物からは、音色が聞こえるよう気がします。母親が、ピアノの教師だったらしいですが、その影響が彼の建築デザインに影響を与えているのでしょう。

 

私は、大学生の頃、コンビニで働いていましたが、色んな人が、色んな物を買っていく、物流というものを、間近に感じられた経験は、今、経営者として活きています。その他に、文化財の民家の復旧工事で、茅葺の手伝いをした事がありますが、職人さんの話は、ためになりました。茅の品質に合わせて、使う場所を変えたり、少しでも良い建物にしようと心掛けて作っている事を、身近で感じられた事は、今の私の家づくりに活きています。

 

今風の話で言うと、ユーチューバーをしてみるというのも、面白いかもしれません。アクセス数を増やすという、仕組み作りや、企画作りに試行錯誤する事は、将来、経営者として企画を作る時に、必ず役に立つ経験です。又、ユーチューバーになれば、視聴者に伝わり易い話し方を模索する事になり、それはそのまま、独立した時の、施主との打合せに生かせると思います。

 

私がオススメしたいのは、なんでも良いので、周りの人を巻き込んで、企画して実行してみる事です。例えば、友達と商店街の出展ブースでお店を開くとか面白いです。一回だけではなく、定期的に出店して、どうすればお店の商品が売れるか工夫してみて下さい。お店にイメージを付けたり、店名を考えたり、友達と意見を出し合いましょう。さらに、お店のHPを作ったり、FacebookやTwitterから集客したりして、収入を増やす工夫をしてみましょう。ここまですれば、あなたは、立派な起業予備軍です。

 

経験が、無駄になる事はありません。必ず、何かの役に立つものです。興味がある事に、次々、トライしていくべきです。

 


28 昔の建物に学ぶ。

 

昔の建物に学ぼう。例えば、白川郷の茅葺の屋根は、水に弱く、急勾配にする必要があります。急勾配の屋根が作り出す屋根裏は、蚕の養殖や、使用人の部屋として利用されました。屋根裏まで、囲炉裏の煙が回るように、囲炉裏の上の天井部分が格子状になっています。煙によって燻られた、建物の柱や梁を固定する藁の縄は、固く丈夫になります。このように、歴史的な工法というものは、地域性を考慮して合理的に作られていて、学ぶべき点が多いです。合理的な歴史の造形を分析するのは、とても勉強になるのです。

 

普通の古民家のデザインから、学ぶべき事も多いです。外壁は、屋根側が漆喰で腰側は板張りです。これは、雨に塗れ易い下側を水に強い板張りにし、火が回りやすい上側に防火性の高い漆喰を使った、適材適所によるデザインです(多分)。垂木の先端の飾りは、木材が小口から水を吸い込むのを、防いでいます。木材は、仮道管の集積で、小口側からは吸水しやすい特性があります。垂木の先端の飾りや、白塗りの塗装は、その吸水を防ぎつつ、デザインとして利用している、機能性のあるデザインなのです(多分)。

 

多分と書いてあるのは、誰かから聞いた事ではなく、自分で考えている事だからです。あなたも、自分なりに、歴史的な造形が、どうして今のような形になっているか考えてみて下さい。風土、雨納まり、材料、作業道具、技術。様々な理由によって、歴史建造物のデザインは決定されます。一つ一つに明確な理由があるのです。その理由を考える事は、自分で合理的なデザインを生み出せるようになる事に、繋がります。

 

日本の木造住宅は、古来より多くが真壁工法でした。これは、構造材を乾燥させる事は、建物の耐久性を上げる上で、何よりも大切な事だからです。一階の床面を地面から高く上げて、床下の湿気を逃がす事も、耐久性を確保する上で重要です。庇を延ばす事は、夏の日差しを遮ると共に、外壁の耐久性を高める事にも有効です。庭園は、南側に設置した池に反射した光が、建物の奥まで光を届ける工夫がされています。デザインの一つ一つに、歴史が作り出した、理由があります。是非、一つ一つ紐解いてほしいです。

 

茶室から学ぶべき事も多いです。所作や、お茶に対する考え方が空間を構成しています。茶室を構成するのは思想なのです。茶室を構成している、質素な事を良しとする、千利休が提唱する文化は、世界中でも特殊なものです。権力で構成された時代の中で、刀(権力)を外す、にじり口があるのは驚きます。又、茶道には亭主と客を対等と見なす所作が多く、お茶を受ける時に同時に頭を下げたり、茶器の正面を返したりします。茶室でお茶を飲んだ時、確かに自然の一部になるのです。茶室、面白いです。是非、色々見て欲しいです。

 

余談ですが、建物に限らず、身の回りにある様々な形を分析する癖を付けましょう。身の回りすべての形に理由があります。特に、ロングセラーのものは、色んな人にデザインを受け入れられた証拠です。何故、その形が愛されているか調べましょう。ワイングラスあたりから調べたら、面白いかもしれません。

 

桂離宮、超オススメです。一度は訪れましょう。(予約が必要です)

白川郷も泊まれますので、是非、訪れましょう。宿泊すると、亭主が合掌造りについて解説してくれます。


29 生物の形に学ぶ

 

ちょっと、話がそれますが、生物について学ぶ事は、起業家としてもデザイナーとしても、大変に参考になるので、是非、調べてみてほしいです。生物界は、全て他種との競争によって構成されています。生物のデザインというものは、全て、他種に勝る為の必然的なデザインなのです。逆に言えば、他種に勝ったデザインが現存しているのです。ですので、敗者のデザインは存在せず、変わった形にしろ、そのデザインには、勝者としての明確な理由があるのです。

 

例えば、生き物に「目」が出来た事によるメリットは何か、キリンの首が長いのは何故か、地上に出現した植物の戦略とは何か、大型動物のメリットとは何か、なぜ人類は繁栄出来たのか、等、調べてみると面白い事が沢山あります。是非調べてみて下さい。形の話で言うと、手始めに、自分の体の形を分析してみましょう。実に合理的にデザインされています。例えば心臓です。血管を体の中に張り巡らす事で、血液が体の各部の温度を一定にする役割を果たしています。床暖房のような仕組みです。心臓の位置も、当たり前ですが、適切です。一番、守りやすい位置にある事は勿論、ポンプの圧力が最小限ですむ位置に付いています。人体のデザイン、素晴らしいです。流石、神様(笑)。

 

生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。-ダーウィン-

同じように、企業も、大企業が最強な訳ではありません。時代の変化に、最もよく適応したものが、最強なのです。生物の生き残り方の戦略を見ると、企業の生き残り方が見えてくるのです。本当です。

オススメ書籍 地球館生命の星のひみつ(子供向けの本ですが、大変解りやすくて面白いです)


30 インテリアに強くなる。

 

空間における、インテリアの重要性を、まずは認識する必要があります。ほとんどの建築空間は、直線で構成された、シンプルでシャープな構成です。ここに、柔らかみが加わると、空間に優しさが出来ます。住宅では、アクセントとして、柔らかい曲線のYチェアが良く選ばれます。

 

ソファーも、照明も、空間のアクセントの役割を担います。つまり、住宅の内装デザインにおいて、家具の方が主役であり、建築は、それを引き立てる、背景と言えます。竣工写真を撮っていても、家具が入っている写真と、家具が入っていない写真では、見栄えが、雲泥の差です。空間の雰囲気を作るのは、家具なのです。

 

背景とは言え、疎かにして良い訳ではありません。壁や、床や、天井の材料の選定も、非常に重要です。素材が変わると、空間は全く違って見えてきます。壁にクロスを貼る場合と、漆喰を塗る場合では、同じ色でも、ビックリするくらい印象が変わります。それ所か、白いビニルクロスの表面の模様が、ちょっと違うだけで、印象がガラッと変わります。つまり、内装はプランニングと同じくらいに、空間に、影響力があるのです。色々見て、勉強すべきです。

 

大都市に住んでいる学生なら、家具メーカーのショールームや、建材メーカーを見て回るのも面白いです。雑誌や、ネットで検索を参考に、片っ端から回りましょう。買いに来た訳でもないし、ショールームの人に嫌がられると思って、堂々と見に行けない人もいるかもしれません。ただ、そこら辺を上手くやるのも、起業するのに、非常に大切なスキルなのです。私も、他社のモデルルームに、市場調査に伺います(笑)。嫁と子供と行ったりもします。自分一人でも行って、情報を収集します。世の中は、責めたのも勝ちなのです。法に触れない範囲で、果敢に攻めていく必要があるのです。ショールームくらい、さも買う気満々で覗きに行きましょう。

 

手始めにトーヨーキッチンのショールームを見に行きましょう。トーヨーキッチンは、オシャレなキッチンメーカーですが、モダンな照明や家具にも力を入れていて、大学生が見ていて楽しい、建材メーカーだと思います。住宅で、LDKのデザインを他社と差別化する時に、キッチンのデザインは、オブジェ的で非常に重要なのです。オブジェ的なトーヨーキッチンのキッチンを入れると、それだけで、デザイン好きの方が好む、差別化された空間になるのです。

 

又、家具と建築が見事に調和した、フランク・ロイド・ライトの作品を見に行く事を、強くオススメしたいです。どれも、一般公開しています(2017年現在)。家具を空間に合わせてセレクトするのではなく、空間デザインに合わせて作る事で、別次元の完成度になっています。ライトの作品において「家具」とは「建築の一部」なのです。私はヨドコウ迎賓館が好きなので、何度も訪れています。建築は、繰り返し体感する事で、見えてくる事もあるので、何度も足を運びましょう。

 

帝国ホテル(玄関)/愛知県の明治村

自由学園明日館/東京都豊島区

ヨドコウ迎賓館(旧山邑太左衛門邸)/兵庫県芦屋市


31 矩計図を書く。

 

平面図、立面図、断面図、展開図は解りやすいので、説明を省きますが、矩計図とは何を表しているのか、学生は、あまり理解出来ていません。いや、学生どころか、設計事務所に勤めていても、図面の意味を理解して、矩計図が書けるようになるには、最低3年くらい修行が必要です。

 

立面図は、学生でもある程度は解るだろう。見えているものを、そのまま平面的に描いただけの図面です。しかし、矩計図は、建物の作り方を説明する図面なので、建物の作り方を知らないと書けません。作業工程を明記するのは勿論、作業する人の手が届かなかったり、体が入らなかったりして、実際に建築を作れない図面では、本末転倒です。又、きれいなプロポーションを煮詰めるのも、矩計図を利用します。建物のプロポーションは、パースでも、平面図でも、立面図でも、調整しますが、細かい処をもう一度、矩計図で見直します。天井高さを、もう50mm下げようとか、確認します。又、構造材の寸法や、階高を検討したり、配管や照明機器等の受込部材の寸法を確認したりもします。つまり、矩計図は、デザイン的な要素と、施工的な要素を併せ持つ図面なのです。実務経験を積まないと、意味を理解して書けない図面なのです。

 

そうは言っても、解らないなりに調べて、勉強しながら、少しずつ書けるようになる必要があります。個人的な意見ですが、まず、実際に作っている動画を見て(建築知識さんで出版しています)、どのように建築を作るか、ある程度理解してから、矩計図に取り組んだ方が良いと思います。その後、施工的な事や、納まりの事、自分なりの寸法等を勉強し、完成度の高い、自分なりの矩計図を作っていきましょう。


32 意匠系研究室に入る。

 

大学の4年生の時に、所属する研究室を、決める事になると思います。この時に、将来、建築家になるのであれば、どうあっても、意匠系研究室に入るべきです。研究室は、設備系研究室、計画系研究室、構造系研究室、材料系研究室、意匠系研究室、等、色んな分野があります。この中で、卒業設計を行うのが、意匠系研究室に当たります。卒業設計を考える経験は、建築家として独立するのに、大変重要であり、なんとしても、取り組みたい設計です。

 

私が通っていた大学では、意匠系研究室が、圧倒的に人気が高かったです。学生にとっては、卒業論文を書くなんて、つまらない、卒業設計にした方が楽しそう・・という位かもしれません。しかし、志望動機はともかく、現実的に倍率が高いので、希望した人の中で、勝ち抜かなければ意匠系研究室には入れません。ちょっとした、就職活動です。

 

先輩の、卒業設計を手伝っていた事が優先されたり、教授に気に入られていたり、成績だったり、合格の条件は、各研究室で様々だと思います。自分の大学の希望する研究室が、どの様な判断方法で、所属の希望が通るのか、1年生の段階で、調べておく必要があります。

 

そうした情報を得るには、建築サークルに所属するのが有効です、所属サークルの先輩から、色々聞けば良いと思います。私の時は、自校には建築サークルはありませんでした。無かったというより、私が一年生の時に、潰れました。今、思うと、私が主催して、新しい建築サークルを作れば良かったと思いますが、当時、そこまでの行動力や、発想力は私にはありませんでした。

私が所属したかった、研究室は、建築討論会を行い、その内容で院生の生徒が、研究員を決めるという、やり方でした。私は、熱く語る事は、結構得意なので、なんとか合格できました。同じ研究室の仲間からは、沢山刺激を貰う事になります。意匠系研究室の生徒は、製図室に入り浸る事になります。建築について討論したり、卒業設計の相談をしたりします。私が所属した研究室では、写真を撮ったり、陶芸をしたり、絵を描いたり、旅行したりしました。教授の考え方は、色んな経験が、建築を作るという考え方でした。今にして振り返ってみても、その時に経験した事は、私の、建築デザインに対する向き合い方に大きな影響を与えています。直接、建築デザインについて教えてもらった訳ではありませんが、「建築デザインの楽しみ方」に触れる事が出来た経験は、とても重要な経験でした。

 

とまあ、どの研究室に所属するかは、将来を左右する重要な要素なので、大学1年生の時から十分に検討しましょう。


33 何処に就職するか考える。

 

将来的に、設計事務所として、独立したいのであれば、当然ですが、就職先は、設計事務所が最善です。しかし、一口に設計事務所と言っても、実に様々な形態があります。簡単に紹介してみます。

 

◆アトリエ事務所

雑誌に掲載されるような、建物を設計し、コンペなどにも、積極的に参加している。賞を受賞する事が、営業に繋がる。所員の給料は安い。学生がイメージする、建築設計事務所。有名なアトリエ事務所に、所属できれば、所属した経歴が、独立後の会社のブランディングに役立ちます。

 

◆一般設計事務所

アトリエ系ではあるが、過去の実績や、公共事業の入札、地道な営業活動から仕事を作る。大規模な事務所(10~20人)は、主に公共事業で収益を上げ、小さな事務所(1~3人)は、住宅や事務所の設計で収益を上げる。

 

◆組織系設計事務所

日建設計、日本設計、久米設計、等。大規模な、組織的に設計する設計事務所。チームで設計する。日本国内に留まらず、世界の大規模な建築を、設計する。終身雇用も可能な設計事務所。企業的な設計事務所。

 

◆ゼネコン設計部

ゼネコンの設計部。自社で施工する建築の、設計を担当する。ゼネコンの規模や、得意分野によって、設計する建物の、用途、規模が異なる。

◆工務店設計部

自社で施工する住宅の設計を担当。デザイン系の工務店が、他社と差別化を図る為に、設計に力をいれているパターン。専門の設計事務所を超えるデザイン力を誇るケースもある。デザイン住宅の普及に伴い、近年増えてきている。

 

この分類で、独立しやすいのは、アトリエ事務所や、一般設計事務所です。許可を頂いて、アトリエ事務所で、担当した物件を、独立した設計事務所のHPの顔にする事は、独立後のスタートをスムーズにする、非常に効果的な手法です。特に、東京の有名アトリエ系設計事務所で働いて、地方の地元で開業する時は、東京の有名事務所で働いた経歴そのものが、他社との差別化になります。

 

一般設計事務所に勤めた場合でも、基本はアトリエ系設計事務所と同じです。勤めていた所で習得した、デザインや技術を売りものに、営業を始めるのが一般的です。アトリエ・一般設計事務所に共通して言えるのが、担当した物件が、大規模建築だけでは、最初の営業が難しい事です。最初は、小さな物件から、受注していく事になるので、住宅や、小規模な事務所の実績を、会社の売り物にしたい所です。しかし、住宅だけでは、設計事務所として、利益が上がらないので、軌道に乗ってこれば、店舗、アパート、と建物の規模を大きくしていくのが、理想的です。なので、就職先は「小規模の物件も、中規模の物件もこなす、4~6人程度の事務所」が良いと思います。最初、入社した設計事務所が、小規模な物件だけを請負っている会社であれば、転職して、最初に入社した事務所とは違う、規模や、用途、デザインの設計に触れるのが良いでしょう。

 

又、一般設計事務所も、大規模な事務所(10~20人)は、公共事業や、大規模な建築をメインにしており、独立する為に必要な、小規模な建物のノウハウが手に入りません。仕事の進捗も遅く、大規模建築は、設計から、工事完成まで、4年程度かかります。大規模建築も、小規模建築も、基本的にやっている事は同じです。より、多くの建築に触れた方が、成長に繋がるので、小中規模(2000万~2億程度)で、設計から完成まで2年程度の物件を、沢山経験した方が独立までの近道です。

 

しかし、大規模建築しか、経験していなくても、工夫次第で遣り方はあると思います。例えば、自社で、設計・販売までしている意欲的なゼネコンに、自分のデザインや、ノウハウを売り込む方法があると思います。ついでに、ゼネコンの図面書きの下請けの仕事をして、お金を稼ぎましょう。そうした付き合いを経て、独立してからの、実績が蓄積すれば、将来的に自分である程度の規模の建物が、受注可能だと思います。その内、自分の家や、知り合いの事務所等を手掛け、売り物を増やしていけば良いのです。

 

世の中の仕組みとして、実績の無い人に依頼は来ません。住宅を設計した事が無い人に、住宅が依頼される事はありません。工場の設計した事のない人に、工場の設計が依頼される事はありません。つまり、どこに就職するかは、独立した時に利用する、大切な実績作りなのです。勿論、完全な実績にはなりません。勤めていた時の実績が、例え、100%あなたが、担当して作り上げたものでも、独立後にお客様からは、そうは見られません。しかし、実績が無いよりは、遥かに受注出来る可能性が高まるので、色んな設計事務所に勤め、実績作りに励むべきです。例えば、友達が社長なら、勤めていた時の実績があれば、あなたを信じて設計を依頼してくれるかもしれません。しかし、何の実績も無ければ、さすがに頼んでくれないでしょう。そして、一つ正式な実績が出来れば、次はグンと、似たような物件を、受注出来る可能性が高まるのです。

会社に勤めるとは、給料を貰いながら、ノウハウや実績を習得できるという事なのです。どこの会社に入って、どんなノウハウを習得するのか。そのノウハウを利用して、どのような会社を設立するか。就職先の選定は、独立をイメージして選ぶべき、重要なターニングポイントなのです。

 


34 木造について考える。

 

大学の授業で、構造計画や工法の授業で、木造について触れると思います。大学の授業は、学術的視点で語られるので、実践的な知識は、何一つ得られません。大学の授業だけでは、将来の設計事務所の業務というものが、あまりにもイメージ出来ないので、ここからは、少し、「構造」「用途」の切り口から、一般的な、設計事務所像というものを紹介したいと思います。就職や、独立の参考にしてほしいです。

 

一般的な木造の構造的な特徴は、他の工法に比べて、柱が細いという事です。木造では柱に105角、120角が使われますが、105角という事は、壁厚と同じくらいなので、木造だと、柱型が室内に見えません。計画的に言うと、柱型が室内に見えると、部屋の角に家具が置けません、階段回り、お風呂場等、小さいスペースの部屋で柱型は特に、邪魔になりますが、在来木造にはそれがありません。木造は、構造スパンは3.6M(2間)程度までで抑えるのが、一般的です。つまり、小規模な建物か、部屋が小さく区切られている建物に、適した工法です。

 

木造は、各種、構造の中で、価格が最も安い工法です。価格が安いという決定的な理由で、様々な用途で使われる工法です。住宅は勿論、事務所、店舗、アパート等、多くの用途で使用されます。アパートなんて、火災の問題、騒音の問題等を考えれば、鉄筋コンクリート造で作る方が、遥かに適しているのにも関わらず、利益率重視のアパートは木造で計画される事が多いです。それ程に、「価格」とは全てに優先される場合があります。

 

木造は、設計事務所業界においても、頻繁に使われている工法です。工務店等の、施工業者の数が市場に多いのも助かります。設計をした後に、工事をしてくれる業者を探すのが、比較的簡単な工法なのです。デザインで他社と差別化すれば、構造は安い工法を選定すべきです。木造の、売れ筋のデザインとして、柱や梁を露出させたデザインが流通しています。木造を主力としている沢山の設計事務所が、柱や梁を露出させた構造美を生かしたデザインで売り出しています。柱や、梁のイメージに合わせ、家具や建具をデザインし、統一感のあるデザインにする事で、ワンランク完成度を上げたり、逆に、モダンな家具を組み合わせて、イメージをガラッと変えたりするのも効果的です。

 

しかし、梁や柱を露出させた、差別化したデザインは、近年、何処の工務店でも取り組んでいる、一般的なデザインです。より、ハイセンスにまとめるか、新しい何かを追加して、デザインの差別化をしないと設計事務所としての価値がありません。設計事務所は、住宅市場では、工務店に真似できない高いデザイン力で勝負するか、特殊な知識で差別化する必要があるのです。ようは、工務店の設計力を超えていないと、ビジネスにはならないのです。

 

木造は、最も良く使われている工法ゆえの、競争があります。この市場で、仕事を作りだすのは容易ではありません。何か対策が必要です。


35 鉄骨造について考える。

 

鉄骨造は、一般的な建築設計事務所では、最も多く使われている工法です。店舗や、事務所、アパートが、価格重視の時は、木造でも、作られているという話をしましたが、そうしたケースの多くは、工務店が主体だったり、不動産会社が主体だったりする場合です。設計事務所の業界は、鉄骨造に慣れているし、木造より鉄骨造の方が丈夫であると考え、鉄骨造を採用するケースが多いです。設計事務所の多くは、工務店や、不動産会社より、価格に対して鈍感です。丈夫でスタイリッシュな建物を、作れば良いと思っています。アパートやマンションの市場から、設計事務所が設計する建物が、少数派になりつつあるのは、設計事務所が共通して、コスト感覚やビジネス感覚が鈍いからです。勤めている時から、価格に敏感になりましょう。

 

鉄骨造は、大スパンが可能で、ある程度の規模なら、迷わず鉄骨造で作る事になります。例えば、工場、大型店舗、大規模事務所、学校、等です。工場が経営の主軸になっている、設計事務所は多く、そうした事務所は、鉄骨造が得意です。工場は、設計が簡単な割に、規模が大きいので、会社に利益が出ます。私も、勤めていた時に、多くの工場の設計に関わりました。しかし、工場の設計は、面白くありません。必要な工場室に、事務所をくっつければ、大抵完成します。正直、私は、工場の設計に嫌気が指して、独立しています(笑)。工場専門の設計事務所にすれば、儲かりそうですが、私は全く興味がありません。

 

建築設計事務所で、独立するなら、最低限、木造と鉄骨造を、マスターする必要があります。規模に合わせ、小規模なものは、木造。中規模・大規模なものは、鉄骨造で設計する必要があるからです。


36 鉄筋コンクリート造について考える。

 

鉄筋コンクリート造は、一般市場ではマンションくらいしか、使われていない工法です。勿論、少数ですが、住宅や店舗でも、使われている工法ですが、あまり普及していません。鉄筋コンクリート造は高性能で、高耐久ではあるのですが、価格が高い事がネックになり、選定されにくい工法です。

 

鉄筋コンクリート造は、耐火建築にするのが簡単です。コンクリート造の躯体の壁が、何もせずに耐火壁になります。耐火性や遮音性に優れるので、工法的にはアパートに向いていますが、価格的な理由で、アパートでも木造や鉄骨造に押されています。一方、公共建築には、一定の割合で使われている工法で、公共建築がメインのゼネコンの現場監督は、鉄骨造と、鉄筋コンクリート造は解るが、木造は解らないケースも多くあります。

 

鉄筋コンクリート造は、ラーメン工法の場合、柱と梁のサイズが、鉄骨造に比べて大きくなり、空間的に邪魔になります。外壁が、土圧を受けたり、何か特殊な理由が無い限り、鉄骨造で設計する方が一般的です。

 

デザイン的に、コンクリートの打ちっぱなしを利用した、建物は多く見られます。安藤忠雄氏が有名ですが、安藤忠雄氏は、小規模なコンクリート住宅を沢山作っています。関西方面に、非常に多くの安藤事務所が設計した建物があります。設計事務所のブランディングとは、こういう事だ、という一例です。当社も、鉄筋コンクリート造で、ブランディングしています。優れた性能を誇る、鉄筋コンクリート造で、価格を抑えた、住宅を提案しています。


37 住宅について考える。

 

住宅業界は、間口が広く、色んな業者がひしめきあっています。ハウスメーカー、工務店、設計事務所、ゼネコンの住宅事業部、不動産、リフォーム会社、これ程、多様な業態の会社が、同じ「住宅」というものを販売しています。

 

このひしめき合っている状態は、他の士業には考えられません。弁護士、行政書士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、公認会計士。色んな士業がありますが、競合先は同業者(同じ士業)です。設計事務所(建築士)だけが、唯一、他の業態と競合しなければ、ならないのです。

 

ハウスメーカーや、工務店と競合するのは大変な事です。皆、必死で、会社を守る為に、色々研究し、市場に新しい商品を提供しています。設計事務所で、住宅を販売するという事は、その市場で勝つという事なのです。

 

私には、色んな士業の友達がいますが、みんなHPを持っていません。「作らないといけないと思っているけど、忙しくて・・」その程度の考え方です。逆に言えば、その程度の考え方でも、やっていけるのです。設計事務所はそんな訳にはいきません。住宅市場で、仕事を受注するという事は、「商圏の中で、お客様にとって、一番になる」事を意味します。ハウスメーカーや、工務店に負けない、自社の特徴を作り、アピールしないと、まず勝てません。住宅市場は、とても厳しい市場なのです。一方で、住宅市場は、簡単に参入できます。それは、住宅のニーズの多様性によります。色んな家づくりが、求められていて、その全ては供給されていません。ニーズを探し、提供すれば、少しは売れると思います。しかし、会社を継続出来る程、売れるかは別の話ですが・・・。


38 卒業設計に必死で取り組む。

 

卒業設計は、意匠系研究室の学生にとって、最大のイベントです。全身全霊を掛けて、取り組みます。提出間際は、皆、研究室で倒れるように寝ています。そこまで、頑張る事も、生涯少ないです。しかも、楽しい事で頑張れる、素敵な事です。全力でぶつかりましょう。

 

まずは卒業設計とは、どの程度のものを、作る事になるのか、1年生の内に知る必要があります。大学1年生になったら、2月に各学校で開催される、卒業設計展を見に行きましょう。卒業設計展では、卒業生の発表が行われています。先輩が、どのような事を考えて設計したのか、発表を聞きに行きましょう。

 

「せんだいデザインリーグ卒業設計日本一決定戦」を見に行きましょう。日本のトップクラスの卒業設計を見て、それを超えるような、卒業設計を目指しましょう。気持ちで負けていたら、始まりません。まずは、目指すは学生日本一です。仙台が遠ければ、全国各地で大規模な卒業設計展が行われているので、WEBで探して、行きましょう。見る事で、目標が定まり、今後の学生生活を、意味あるものにしてくれるでしょう。

そして、その高い目標を目指し、4年間、積み上げたものを、卒業設計にぶつけましょう。その積み上げた思いを形にした卒業設計は、きっと、あなたの建築家としての核になります。

 

私もたまに、自分の卒業設計を見直します。仕事に振り回されて、精神的に疲れた時とかに、「建築が好き」という、初心を振り返るのに利用しています。

 

22歳~28歳  設計事務所に入社

大学生時代は、まったく解らなかった、設計事務所で独立するという事が、どういう事なのか、少しは見えてきます。なぜなら、設計事務所で担当している仕事を、自分で受注出来れば、独立出来る事が解るからです。


39 会社に入る。

 

設計事務所に入社してみると、自分は、実務の事について、何も知らなかったのだな、と痛感します。勿論、一から教わります。基本的には、中小の設計事務所には、本格的な研修というものは、ありません。とにかく、出来る事から、少しずつ、設計に携わっていきます。

 

私の経験で言うと、最初は、所長が書いた図面をCAD化したり、模型を作ったりしました。設計の事は解りませんでしたが、模型は、実務レベルで作れました。模型、パースは学生の方が、得意です。私が勤めた設計事務所では、いきなりプランニングを任されました。勿論、私のプランだけではなく、上司のプランと2本立てでしたが、実際にプランニングを施主に提案出来る環境である事は、将来独立する上で、とても大切です。しかも、私の場合は、私のプランニングが採用されていました。ただのCADオペレーターや、模型担当、パース担当では、将来独立出来ません。設計した建物が完成する事が、学習意欲に結び付くのです。始めて、設計した建物が建った時は、感動しました。

 

独立するには、積極的に学習していく必要があります。会社で教わる内容に留まらず、常に自分で「独立する」という目標に向かって、進んでいく必要があります。そうして、頑張っていれば、会社も仕事を任せてくれる可能性が高くなります。「こいつに仕事を任せてみよう」と、所長に思って貰える人材になる必要があるのです。頑張っている人は、応援したくなるのが人情というものです。自分で言うのもなんですが、私は、割と目をかけて頂いていました。仕事も任される事が多く、そのおかげで独立する事が出来ました。仕事を任される人材になる為に、どうすれば良いか考えましょう。


40 経験と知識を積み上げる。

 

設計事務所には研修が無いので、基本的な事は、会社の先輩に、教えてもらう事になります。最初の内は、解らない事だらけなので、会社が終わったら、自宅で猛勉強する必要があります。自宅で勉強して、解らない事があれば、又、先輩に聞きます。2年くらいで、先輩を追い抜く覚悟で、勉強しましょう。7年で独立するには、そのくらいのペースで、成長する必要があります。独立を決意している先輩がいると、ラッキーです。色々、話を聞いて、勉強させて、もらいましょう。

 

現場(工事監理)も経験できる会社ではないと、本当の意味で建築を理解出来ません。図面だけ書いていても、独立出来るレベルまで到達、出来ないのです。現場に出ると、設計図書を使って、どのように現場で工事されているのか、解ります。現場を経験すると、何を図面に明記する必要があるのか、具体的に解るのです。学生の時は、DVDや動画で勉強するのが、精一杯です。しかし、プロになって、現場を担当出来れば、自分の目で直接確認できるのです。その時、初めて、自分は何を図面に書いていたのか、ようやく解るのです。

 

7年くらいの在籍では、精々15棟くらい担当出来るくらいです。一棟、一棟、必死で勉強しましょう。出会う人(現場監督、職人、電気担当者、構造設計者、設備担当者、等)全てが、先生です。色々、教えてもらいましょう。私は、今年で業界19年目ですが、未だに、毎回、現場監督や職人に質問しています。逆に、質問する事を考えておいて、ストックしている状態です。現場の生の声というのは、建築を作る上で、とても貴重な声なのです。

 

私は、地方の設計事務所に5年在籍して、12棟担当しました。住宅が8棟(木造7棟+鉄骨造1棟)。事務所1棟(鉄骨造)。店舗2棟(鉄骨造)。店舗改修1棟。その他に、担当していませんが、工場7棟(鉄骨造)、集合住宅2棟(RC造)、病院1棟の担当図面。その他、着工出来なかった物件の、プレゼン図面。等、色々経験させて貰いました。

*担当とは、会社の担当者として、設計だけではなく、現場管理まで携わる事です。

 

要は、30棟程度の物件に関わり、独立に至った訳です。私が勤めた設計事務所は、中規模の設計事務所だったので、住宅から、工場まで、色々経験出来ました。所長が箱物建築、副所長(奥様)が住宅を担当していて、両方の考え方に接した事は、今思えば、自分の建築に対する考え方を模索するのに、最適な環境でした。公共事業は、集合住宅の2棟しか、経験していませんが、独立して、公共事業に参入するのは、現在、中々大変です。公共事業は、依頼案件と、同規模の実績が、事務所に必要です。新設の設計事務所に、そんなものある訳ありません。公共事業は、新規参入が非常に難しいのです。民間事業で勝負する方が一般的です。

 

工場の設計業務は、市場に結構ありますが、実績の少ない、新規の会社が受注できる設計ではありません。小規模な事務所や店舗なら、実績に少ない事務所でも、ツテや在籍中の実績で、受注出来る可能性があります。全ての用途の中で、住宅が一番、受注しやすいでしょう。多くの独立する方が、住宅設計から、独立をスタートする事になると思います。となると、住宅が解らないと、独立は難しいです。住宅に関わる知識を、設計事務所に在籍中に、積み上げましょう。


41 二級建築士を取る。

 

建築系の大学を、卒業していれば、卒業と同時に、二級建築士の受験資格が貰えます。一級建築士の前哨戦として、受けてみましょう。

 

合格率は、学科と製図を合わせて、22%ぐらいです。二級建築士は、設計事務所の所員だけではなく、現場監督、ショールームの女性や、建材メーカーの社員等、色んな方が受験する、窓口の広い試験です。しかし、設計事務所の所員にとっては、試験内容は仕事内容そのものなので、他の受験者より有利です。必ず合格したい所です。大学生の頃に、インテリアコーディネーターを受験していれば、学科の一次試験は、類似範囲なので、合格しやすいでしょう。二級建築士でも、持っていないよりは、勿論、持っていた方が良いです。就職1年目に、取ってしまいましょう。

 

私は、偉そうな事を散々書いていますが、一級建築士の合格に8年も掛りました。ですので、独立は、二級建築士事務所でスタートしています。そうならないように、皆さまは、二級建築士を簡単に合格し、二級建築士で勉強した事を忘れないうちに、最短の就職3年目に一級建築士を受験しましょう。

 

設計事務所として独立するには、最低限、二級建築士の資格と、管理建築士の資格が必要です。管理建築士は、実務経験が3年間必要な試験ですが、まず試験に落ちる事はありません。しかし、管理建築士の資格が出来てから、設計事務所に就職せずに独立する事は、不可能になりました。最短で設計事務所に就職してから4年目に、独立する事になります。


42 一級建築士を取る。

 

一級建築士の受験資格は、大学を卒業して、二年間の実務経験があれば貰えます。大学院を卒業している場合は、実務経験が、無くても受験が可能です。

 

一級建築士の資格があれば、少しは、資格手当が付くと思いますし、独立の為には、独立前に、持っていて然るべきです。会社に勤めながら一級建築士の試験勉強をするのは、大変ですが、頑張りましょう。合格率は、学科と製図を合わせて12%位です。二級建築士と違って、受験者は皆、必死で勉強して合格を目指します。合格率の数値以上に、二級建築士とは合格難易度に差があります。合格を諦めて、受験を諦める人も多いです。試験前の一年間ぐらいは、休みは全て勉強に充てる覚悟が必要です。割り切って、1年間は全ての空いている時間を一級建築士の勉強時間に投入し、なんとか、受験1年目で合格したいものです。この試験に手こずっていると、彼女とデートもままなりません。一級建築士の試験は、就職してからの青春を犠牲にして受験する事になる、恐ろしい試験なのです。

 

一級建築士を、独学で合格するのは、至難の業です。90万程度費用がかかりますが、日建学院や総合資格といった、学校に通った方が無難です。私は、独学で挑戦していたのですが、ついに合格出来なかったので、最終的には、日建学院に通いました。そこで、周りの人の、勉強量に圧倒されました。皆さんは、私の様に、ダラダラと8年も試験勉強を行う事にならない為に、1年目から猛勉強して下さい。それが、一番の合格への近道です。

 

アドバイスとして、学校の模擬試験の結果が良くても、合格できる訳ではありません。過去問に強いと、学校では、偏差値が高くなります。しかし、本試験では、そこまで過去問の割合が、多い訳ではありません。過去問を解くだけではなく、応用力を養い、幅広く勉強しましょう。日建学院で、トップの成績で、学校からA判定を貰っていた知合いが、2年間続けて一次試験に受からず、一級建築士の合格を諦めました。学校での模擬試験の点数が高いだけでは、合格出来ない試験なのです。逆に私は、7年目、試験直前の、日建学院での偏差値が49でしが、本試験は偏差値68でした。応用力が偏差値を19も上げる、恐ろしい試験なのです。

 

学科を合格すると、製図試験になります。提示された条件を満たす建物を、計画する試験です。個人的には、受験するまでは、試験の製図は得意分野だと思っていました。しかし、私は合計3回、二次試験(製図試験)に落ちています。4回目で、ようやく受かりました。提示された条件を忠実に、図面化する必要があるのですが、私の場合、頭の中で勝手に条件を付け加えたり、削ったりして設計してしまって、合格出来ませんでした。私のようなパターンで、合格出来ない、自称、二次試験が得意だと思っている人は大勢います。一級建築士の製図の試験は、素直な姿勢で、臨む必要があります。建築家として、良い設計にしよう、とか思って試験に臨んでいたら永遠に合格出来ません。機械のように、提示された条件を忠実にクリアしている設計を、完成させるのです。

 

しかし、一級建築士の資格を取得すれば、いつ独立しても、おかしくありません。独立という、目標の為に一級建築士の試験、頑張りましょう。私は、一級建築士の試験に散々苦しめられましたが、合格した時は本当に嬉しかったです。「適当にやっていても、いつか何とかなる」という、自分の甘い考え方を見直す、良い経験になりました。


43 建材を知る。

 

プロとして、やっていくには、色んなメーカーの建材に、精通している必要があります。ここで言う「建材」とは、メーカーによって、製品化された商品の事で、建築とは、建材の組合せで出来ています。

 

見積図面に、建材を指定しなかった場合は、建設会社は中級品(一般流通品)で見積りをする、事になっています。しかし、デザインに特徴を持たせる時に、建材を調べ上げ、イメージするものに近い建材を、自分で選定する必要があります。例えば、パラペット天端に、アルミの笠木を設置するとします。外観に、シャープなイメージを付けたい時に、アルミ笠木をスッキリ見せるのに、笠木の先端のデザインを模索します。色んな建材メーカーを調べ、イメージに近い商品を探します。その商品の品番を図面に記入すると、その商品で見積もられる事になるのです。

 

このように、自分のイメージに合う建材を探し、組み合わせる事は、自分のデザインを作る事に直結するのです。ですので、色んな建材メーカーに精通すべきです。大学生時代は、まずは、見る事が可能な範囲で、色んな建材メーカーのショールームを回ってみましょう。

 

Panasonic:ほとんど全ての建物の部位の、建材を取り扱っている。超大手。

ABC商会:かなりの部分の部位の建材を扱っている。どちらかと言うと店舗系。

LIXIL:住宅設備機器、ドア、タイル、窓。

マルホン:無垢の木質建材。


44 ディテールを作る。

 

「Less is more.」(より少ないことは、より豊かなこと)

「God is in the detail」(神は細部に宿る)

は、近代建築の三大巨匠の一人、ミース・ファン・デル・ローエの言葉です。

 

建築学で言う、ディテールとは、建物の細部の詳細や、納まりの事を指します。良く、検討されるのが、窓回りのディテールです。例えば、サッシ枠を極力見せず、シンプルにガラスのみを見せる、ディテールがあります。逆に、ガラス枠を主張させ、窓を象徴的に、見せるデザインもあります。実務設計では、建物のイメージに合わせて、ディテールを作ります。

 

ディテールを自分で作れたら、一人前と言えます。それ程に、ディテールを検討するのは難しいです。多くの建築家が、ディテール集を出しています。参考に、自分なりのディテールを考えてみましょう。

 

ディテールは、建物の至る所にあります。部材と部材の接合部は、全てディテールです。巾木、廻り縁、窓枠、見切り、ドア枠、照明回り、外壁のコーナー、水切、全て、ディテールなのです。既製品で納める場合は、メーカーのディテールを利用する事になります。しかし、より自分のイメージに合ったデザインにする為に、造作で納める場合は、ディテールを建築家が作る事になります。(造作とは、規格品の商品ではなく、材料を加工して作る事です。)

 

大学生は、まずは基本的な納まりを、学習すべきです。教科書にも少しは載っていますが、実務的な納まりは記載されていません。しかし、建材メーカーのカタログを見ると、自社で販売している建材の、参考納まりが、巻末に全て記載されています。まずは、WEBのネットカタログで参考程度に、各種納まりを覗いてみましょう。実務では、質問があれば、建材メーカーの営業が、直接会社に来て、詳しい事を教えてくれる仕組みになっています。

 

ディテール集に載っているような、有名建築家が実践しているディテールは、問題が起こりやすい、踏み込んだものが多いです。建物見学に行くと、雨漏りしたり、部材が曲がっていたりしています。美しい納まりは、問題の少ない、ディテールではないのです。逆に、問題が起こりやすいディテールなのです。

 

一番、問題の少ない、無難な納まりは、建材メーカーが推奨する納まりです。建材メーカーは、クレームが出ない事を第一に、納まりを考えます。有名建築家は、美しい事を第一に、ディテールを考えます。又、建材メーカーは、汎用性の高い、一般的なディテールを考えます。有名建築家は、その建物のイメージに合わせて、デザインします。結果、同じ用途だが、似て非なるものになるのです。このように、一口にディテールと言っても、実に、様々なのです。

 

建物を見学する時に、ディテールも観察しましょう。実に、色んなディテールが、世の中にはあります。雨納まりが、どうなっているか、確認しましょう。外部のディテールは、雨との闘いだと言って良いです。漏水しない、美しい納まりを、全ての建築家が、検討しています。私にも、私なりの、ディテールというものがあります。鉄筋コンクリート住宅のディテールは、それ程、流通していません。自分なりに「作りやすさ+価格+美しさ+防水性」の総合的な観点から、ディテールを開発しています。詳細は企業秘密です(笑)。みなさんも、自分なりの、ディテールを開発してほしいです。

手始めに、納まりの基本である、窓回りの納まりを見てみましょう。「YKKap カタログ」とWEBで検索してみましょう。ネットカタログが閲覧出来ます。住宅の窓のカタログを開くと、最初の方に実際のサッシの断面がCGで書かれています。巻末の方に、納まり図が記載されています。見比べてみましょう。サッシの周辺には、つばが付いています。このつばに、防水シートを被せる事で、水が内部に入らない納まりになっています。住宅サッシメーカーのショールームに、実物の窓のカット断面が展示されているので、見に行きましょう。カタログを見るよりは、遥かに解りやすいです。

 

慣れてこれば、色んな建材メーカーのネットカタログを閲覧してみましょう。一般ユーザー用のページと、プロ用のページがありますが、プロ用のページのWEBカタログを閲覧すると、色々と専門的な事が書いてあり、簡単に、プロの世界を垣間見る事が出来ます。気になるメーカーがあれば、直ぐに、ショールームに行きましょう。カタログで勉強するのと比べて、100倍楽しく勉強する事が出来ます。

 


45 照明計画に強くなる。

 

照明計画を実務で行う時に、誰が照明計画をするかはケースバイケースです。

  • 意匠系設計士が自分で行う
  • 照明デザイナーに依頼する。
  • 付き合いのある、電気工事業者に依頼する。
  • 電気設備設計士に依頼する。
  • 照明メーカーに、プラン作成を依頼する

 

と、実に様々です。照明計画が建築デザインに与える影響は大きく、照明計画が重要な建物の場合は、照明デザイナーに依頼する事になります。しかし、一般的な住宅や小規模な店舗、事務所の場合は、①③⑤のケースが多いのではないでしょうか。

 

③は、営業図面として依頼するパターンで、費用が掛からないケースがほとんどです。その代わりに、指定業者(電気工事を行う業者)扱いにするケースも多いです。お互いにメリットを作り、協力してもらうという事です。

 

④は、公共物件では、電気、設備設計を、専門の電気設備設計士が行う事は義務化されています。しかし、小規模な民間物件では、費用が掛かるので、電気設備設計士が行うケースは少ないです。大規模な物件や、専門性の高い物件の時は、電気設備設計の一部として、照明計画を依頼する事になります。

 

⑤は、平面図を照明メーカーに送れば、参考プランを、照明メーカーが作ってくれるサービスがあるので、それを利用するものです。工務店の多くが利用していますし、設計事務所でも利用している所は結構あると思います。設計事務所側で、ラフプランを製作し(照明の種類や位置を記載)、機器の選定と、照度計算だけ依頼すれば、設計意図を組んだ照明計画を行う事が、可能です。私も、独立当初は、照明計画の事が、詳しく解ってなかったので、⑤を利用して、照明計画を行っていました。建物が完成したら、夜も見に行って、自分が計画した照明計画がどの様な光の空間を作っているか、確認しに行きました。それを繰り返す事で、照明計画が完全に自分で出来るようになりました。

 

住宅の場合、照明機器の選定は、インテリアとも密接な関係にあります。一つの照明を象徴的に見せる為に、他の照明機器は見えないようにしたり、天井をスッキリ見せる為に、壁にのみ照明を配置したり、間接照明を利用したりします。空間の印象を損ねない照明計画や、内装計画と合わせた照明計画を行うには、意匠設計者が自分でするのが一番良い気が、個人的にはしています。

 

近年、照明を特集した雑誌も多く発売しています。専門的な内容も多く記載されているので手始めに読んでみましょう。次に、見学に行った建物が、どのような照明計画がされているか、観察しましょう。さらに、自分が行う設計課題の照明計画をしてみましょう。照明計画がされている、学生の設計課題はあまりないかもしれませんが、将来的には大切なスキルです。まずは、自分で設計した設計課題の照明計画を考えてみましょう。一歩踏み込む事で、照明計画にも具体的に興味が出てくるはずです。

 

照明を勉強するには、まずは、友達と新潟の十日町にある「光の館/ジェームズタレル」に宿泊に行くのをオススメします。照明設計の可能性を体感できます。半年前に予約が必要です(笑)。

照明メーカーのショールームに、行ってみるのも良いでしょう。手始めに、インテリア好きの人が好む照明メーカーである、ヤマギワに行ってみると、面白いでしょう。定番商品である、ダイニングテーブルの上に良く使われる、ルイスポールセンのPH5と、リビング空間にアクセントで使われる、アルコランプ/カスティリオーニを見に行きましょう。この二つの照明器具から、照明器具が、住空間のアクセントになる事を、確認出来ると思います。

 

アンティーク照明も、人気が高いです。部屋の中に、一灯アンティーク照明を入れるだけで、ノスタルジックな風合いが作れます。アンティーク照明は一点物なので、ネットで探される人も、非常に多いです。余談ですが、近年、お客様がネットで買われた小物を、支給されるケースが増えました。タオル掛け、ペーパーフォルダー、取手、等、個性的な商品が、ネットで簡単に購入出来ます。建築士として、色んな商品やサイトに詳しくなり、お客様が望む商品が載っていそうなサイトを、紹介出来る必要があります。

 


46 外構・植栽計画に強くなる。

 

建物の外観デザインは、外構計画によって引き立てられます。建物が単体で存在しているのと、建物の前に一本、樹があるのとでは、印象は全く違います。プランニングをする時に、植栽の計画や外構計画も同時に行うと、完成度の高い外観デザインを作る事が出来ます。

 

住宅は特に、外構計画と密接な関係があります。住宅のアプローチを塀や、樹で演出する必要があります。ケースバイケースで色んな業者と協力してデザインする事もあります。本格的な庭園であれば造園屋と協力する事になりますし、エントランス周りをエクステリア業者にプランを提案してもらう事もあります。しかし、照明計画と同じですが、自分でした方が、建物と調和したプランになるケースが多く、専門的な庭園計画以外は、自分で設計した方が良いと思います。建物が、ただの四角い箱であっても、外構計画に工夫を凝らす事で、趣深い外観デザインが作り出せるのです。

 

照明の時と繰り返しになりますが、建物の見学に行った時に、どのような意図で外構計画をされているか考えましょう。そして、設計課題に外構計画を盛り込みましょう。外構計画の大切さが模型でも解るはずです。外構がしっかりデザインされた建物は、グレードが違って見えるのです。

 

外構計画の勉強に、京都に旅行に行きましょう。建物のアプローチ計画の見事さや、小さな坪庭空間の演出、等、住宅の外構計画の参考になる要素が、京都には満載です。小さなお寺を回り、重森三玲さんの庭を堪能して、坪庭のある宿に泊まりましょう。楽しみながら、勉強できます。


47 造作家具・建具に強くなる。

 

部屋のデザイン性を高める時に、造作家具(家具職人に、オーダーで作ってもらう家具。寸法や材質が自由に指定できる。)と造作建具を利用するのは、設計事務所業界では、定番の手法です。例えば、リビングの正面にTVボードを置く時に、造作家具でTVボードを作れば、壁の端から端まである、納まりの良い家具にする事が可能で、一般的な置き家具と比べて、見栄えが良いです。さらに、建具も家具に合わせて作ると、部屋に統一感が出来ます。

 

近年、建材メーカーが作る既製品の家具や建具にも、非常にスッキリした納まりの、商品が出てきています。ですので、以前に比べ、造作の家具や建具でデザインする理由が、少なくなりました。しかし、それでも、家のコンセプトに合わせて、自由にデザイン出来る、造作家具や建具で構成すると、ワンランク上の内装になります。設計事務所の所員は、造作家具や建具のデザインを力を入れて、勉強すべきです。又、本格和風住宅の場合は、既製品だと上手くデザイン出来ないので、全てを造作でデザインします。様々な造作家具・建具のデザインに触れて、自分の好みのデザインを見つける必要があります。

 

実務では、家具図という図面があり、矩計図と同じように、どのように家具が作られているか、解っていないと書けない図面です。家具図を書けるようになる為に、まずは、自分の家の家具を、詳しく観察する事から始めましょう。どのように、補強材が入っているか、各部の詳細がどのようになっているか、チェックしましょう。実際に、自分で引き出し式のチェストを作れば、簡単に家具図を理解出来るでしょう。細かな寸法感覚(10mm、15mm、20mmの印象の違い)も身に付き、一石二鳥の勉強方法です。


48 転職する。

 

3年程勤めたら、転職するのも悪くありません。違う考え方の会社を数社、見ておいた方が、独立するのに有利です。勤めている間に、設計事務所の業界にも精通して、他社の状況も解ってきます。最初に勤めた会社よりも、自分の独立に有利なスキルが獲得できる会社が何処か、解っているはずです。

 

3年程度、経てば、入社当初よりも、自分がどの様な建築家になりたいのか、解ってきます。この時期に、自分の現状と、将来像を見つめ直しましょう。その上で、その時の自分に足りないものを埋める為に、どうすれば良いのか考えるべきです。個人的には、転職するなら、そのタイミングで1カ月ぐらい、海外をフラフラしたいですけどね。

 

私は、就職先には満足していたので、転職する事は考えませんでした。転職しない事で、より重要な仕事を任せて貰えるように、なるからです。しかし、他の設計事務所で独立している同業者の人を見ると、二社くらいは勤務されているケースも多いです。転職は、あなたに、新しいスキルと、新しい視野を与えてくれます。転職するかは、非常に重要なポイントなのです。

 

日本を代表する建築家である、隈研吾氏は、組織系設計事務所である日本設計→戸田建設→コロンビア大学の研究員→設計事務所設立、と転職されています。設計事務所で独立するには、異色の経歴と言えますが、結果として大成功されています。どういう経歴が、あなたの独立に役に立つかは、自分で判断するしかありません。よく考えて、転職しましょう。

建築家、走る/隈 研吾 :隈研吾氏の設計事務所運営の体験談


49 人脈を作る。

 

会社に通うだけではなくて、イベントや、各種団体に所属する等、色んな所に顔を出すべきです。学生時代と同じ事ですが、面白い場所には、前向きな人が集まり、彼らから刺激的な話や、アドバイスを貰えます。そこで作った、人脈から、色んな考え方を聞いたりして、自分の視野を広げる事が出来るのです。

 

私の話で言うと、独立を決意させられたのは、イベントで知り合った知人の後押しでした。「そろそろ独立したら?」と、気軽に言われました。私は独立したいと、思っていましたが、昔からの友達は、普通そんな前向きな事は言いません。独立するのはリスクがあり、失敗したら大変だという考え方です。

 

しかし、その知人は、業種は違いますが、20歳くらいで起業していて、その頃すでに、それなりの業績を上げていました。他の、イベントで知り合った知人も「まあ、独立してみたら良いんじゃない」と気軽に言います。その人も、起業していました。私はそうした、起業を前向きに考えられる人との出会いによって、未知の起業に、踏み切る事が出来たのです。出会いは大切です。

 

基本的な事ですが、独立したいのであれば、相談は独立した人にすべきです。独立の経験が無い、一般会社員の方の意見など、参考になるはずがありません。立場が違えば、考え方は違います。自分の目指す道を、先に進んでいる人にアドバイスを貰いましょう。そうした人に出会うには、色んな所で人脈を作る必要があるのです。


50 経営を学ぶ。

 

独立を決意したら、会社を辞める前に、ビジネスプランを作っておく必要があります。会社を辞めてから、ビジネスプランを考えるのでは、計画が遅すぎます。もしも、ビジネスプランが、考え付かなかったら、どうにもなりません。

 

手始めに、起業塾に入る事を、オススメします。富山県だと「とやま起業未来塾」という塾があります。独立希望者を集め、講習会を複数回行い、ビジネスプランを作成する会です。起業者を支援する組織は、各県にあると思うので、探してみましょう。経営の最低限の知識が、身に付きます。塾には、起業を志す、似たような環境の人が大勢います。起業について、話をするだけでも、気持ちが前向きになります。

 

しかし、注意しますが、ビジネスプランの煮詰めすぎは、良くありません。経営の初心者が、完成度の高い、ビジネスプランを作成するのは、経験が無いので不可能です。百戦錬磨の経営者ですら、完璧なビジネスプランは、作れません。逆に、彼らは、想像だけで完璧なビジネスプランが、作れない事を知っています。市場の反応を見て、PDCAサイクルを繰り返し、ビジネスプランを完成させる必要があるのです。ビジネスプランは必要ですが、ある程度考えたら、とくかく一度やってみましょう。答えはそこにあります。

 

起業家とは、こんな人です↓ とにかくやってみる、を実践されています。

DMM.com会長:亀山敬司 /フジテレビオンデマンド ハミダシター


 

51 自社のHPを作る。

 

会社を辞める前に、自分の会社のHPの枠組みぐらいは、完成させておきましょう。勤めていた時の、担当物件の実績が、掲載出来れば、それをメインに構成します。無理であれば、イメージ写真や、CGパースを利用して作りましょう。自分の進むべきデザインの方向性が、はっきりしているなら、担当物件を載せずに、CGで、自分の世界観を表現しても、良いかもしれません。ここでも、CGのスキル大切です。

 

基本的な、ビジネスの考え方だと、まずは、会社の「売り」を考えます。「売りを作る手法:UPS戦略、ブルーオーシャン、ニッチ戦略等」オーソドックスに考えると、会社の特徴を決め、その領域では、他社よりあなたの会社が優れている状態を作り出すのが、基本戦略です。建築の設計を、依頼されるという事は「商圏において、あなたの会社が、お客様にとって、一番である」という事です。どのような「売り」なら、お客様にとって、あなたの会社が、一番に成れるか、考えましょう。

 

解りやすい例で言うと、価格です。商圏において、一番価格が安いとします。お客様が求めるものが、価格が全てなら、このお客様は、あなたに依頼します。しかし、価格で勝負するのは、通常、上手くいきません。逆に、設計料を高くする為には、どうすべきか考えるのが、経営というものです。安さを「売り」にして、長続きした、ビジネスはありません。特に、小規模ビジネスでは・・。

 

私も、初めて直接受注した物件は、WEBから直接受注しました。私が当時「売り」にしていたのは「身近な設計士になる」という事でした。依頼しやすい低価格を明確に設定し、「比べる→解る→楽しくなる」というキャッチフレーズで、デザインを比較する事で、理解してもらう事を、大切にしていました。当時、私は、実家の一室で、起業していました。工務店の下請けで、4棟程、実績があったくらいです。この程度の状態で、設計の依頼があった事は、今となっては驚きますが、当時、確かに、縁もゆかりもない人から、HPで仕事を、受注したのです。

 

HPの力は、偉大です。営業を雇わなくても、営業を自分でしなくても、勝手にHPは営業してくれます。こんな便利なものを、使わない手はありません。起業したら、全力で取り組むべきです。会社の売りを決め、その売りを最大限に解りやすくHPで表現するのです。適当に、実績を載せているだけでは、HPの意味が少ないです。

 

これからの時代は、あなたの会社のファンを作るにはどうすれば良いか考えるのです。ファンを作るには、個性を出すのが一番です。芸能人で考えみましょう。まったく売れなかった芸人が、キャラ設定して売れっ子になった例がいくつもあります。例えば「家事えもん」です。話はあまり面白くないと思いますが、家事が得意な芸人という立ち位置で、家事という分野において芸人で一番になりました。さらに素晴らしいのが、「ドラえもん」に掛けて「家事えもん」というネーミングの素晴らしさ!キャラ押しの完璧なパーケージです。

 

まずは、お客様を獲得し易そうなHPを集めて、何が良いと思ったか分析しましょう。大抵、キャラが立ったHPになっていると思います。


52 親を説得する。

 

独立を決意したら、まずは親を説得しましょう。いや、うちの両親は、考え方が固いから、納得するはずがない。そう考えているようなら、あなたは、経営者に向いていません。利用できる人は、誰でも利用しましょう。その最たる人が親なのです。親の理解が得られれば、事業資金に困っていたら、助けてもらえます。土地の購入等、書類に、連名で、判子を押してもらう必要も、あるでしょう。助けてもらい、成功したら、恩返しをすれば良いのです。

 

私も、当初は、独立に反対されましたが(殆どの親は、反対するかと思います)、最終的には同意して貰えました。実家暮らしでしたので、独立当初は、実家の一室から、スタートしました。勤めていた時は、安月給から、食費くらいは、家に入れていました。しかし、起業してからは、それすら甘えました。

 

親のすねをかじり、独立した訳です。独立当初は、がむしゃらに、やるしかありません。恥も外聞もかなぐり捨てて、目標に突き進まなければ、成功するものも、成功しません。カッコ付けずに、甘えられる所は、甘えましょう。

 

甘え上手な人は、どの世界でも、成功するものです。

甘えられる人に、なって下さい。


53 会社を辞める。

 

勤めていた会社を辞める時は、3カ月前には、言いたい所です。小規模な事務所だと、会社側も、あなたの代わりの人を、探す必要があります。会社側にも、気を配りましょう。優れた経営者は、相手が誰であっても、相手に配慮するものです。ましてや、あなたの独立は、自分が長年お世話になった会社に、少なからず迷惑がかかります。極力、早目に会社に相談して、円満退社を目指しましょう。

 

私も当時、会社を辞める事を、なかなか言い出せずにいました。相手に迷惑のかかる決断を言い出すのは、気が重い作業です。会社の、同僚の方に、退社の相談をして、タイミングを計っていました。しかし、なんと、その方が先に、退社の報告をされました。「早いもの勝ち!」と、お茶目に報告されました。

 

話がそれますが、世の中、早いもの勝ちなのです。これは、世の中の真理です。決断が遅いと、負けるケースが、多々あります。経営者に必要な事に「瞬時に決断する」という事が、挙げられます。優秀な経営者というものは、例外なく、決断が速いものです。それは、決断が遅いと、不利になる事を、身をもって知っているからなのです。即断即決を心がけましょう。

 

退社を決意した当時の私は、二級建築士でした。一級建築士の受験日から、余裕を持って退社して、勉強に費やす予定でした。しかし、同僚の方が先に退社されたので、私の退社は、数カ月遅れました。私が、会社を退社出来たのは、受験日の一週間前でした。つまり、決断が遅れて、自分が不利になった訳です(一時試験、通過はしました)。即断即決の、円満退社を目指しましょう。

 

29歳  設計事務所で、独立する。

いよいよ、独立です。独立したという、高揚感と、先が見えない不安が入り混じる時期です。しかし、手探りで先に進むしか、ありません。

 

会社勤めは、プールで泳いでいるようなものです。安全が保障され、決まったコースを、泳ぐだけです。独立すると、海を泳ぐようなイメージです。目的地を、見失わないように、現在地を確認しながら、泳ぐ必要があります。海の中の危険にも、注意が必要です。海は、プールを泳ぐように、気楽には泳げないのです。


54 独立前に長期休暇を取る。

 

会社を辞めて、自分でビジネスを始める前に、長期休暇を取りたい所です。会社に務めていた頃は、長期休暇なんて、取れません。独立後は、社長なので、自己判断ですが、仕事があると、なかなか休めません。1週間くらいなら、仕事の合間に、時間を作る事も可能でしょう。しかし、1カ月超の長期休暇となると、社会人には許される期間ではありません。

 

つまり、独立するタイミングは、社会人に残された、唯一の、長期休暇のタイミングなのです。オススメは海外旅行をしながら、エネルギーを充電する事です。色んな建物を見て、文化を感じて、独立に備えましょう。普段、何気なく触れている、日本のデザインや考え方を見直すキッカケになるので、経営者としてとても有意義な時間です。独立の事を考えながら、旅行するのも、良いかもしれません。

 

私は、独立する直前にインドにある、コルビュジェが作った都市、チャンディーガルに、僅かな退職金を、全てぶち込んで、行って来ました。そこで、出会った、素晴らしい文化、デザイン、体験は一生の思い出です。

 

設計事務所業界は、漏れなく、残業だらけのブラック企業でしょう。7年間ぐらい働けば、ストレスが蓄積されています。このタイミングで、メチャメチャ楽しんで、発散させましょう。スッキリして、起業に向き合えば、良いアイディアも出るかもしれません。楽しんでいる人は、楽しんでいるオーラを放っているものです。そうしたオーラを是非、身にまといましょう。それが、チャンスを呼び込むのです。


55 社名を決める。

 

社名とは、会社のイメージを司るものなので、考えに考えて、決める必要があります。一番良く見かけるのが、氏名+設計事務所、のパターンです。

 

◆隈研吾建築都市設計事務所

◆伊東豊雄建築設計事務所

◆藤本壮介建築設計事務所

 

会社のコンセプトや、イメージを考慮して、造語や、変わった言葉で、社名を作るケースも多いです。

 

◆SANAA

◆nendo

◆みかんぐみ

◆シーラカンス

◆建築設計事務所バケラッタ

 

一度、決めると、変更するとすれば、個人経営から、株式会社に変更するタイミング、ぐらいです。当社は、独立当初「studioそら建築設計事務所」でした。常に移ろいゆく、「空」のような建築を目指して、その名前にしました。独立して11年目で、会社を、株式会社に変更しました。企業理念を見直し、企業理念に沿った「株式会社RC design studio」に社名を、変更しました。

 

社名とは、企業理念と、リンクしている必要があります。そう考えると、独立当初から、企業理念も合わせて作るべきでしょう。難しいでしょうが、企業理念も考えてみて下さい。

 

まずは、設計事務所名、設立予定年月日を決めましょう。

目標を記載する事は、実現に向けての、第一歩目です。

 

設計事務所名           

設立予定年月日          

設立予定地            

その他              

 


56 企業理念を考える。

 

企業理念を考えるというのは、大変難しい事です。独立、当初は、経営の「け」の字も知らない、素人の状態ですから・・。しかし、個人経営と言え、会社を設立して、世の中の一員として、仕事を行う訳ですから、世の中に、自分の会社の存在価値を認めてもらう必要があります。

 

会社は、お金を稼ぐ為の、システムではありません。会社とは、世の中で、誰かの役に立つ為に、存在しているのです。ここを間違ってはいけません。非常に重要なポイントです。世の中の役に立って、結果的にお金を得るのです。世の中に生かされるには、どのような会社にすべきか、考えるのです。決して「お金を儲ける為には、どのような会社にすべきか」と、考えてはいけません。

 

会社の存在理由について、興味がある人は是非、ドラッカーのマネジメントを読んで下さい。社会は、どのような仕組みで成り立っているか考えるのも、経営者にとっては、大切な事です。

 

しかし、設計事務所で企業理念を掲げている人は、多くはありません。又、企業理念を掲げながら、上手く使いこなせていない会社は、多いです。しかし、成功している会社というのは、必ず、企業理念に沿って経営しているものです。始めは戸惑うと思いますが、解らないなりに、企業理念に沿った経営を実行しましょう。

 

当社も、実は設立7年目に、企業理念を設立しました。それまで、手探りで、受けられる仕事は、全てこなしてきました。私は、仕事を断らない主義でした。しかし、それでは、会社の存在価値が、明確にならない事に、気付きました。

 

何故、私の会社は、社会に存在する必要があるのだろう。もっと、社会に必要とされる、会社になるには、どうすれば良いのだろう。悩んだ結果、社会に必要とされる為の企業理念を設立して、会社の幹を作る事にしました。

 

企業理念は、会社の指針です。指針を目指す事は、会社のブランディングにとても有効です。企業理念を作る事で、会社の個性も明確になります。

 

簡単な例を挙げると、清純派で売っている、アイドルがいるとします。今、目の前に、清純派とは掛け離れているが、お金になる仕事があるとします。しかし、その掛け離れている仕事をすると、清純派というイメージに傷が付きます。その結果、清純派の仕事が、減少する事になるのです。清純派を続ける事で、清純派がカラーになって、清純派のお仕事が来るように、なるのです。

 

この「清純派を続ける」という事が、ブランディングであり、企業理念なのです。清純派と掛け離れた仕事は、一時的にお金になっても、長期的には、会社の利益を圧縮してしまいます。つまり、受注すべき仕事ではないのです。企業理念に沿った、仕事をこなす事が、継続的な会社経営には大切なのです。

 

まあ、まずは、気軽に、企業理念を書いてみましょう。あなたの会社が、社会に貢献する為には、何をすべきか、考えると良いでしょう。

 

企業理念「                  」


57 ロゴ、名刺を作る。

 

会社を設立するのに、ロゴは必要です。ロゴは、会社の象徴であり、会社のイメージを可視化する為のものです。社名と一緒に、考えましょう。

 

ロゴの制作を、自分で、考えても面白いと思いますが、プロに依頼する方が無難です。お金が無ければ、ネット上のマッチングサイトを利用しましょう。5000円くらいで、それなりのクオリティで、制作可能です。自分で作るより、遥かに良いものに、なるでしょう。

参考マッチングサイト:ココナラhttps://coconala.com

 

名刺も、マッチングサイトで、一緒に頼んでしまいましょう。名刺やロゴは、会社の顔ですので、素人感が出ていたら、話になりません。自分のデザイン力に自信があれば、自分でデザインするのでも、良いと思いますが、最低限、印刷はプロにお願いしましょう。自宅のプリンターで、印刷するレベルでは話になりません。設計事務所は何千万という、高額商品を扱っているのです。ちゃんとした会社である事をアピールする為に、クオリティの高い名刺を製作すべきです。名刺は、illustratorのデーターがあれば、1000円程で100部、印刷出来ますので、お金が無ければ、ネットプリントを利用しましょう。

 

ビジネスにおいて、体裁は大切です。名刺、衣服、時計、靴、車、カバン。お客様は、相手の恰好で、あなたを判断します。身に着けるものを選ぶ必要があるのです。手始めに、学生時代から、名刺を作りましょう。名刺を作るという事は、自分をアピールするという事です。HPを作り、アドレスを記載しましょう。ロゴを作り、HPのタイトルを、社名にしましょう。仮起業、しちゃいましょう。私も、独立前に、個人的な名刺とHPを持っていましたが、人脈作りに有効でした。私が作っていた、建築を紹介したHPは少しだけ有名で、そうしたサイトの運営者である事が、人脈作りに利用出来ました。面白そうな奴と思って貰う事が、人脈を増やすのに大切なのです。面白そうな人と、友達になりたくありませんか?面白そうな人になると、人脈が勝手に増えるのです。あなたは「うらくん(Ura’s  Page)」を知っているだろうか。2824作品(2017.4.4)の建築を紹介している、巨大建築サイトの運営者だ。彼が、どんな人物か気にならないだろうか。あなたも、気になる人物になってほしい。

 

余談ですが、実際に、学生時代に起業しちゃうという、選択肢もあります。凄く、楽しそうです。実際にビジネスプランを考えてみましょう。

 

◆大学生の「強み」を、考えてみましょう。

①学生が好む、デザインや、趣向が、大人達より解る。

②友達とか、後輩を使えば、人件費がタダ。格安。

③自分の通っている大学の、大学生を、集客出来る。

部室にチラシを貼る。校内の人に声を掛ける。SNSを利用する。友達の友達は友達作戦。

 

え・・・ちょっとまって、スゲー強みじゃん。全然、簡単に起業出来そうです。

 

例えば、店舗設計・工事・WEB制作を請負う、デザイン事務所を設立しましょう。店舗設計であれば、建築士の資格は必要ありません。請負代金の額が500万円未満であれば、建設業の許可は必要ありません。建築工事や、販売促進を、大学生で、やって、しまいましょう。電気配線は、電気工学科。作業は、大工の学校の生徒と提携。デザインは、意匠系研究室の生徒。HPの制作、ロゴ、店舗のチラシは、デザイン学科の生徒。多くの人を巻き込めば、巻き込む程、お店が完成したら、来てくれる人が多くなります。だって、自分達が作ったお店に、通いたくないですか? 開業資金が必要なら、クラウドファンディングで、集めましょう。クラウドファンディングのリターンを、お店のイベントチケットにすれば良いのです。面白そうなので、すぐにお金が集まりそうです。

*クラウドファンディング:WEB上で、自分の事業を応援してくれる人を募集出来るサービス。

 

建築サークルの仲間で、このビジネスモデル、是非やってみてはどうでしょう。結末が知りたいです。メールを頂ければ、相談に乗ります。上手く行けば、そのまま起業出来そうです。2ちゃんねるの元管理人、ヒロユキは、学生時代に暇だったから、HP制作の会社を作ったそうです。学生だからって、起業出来ない訳ではありません。むしろ、学生だから出来る起業方法というものも、あるはずです。探してみて下さい。探す事が、起業のトレーニングになります。


58 営業を開始する。

 

ビジネスは、考えてばかりでは、話になりません。ある程度、考えたら、実行しましょう。実行して、失敗すれば、改善すれば良いのです。何度か話に出てきましたが、PDCAサイクルというやつです。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)を繰り返す事で、業務を改善する手法です。

 

重要な事は、このサイクルを早く行う事です。思いついたら即行動!失敗したら即改善!これが重要なのです。回転数を上げるのです。

 

参考例ですが、独立後、最初に行う基本的な営業に、関係各社にメールの送信、及び、営業の挨拶に伺う、というものがあります。勿論、ただ独立の挨拶をするだけでは問題外です。「売り物」を作り、挨拶がてら提案しましょう。「売り物」とは、例えば、あなたの実績を生かした、設計の下請です。用途、規模、価格、設計内容、参考デザイン、特徴。等を記載した、書類を作成しましょう。そして、その内容について、意見を言って貰いましょう。仮に、仕事を受注出来なくても、あなたに、何が足りないか解ります。それを改善して、もう一度アプローチしましょう。それが、あなたの、起業後、初のPDCAサイクルです。

 

私は、最初に、関係各社に、営業メールを送りました。40通くらいしか送っていないと思いますが、3社から連絡がありました。今、思うと、凄まじい反響率です。伺うと、3社とも設計に対して、悩みを抱えていたので、悩みを解決する形で、最初の、設計の受注に成功しました。その会社の内の一社とは、12年以上のお付合いになり、その会社に足りないデザインの部分を、当社が補足する事で、協力関係を構築しました。


59 信頼される事が重要。

 

起業すると、解る事があります。「人に信用してもらう事は難しい」という事です。あたなが、会社に勤める時に、お客様に信用される事が出来るのは、あなたの背後にある、会社の力なのです。例えば、実績のある会社が、あなたを、仕事の担当者にします。この時に、お客様は「会社が担当者に選んでいるのだから、この業務に対して問題の無い実力があるのだろう、もし何かあれば会社が責任を取るだろう」と、信頼してもらえるのです。

 

世の中、信頼されないと、仕事を受注できません。例えば「トヨタの車は故障が少ないから、次もトヨタの車にしよう」となれば、トヨタが信頼されている状態です。営業マンが、説明が多少下手でも、トヨタの車は、売れるのです。企業が信頼を得る事は、ブランディングの成果なのです。2~3人の会社が、新しい、高品質な車を開発したとします。実際に優れた車でも、誰がその車に乗りますか?怖くないですか?これが、会社に信頼が無い状態です。会社に信頼が無い状態では、商品が良くても売れないのです。

 

しかし、設計は、会社に信頼があるだけでは、受注出来ません。同時に個人としても、信頼される必要があります。この人に任せて良かったと、言われる為に自己研鑽に励みましょう。

 

私の感覚では、3項目の信頼によって、設計を受注出来ます。

◆会社が信頼される。

◆人が信頼される。

◆商品が信頼される。

このうち、どれが欠けても、仕事は受注出来ません。しかし、独立当初は、会社も商品も、当然のように信頼されません。独立に、踏み切れるという事は、ある程度、自分に自信がある状態です。「俺なら出来る」と思わない人が、独立するはずはありません。つまり、基本的には、優秀な人が独立する訳です。しかし、個人が優秀なだけでは、商品は売れません。「会社+人+商品」が総合的に、他社に勝っている必要があるのです。

 

小規模な設計事務所は、どのように、この三項目の信頼を上げて行けば良いのでしょうか。会社の信頼は、大手企業に太刀打ち出来ませんが、ある程度まで頑張り、後は「人」と「商品」の部分で、信頼を集めるしかありません。

 

◆会社の信頼

会社の実績。完成度の高いHP。オシャレな名刺。株式会社にする。会社概要の作成。書類の体裁。

◆人の信頼

ブログの作成。コミュニケーション能力。人柄。資格。デザイン力。身なり。

◆商品の信頼

施主が求めるニッチな商品。特殊な建材を使った差別化。カタログの作成。

 

当社の場合は「専門店化」で、会社の信頼を獲得しています。鉄筋コンクリート住宅という、市場に普及していないジャンルなので、専門店である事は、有効であると考えています。ブログでも、人柄を見せるようにしています。住宅は、人付き合いなので、こちらの性格を、相手に伝える事で、お客様の不安を減少させます。商品の信頼は、鉄筋コンクリート造の、過去の耐震性のデーターでアピールしています。「信頼」は最重要キーワードなのです。


60 融資関係に強くなる。

 

設計事務所は、融資に対して、相談されるケースは、ハウスメーカーに比べて、少ないです。それは、お客様が、会社の社長の場合は、すでに、会社や個人で銀行と取引があり、経営状況が解っている取引銀行に相談されます。又、一般の方でも、自分で銀行を探される方が、多いです。設計事務所に、仕事を依頼される方は、WEB等で、色々、調べに調べて、設計を依頼されるタイプの方です。そうなると、銀行も同じように、自分で、調べて契約されます。しかし、どのように銀行を探せば良いか、出だしの所や、解らない所を、教えてあげる必要があります。相手の、状況に合わせて、教えてあげるのは、銀行を紹介するより、よっぽど難しい作業です。融資に強くなる必要があります。

 

ビジネスは、絵に描いた餅では、話になりません。自分で書いた図面が、幾らで建つのか。ローンを組んだら、月々の支払は幾らになるのか、その金額は、お客様の借りられる金額なのか、お客様にとって妥当な金額なのか、調べる必要があります。好きなようにデザインして、お客様の予算オーバーで、仕事の受注を逃していては話になりません。お客様の、払える金額の範囲でデザインするのは常識です。しかし、予算の部分を適当な対応を取っている、設計事務所は結構多いです。新国立競技場でも、予算を超える提案に、非難が相次ぎました。デザイン優先ではなく、金額を睨んで提案する必要があります。

 

実際問題、融資関係に強くなるには、実践が一番です。色んな、銀行を自分で回るしかありません。銀行ごとに特色があるので、お客様に合わせて、銀行を提案する必要があります。銀行のチラシに表示されている金利は、交渉によって、下がるケースもあるので、複数の銀行に競合させるのも、有効な手です。


61 土地の提案に強くなる。

 

土地の情報に詳しくなる、必要があります。土地から、探されているお客様に、上手く提案出来なければ、みすみすそのお客様を、取り逃す事になります。しかし、土地の提案には、時間がかかります。時間が掛るという事は、会社経費が掛かるという事です。しかも、時間を掛けた結果、予算が合わなかったり、他の建設会社で契約されたり、お客様にならないケースも結構あります。設計事務所は、まったく儲からない仕事です。利益にならない事をしている余裕は、ありません。効率よく、仕事をする必要があります。

 

では、どうすれば良いのでしょうか。私の場合は、お客様自身で、土地を探せるように、教育する方法を取っています。求めている土地に合わせて、探し方、注意点、予算配分、面積、等をアドバイスします。教育すると、設計事務所に依頼される方は、アクディブなので、銀行のケースと同じく、自分で土地を探されます。むしろ、自分で探したい方も多いです。一日中、WEB検索され、良さそうな土地が見つかったら、直ぐに自分で見に行かれています。候補地が絞れた段階で、後は、こちらでその土地に、プラン提案すれば、良いのです。こうるすと、顧客満足度を保ちながら、こちらの手間(経費)が減少します。

 

学生の方は、まずは、宅建を勉強して下さい。そして、宅建に出てきた、キーワードを不動産のHPで調べてみましょう。試しに、Yahoo不動産を検索してみましょう。用途地域、建ぺい率、容積率、地目、等、土地の詳細情報が記載されています。それぞれの意味を確認しましょう。実務では、開発行為(例えば、市街化調整区域の田んぼに住宅を建てる)を行い、建物を建てる事も割とあります。建築家は、土地の事も知らないといけないのです。


62 接客を身に付ける。

 

接客を身に付ける事は、重要です。特に、住宅業界では、非常に重要です。ハウスメーカーの様な、企業的な接客の必要はありませんが、自分の設計事務所のイメージにあった、接客スタイルを確立する必要があります。

 

住宅業界は、全ての仕事の中で、最も高度な接客が要求されます。以前に、お話ししましたが「会社+人+商品」で売る時に、人の割合が大きい業界です。住宅は、会社30%、人30%、商品40%。といった感じでしょうか。家の次に高額商品である、車ですら、会社30%、人5%、商品65%。くらいかもしれません。車を買うときは、商品が重要で、営業は誰でも良いでしょう。

 

あなたの作る設計事務所には、どのような接客が合っているのでしょうか。洋服屋さんのような、カジュアルな接客でしょうか。高級ホテルのような、品のある接客でしょうか。自分で考え、自分流の接客というものを、作っていく必要があります。

 

では、自分流の接客を作るには、どうすれば良いのでしょうか。私が考える、研修方法は、良い接客を実際に体験する事です。自分自身が受けた、参考になる接客を、自分自身でアレンジして、組み合わせていけば良いのです。

 

私のオススメは、一泊5万円程度の、高級旅館に泊まる事です。そこで、良い接客を受けると、こちらが笑顔になる事に気付きます。良い接客とは、良好な関係を作る、第一歩なのです。個人的な体験談で言うと、結婚式場のスタッフも、対応が素晴らしいです。接客に、力を入れていると感じます。ハウスメーカーの接客も、高級ホテル並みの接客力です。住宅を販売するのに、接客はとても重要なので、各住宅メーカーは力を入れています。あなたは、どんな接客を心がけますか?

 

学生の時代から、色んなバイトで、色んな接客を体験しましょう。スターバックスや、ディスニーランドのように、接客に力を入れている企業で、バイトをして見るのも、良いかもしれません。私も、独立した当初は、接客の「せ」の字も知りませんでした。接客って何?設計事務所で接客が必要なの?といった具合です。しかし、工務店と一緒に仕事をした時に、色んな営業の方の接客スタイルに接する機会がありました。丁寧に、丁寧に行う人。フレンドリー接する人。自分の個性で勝負する人。相手の立場を、最優先にする人。色んな接客スタイルを横目で体感しながら、自分ならどうするか、常に考えていました。

 

その、色んな接客スタイルを分析した結果と、色んな所に行って、様々な接客を受けた経験を基に、少しずつ改良を重ねながら、今の私の接客スタイルというものが出来ています。ちなみに、私の接客キーワードは「誠実」です。不利な事も誠実に言う事で、信頼を得る事に繋げます。まあ極論で言うと、設計事務所の接客は、自分らしくやるしかありませんが、様々な接客を体験する事は、必ずあなたの接客に、影響を与えます。自分がされて気持ちよかった事は、同じようにしてあげたいと思うからです。私は、インドのホテルで出迎えられた時の、柔らかい、笑顔になる接客が忘れられません。私の接客にもスパイスとして取り入れています。

京都の俵屋旅館/吉村順三、接客の勉強にオススメです。建築の勉強にもなります。

星のや軽井沢/ぜひ体験してほしい、親しみやすい接客です。

リッツカールトン/言わずと知れた、感動の接客。


63 著作権について考える。

 

建築設計事務所の業務は、著作権について問題になるケースがあります。良くある話で、住宅の競合物件で、競合先に、プランだけ取られるというケースがあります。建築家としては、こんな事が許されてなるものか、とも思うが、実際に裁判を起こす例は、身の回りでは、聞いた事がありません。

 

私も、工務店と協力してやっている時に、数回は経験した事があります。ここで、重要なのが、プランそのものを完全に取られた訳ではなく、主に、コンセプトを取られた事です。私の体験談で、2社競合で、相手がプランを先出しのケースで、相手側は、前面道路側に庭を作る提案でした。相手側は、分譲地用の、オーソドックスなプランでした。所が、そのプランだと、施主には庭と繋がりたいという要望があるのに、奥行が長い大き目の敷地の空いたスペースを、生かせていませんでした。そこで、一般的な住宅分譲地では、あまり、採用されませんが、奥に長くプランニングして、敷地の横側と、裏側にリビングが繋がるように配置すると、建物が庭と馴染む事に気が付きました。

 

打合せは、好感触でした。しかし、後日、断りの電話が工務店に入りました。後から建設地を見てみると、私が、その時提案したコンセプトが、使われていました。プランニングや外観は、70%程度コピーといった所です。しかし、プランニングコンセプトが明確に同じなのです。この程度の事が、競合物件では、良くあります。しかし、仮に著作権違反を訴えて、プランに独創性が認められ、訴訟に勝てたとしても、少額にしかなりません。100%コピーの、よっぽど悪質な事例でもない限り、一般的には、見て見ぬ振りをするしかないのが現状です。だから、住宅業界に、著作権侵害の問題が、無くならないのです。
訴訟しても、経費として割に合わないとなれば、別の対策を、こうじなければなりません。設計契約書に、著作権侵害があった場合の対処を、記載する方法です。これは、されている設計事務所も多いと思いますが、ビジネス的には、良いかどうか微妙です。なぜなら、打合せの導入をスムーズにする事は、大変重要な事です。お客様も、あなたの所に頼んで良いか、悩んでいます。その状態で、設計契約書の契約から入ると「面倒臭い設計事務所」と思われる可能性が大いにあるのです。設計契約が必要かどうかは、私も答えを知りたいです。

 

別の考え方で、プランニングではなく、会社のカラーを好きになってもらう方法があります。ここにお願いしたいと、思わせる方法です。そうすれば、競合した時に、負ける事は少なくなります。そもそも競合も少なくなり、必然的に著作権も守られる可能性が高くなります。現状では、このように考える方が、設計契約書を最初から交わすより、ベターでしょう。上記の、契約にならなかった物件は、逆にこの方法で、お客様を取られています。

 

著作権問題は、ビジネスをしていると、どこかで直面する問題です。有名な所でザハ・ハディッド氏が、新国立競技場で訴えてきた著作権問題があります。東京オリンピックのロゴの、著作権問題も世間を賑わせました。著作権はデザインでビジネスをするには、どこかのタイミングで勉強する必要がある、重要な項目なのです。

 

ところで、この本には、「ブラックジャックによろしく」の漫画の二次利用をしています。「ブラよろ」は、2012年に、実験的に著作権フリーにした事で話題を集めた漫画です。作者によると、最終巻が発売以降は、売り上げが上がらない状態だったのが、このフリー化で、7000万の収益に繋がったそうです。

この無料化から利益を生み出す方法は、フリーミアムと言えます。フリーミアムとは、「大多数の無料顧客と、一部の有料顧客」によって、成立するビジネスモデルの事で、解りやすい例だと、課金制のオンラインゲームや、ニコニコ動画の有料コンテンツが挙げられます。ようは、入り口を「無料」にして、べつの所で「お金を取る」ビジネスモデルです。「ブラよろ」は、話題を集める事で、驚異的に作品や作者の、知名度を上げました。そして、続編(有料)や、関連物への興味付けに成功し、収益を上げる事に成功したのです。

 

建築業界でも、フリーミアムは行われています。例えば、住宅業界だと、ショールームで獲得した顧客名簿者向けに、祭りを企画したり、住宅ローン講習会をしたり、構造見学会をしたり、宿泊体験会をしたりします。これらは、当然経費が掛かっていますが、無料です。さらに、設計図さえも無料で提供し、どんどん奥の有料ゾーン(住宅を建てさせる)に導いていく訳です。フリーミアム面白いので、勉強してみて下さい。

 


64 キャッチコピーを作る。

 

起業すると、広告なり、HPで世の中に、仕掛けていく必要があります。その時に重要なのが、キャッチコピーです。キャッチコピーで、売り上げが大きく変わります。心に響く、キャッチコピーを作りましょう。

 

ネットで調べるだけでも、様々な、キャッチコピーの法則があります。参考にして、考えてみましょう。「キャッチコピーの作り方」と検索するだけで、色々考え方が紹介されています。情報が溢れている便利な世の中です。

 

参考例

住むところで、世界は変わる。    HOME‘S

オトナの夢は、カタチにしよう。   Panasonic

家は生きていく場所だから。     木崎建築

必要とされるのは、心地のいいこと  積水ハウス

奇抜は風化する、本質は残る     三菱地所

考えよう。答えはある。       旭化成ホームズ

空に住もう             soramado

 

まずは、設計課題の名称を、○○の家、○○の集合住宅、とか普通の名前を付けずに、興味を集めるキャッチコピーを、主題として付けてみましょう。5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)で考えてみましょう。例えば、主題:空に住もう。副題:空を眺めて暮らす、小さな家。と二段構えにしても面白いです。さらに、設計課題の、各コメントそれぞれの部分にも、キャッチコピーを付けましょう。印象深い、伝わりやすい構成になるはずです。

言葉というのは、私達が思っている以上に、ビジネスにとって重要なものです。完全に余談ですが、私が通っていた、和風割烹のお店で、本格的な刺身・デザートが付いている美味しい定食が、950円で食べられるお店がありました。

 

このお店が、道路の脇に出していたA看板(Aの形をしている、スタンドタイプの看板)の、言葉が「ランチ950円」だけでした。私は、そのお店の前を通る度に、なんで950円という価格だけを記載するのだろう・・・結構高いから、逆に入らないよな・・・と思っていました。ある時、意味が解らず、気になって、入ってみると、950円で大満足の和定食のランチが食べられました。本格的な味付けで、950円とは思えない、手の込んだ定食でした。なのに、人が全然入っていません。看板の言葉さえ見直せば、このお店、少しは繁盛するのにな・・・私はそう思っていました。

 

「ランチ950円」ではなく

「デザート付、おいしい和定食950円」とすべきだったのだ。

 

「ランチ950円」では、何故、ランチが他のお店と比べて高いのか、理由が記載されていません。一言、理由があれば「950円分、美味しいのなら食べてみよう」と、なる可能性があります。そのお店は、残念ながら閉店してしまいました。私のお気に入りのお店だったのに・・・キャッチコピー大切です。

 

まずは、言葉の表現というものに注目してみましょう。テレビや雑誌を見ているだけで、色んなキャッチフレーズが出てきます。その言葉は、検討に検討を重ねて、選ばれた言葉だという事を知りましょう。言葉の力を使いこなせるように、まずは観察から始めましょう。


65 広告を打つ。

 

ブログ、Facebook、HPのみで集客を行っている、設計事務所は多いです。しかし、独立当初こそ、多くの場所に広告を出して、自分の会社の認知に、勤める必要があります。

 

オススメは、地元の建築雑誌に、広告を掲載する事です。発行部数が少ないので、全国流通している雑誌に比べると、広告費が格安です。一方で、地元で家を建てる人は、かなりの割合の人が読むので、費用対効果が高い広告だと言えます。雑誌の購買層によっては、インターネットを見ない世代に、アプローチするのに、有利な場合もあります。高年齢者、高所得者や経営者にアプローチするには、新聞広告も効果的です。ターゲットの年齢層や職業に合わせて、広告媒体を選ぶ必要があります。

 

TVCMを打つのも、検討する価値があります。会社を認知させる為に、TVCMを打つのは、小さな設計事務所には、負担が大きくオススメ出来ません。しかし、TVCMをブランディングに利用する方法は、有効だと思います。TVにCMを流している会社は、勢いがある会社だと、顧客予備軍から見られます。なので、月に1本だけ流して、費用を抑え「TVにCMを流している会社」という、実績だけを獲得する方法もあります。

 

他には、内覧会の報告を、新聞の折り込みチラシを入れたり、地方情報誌に広告を掲載したりします。内覧会の告知は、集客と共に、会社の存在の認知に繋がります。その他に、雑誌の特集で、住宅特集が組まれた時に、出したりします。雑誌広告は、近年あまり集まらず、営業の方が良く来られます。

地方住宅雑誌掲載 1ページ 20~40万円

TVCM       月2回 年間60万円

新聞折込チラシ  10万部 45万円

地方雑誌     1/8ページ 5万円  1ページ40万円

地方新聞     小15万円 大50万円

 

広告って、お金かかりますね。私も、広告は、色々やってきているのですが、これからの主流は、ネット広告だと思います。リスティング広告、やFacebook広告です。中でも、Facebook広告が設計事務所と、相性が良いような気がします。会社のファンを、増やしていく事が、Facebook広告では可能です。ブランディングをして、会社のカラーを決めて、そのカラーに共感するファンを、囲い込む戦略です。

 

人と人との結びつきを強めた方が、建築の広告では有効ですから、TwitterやInstagramよりも、Facebookの方が効果的だと思います。起業すると、広告を打つという事も、視野に入れる必要があるのです。

 

学生の間に出来る事は、まずは目に留まる、建築系の広告に意識を向けてみましょう。気にせずに、スルーしていると思いますが、建築系の広告は、実に様々な場所に掲載されています。地方の情報誌の大半は、住宅系の広告です。雑誌の購買層に合わせて、掲載する雑誌を選んでいます。

 

あとは、色んな場所に顔を出して、Facebookで、色んな人と友達になりましょう。学生だけでなく、社会人の人や、起業家の人と友達になりましょう。色んな人を知る事で、自分の「学生」という枠を広げてみて下さい。


66 入札先を探す。

 

建設会社に入札する時に、新規の入札先を開拓する必要があります(入札先とは、設計図が出来たら、その設計図を元に、建設会社に見積もりをしてもらいます。一社のみに依頼するのではなく、金額を低く押さえる為に、複数社に見積もりを依頼して、価格を競争して貰います。この、複数社に見積もりを依頼する事を入札と言います)。設計事務所に勤めていた時に、付合いのあった業者の他にも、声をかける必要があります。どうすれば良いかというと、単純に直接電話すれば良いのです。HPで会社概要を確認したら、電話して、営業に繋いでもらいます。会社の工事受注状況に、余裕があり、入札を受けても良いという、話になれば、入札に参加頂く事になります。

 

当たり前ですが、忙しい会社は、入札に参加してくれません。こちらの会社に実績が無いと、それだけで参加を拒否される事もあります。建設会社は、高額物件なら、喜んで参加します。しかし、低額物件(1500万程度)は仕事が無ければ、参加する体制です。時勢に寄りますが、入札先を探すのに、苦労する時期も多いです。HPで良さそうな会社を調べて、電話をかけまくる必要があります。状況次第ですが、10社電話すれば、2~3社は参加して貰えると思います。

 

初めての、取引だと、施工会社側も不安なのです。こちら側がちゃんとした会社なのか、協力してやっていける会社なのか、心配されます。そこら辺を、上手く説明して、信頼してもらい、入札に参加してもらう必要があるのです。お客様から仕事を受注するのには、「信頼」が必要だという話をしましたが、施工会社を見つけるのにも「信頼」が必要なのです。施工会社に信頼されるにはどうすれば良いか考えましょう。


67 確定申告をする。

 

起業すると、自分で確定申告をする必要があります。税理士に頼む方法もありますが、自分でしても、そこまで大変ではないので、独立当初は自分でしましょう。月に一度、収支を確認する日を作りましょう。建築設計事務所の、入出金の回数は多くないので、月一回でも、十分、対応出来ると思います。現金出納帳を作り、帳簿を整理します。後は、確定申告の時期に、国税庁のHPにある、確定申告書作成コーナーで、データーを入力すれば、書式が完成します。解らない所があれば、国税庁の電話サポートに、確認すれば良いだけです。

 

確定申告書が出来たら、印刷して、近所の税務署や、確定申告の相談窓口に投函ポストがあるので、投函すれば、完成です。書類作りは、それ程、難しくありません。一般的にパソコンが使えるレベルなら、誰でも作成できます。弥生会計等、青色申告用の専用のソフトは、必要無いかと思います。

 

初年度、解らない事が多いので、確定申告の相談窓口に行く方が無難です。現金出納帳さえ、持っていけば、あとは相談窓口で、対応可能です。相談窓口にもパソコンがあって、それを利用して、現金出納帳のデーターを打ち込めば、終了です(申告書の項目毎に、金額を分けておくと、現地で手間が省けます)。初年度でも2日、あったら終わると思います。慣れれば、1日仕事です。

 

帳簿をデーター管理したい場合、近年クラウド会計ソフトが流行りです。使ってみても、良いかもしれません。有名なクラウド系会計ソフトにfreeeというソフトがあります。当社はMFクラウドというクラウド系会計ソフトを使っていますが、割と解りやすいです。株式会社の帳簿が、簿記の知識が薄い私でも作れます。個人事業主の場合は、建築設計事務所の場合、会計ソフトまでは必要なくエクセルで十分だと思います。


68 収入について考える。

 

起業後の収入について、詳しく考えてみましょう。会社に就職している時は、安い給料に、文句ばかり言っていたと思います。しかし、独立してみると、お金を得る事の難しさを知ります。実績のある設計事務所は、施主から、小さな住宅(2500万円程度)でも300万円位、設計・監理費として貰っています。勤めている間は、少し設計料を安くすれば、自分でも受注出来ると、勘違いしがちです。年間3棟受注出来れば、250万円×3=750万で、今より、大分、給料が上がるな。くらいの、浅はかな考え方です。そこから、経費がどのくらい削られるのか、3棟受注する事がどれだけ大変な事か、経営の事を何も解っていません。完全に井の中の蛙です。少しは大海の事を、理解する為に、具体的に考えてみましょう。

 

■独立当初

下請物件(30万~100万。物件難易度による)平均で50万。

と仮定します。年間12棟、設計し、半分の6棟、成約したとします。通常、成約しなかった物件は、寸志程度なので、0円と仮定。6×50=300万。確認申請の代行10万×3=30万(確認申請の代行も探せば、仕事があると思います)。知合いの設計事務所や、勤めていた設計事務所の、図面サポート。図面一枚2万×10枚=20万。総合計350万円。

 

割と、上記の仕事内容だと、バリバリ働いている感じですが、下請けだと売上で350万円にしかなりません。ここから、

事務所家賃5万×12=60万円。

光熱費・水道代1万×12=12万円。

ガソリン代1万×12=12万円。

コピー用紙、コピーレンタル、雑費1万×12=12万円。

車の維持費、原価償却2万×12=24万。

駐車場代0.5万×12=6万。

パソコン代、ソフト代の積立1万×12=12万円。

交際費1万×12=12万円(社長ですので、顔を出す機会が増えます。1万円だと、月に一回ですから、最小限の交際費です。)

合計150万円

350万円-150万円=200万円。勿論、全部自分に払う訳には行きません。50万円プールして、給料は150万円です。どうです?お金を稼ぐって大変ですよね。

 

■ある程度、経営が軌道に乗った状態

住宅を年間3棟受注。一棟平均で250万円の設計料。

250×3=750万円。750万円-250万円(交際費・広告費が増えます)=500万円。ここまで、来ればようやく、中小企業の会社員くらいの収入になります。しかし、住宅や小規模の事務所とは言え、年間3棟、継続して受注するのは、大変な作業です。しかも、これでは、全然儲かっていません。どうすべきかと言うと、建物の、規模や価格を上げる事を、目指します。

 

若いカップルの家は、現在2000万円以下です。10%の設計料だと200万円にしかなりません。それでも税込2200万円×1.08=2376万円になり、ここまで建物に出せる人は、やや、ゆとりのある夫婦です。しかし、200万円だと、年間3棟、受注出来たとしても、収入が400万円にしかなりません。

建物の平均、価格帯を4000万円にもっていければ、10%設計料が入れば(当初10%貰うのも、なかなか大変です)、設計料が1200万円。収入が950万円になります。ここまでこれば、大企業の正社員くらいの給料になります。住宅に4000万円、払える人が好む、家のデザインを、模索する必要があります。

 

そうなると、逆算して、就職先は、高価格帯の家づくりをしている設計事務所がベターですね。4000万円程度の小規模なデザインアパートを、デザインしている設計事務所でも、良いかもしれません。私も欲しいです。デザインアパートのノウハウ。

 

さらに、所員を一人雇うと、年収300万+経費200万円程度は最低限必要です。一般的な会社は通常、人件費に対して総経費が同額必要です。年収500万の人を雇う為には、1,000万の売り上げを追加する必要があるのです。設計事務所の所員を雇う場合は、人件費が安いので、そこまで売り上げを追加する必要ありませんが、500万円程度増えるだけでは、結局会社に利益をもたらす訳ではありません。単純にリスクが増えるだけです。又、教育したり、スタッフを管理したり、帳簿が複雑になったり、色々手間が増えてしまいます。しかも、人を雇う分多く営業しなければなりません。広告を打ったり、HPを改良したり、飲みに行ったりする事が必要です。収益を上げる工夫をして、「売上」を上げる為には、人件費以外の様々な追加費用が必要なのです。

 

結論を言うと、人を一人雇う場合、600万円くらいは、売り上げを伸ばしたい所です。つまり、人件費の倍、売り上げを伸ばす必要があります。しかし、600万円分の仕事を任せられる、人材を確保するのは大変な事です。人を雇うって大変な事なのです。私は雇った事がないので、解らないのですが、当社の今の住宅をメインとする経営状態では、人を追加して、600万円分売り上げが増えるとは思えません。人を雇うって大変ですね。


69 結婚する。子供を作る。子供を育てる。

 

結婚する事は、会社の経営と、恐ろしい程に関係性があります。結婚当初は、それ程、会社経営に、影響はありません。お互いのライフスタイルを尊重する、夫婦であれば、独身の時と、左程、状況は変わらないでしょう。しかし、子供が出来ると、子育てに、かなりの時間を費やす必要があります。

 

子供を育てる時に、嫁の職業によって、生活の大変さが全然違います。嫁を職業で選ぶ程、ナンセンスな話は無いですが、現実問題として、重要です。女性に、子供が出来ても、産休で休めない会社も多いです。子供が生まれて、1年位は、嫁は働けません。産休があれば、会社から保険手当が、給料の6割くらい支給されます。一方、産休が無ければ、旦那さんだけの収入で、家計を、遣り繰りする必要があります。産休後も、嫁が、正社員に復帰するか、パートで復帰するかで、家庭の収入は、天と地ほど違います。

 

嫁と一緒に、設計事務所をするのも、楽しそうですが、経営が悪化した時に、夫婦が同時に、収入が少なくなるのは、ハイリスクです。リスクを減らす為には、貯蓄が大切になります。このパターンでも、子供が出来ると、一年間は嫁が子供に係りっきりになるので、一年間、嫁の収入は、ほぼ無くなります。

 

起業家の嫁は、リスク回避の意味で、公務員の女性が最適です。育児休暇があるし、予定があれば休めるし、退職金はあるし、安定しているし、給料は女性では、かなり高い方です。女性が、公務員の男性を、結婚相手に希望する、理由が解ります(笑)。笑い事では無いですが・・。

 

あなたが女性の場合は、設計事務所で独立する事は、家事と両立する為に、悪くない選択士です。自宅の片隅でも仕事が出来ますし、ある程度の収入が得られます。時間の融通が利くので、家事と両立する事も可能です。旦那の給料が安定していれば、安心して、無理なく経営する事が可能でしょう。子供が生まれたばかりの、数年間は、ほとんど働けないでしょうが、その期間さえ乗り越えれば、赤ちゃんのイベントに行ったり、保育園に行ったり、活動の場、全てが、営業の場になります。友達の奥様から、リフォーム工事くらいなら、簡単に受注出来るでしょう。

 

子育てを経験すると、子育てしやすい、家のプランニングが解ります。例えば、風呂からトイレに、直ぐ行けるようにする。オープンな手摺に、ネットを設置できるようする。子供の目の高さに、危険がないか配慮する。等、経験に基づき、子供を育て易い家を、設計出来るようになります。子供の動きは、傍から見ているのと、実際に、自分の子供を常に見ているのとでは、理解度が全く違います。建築家として、子育てをするという事は、大切な経験なのです。

 

嫁の職業について、私は、そこまで考えて、結婚した訳ではありません。結婚生活には、嫁とフィーリングが合う事が何よりも大切だと考え、一緒にいて、リラックス出来る女性と結婚しました。しかし、結婚後、嫁の職業の重要さを、痛感したのです。私の嫁は、準公務員(公益性の高い仕事)です。勤めている、会社は安定しており、産休が一年あります。私だけだと、不安定な収入も、嫁の収入が安定しているので、問題無くなります。嫁が働いてくれているおかげで、私はなんの不安もなく、設計事務所を運営出来ているのです。

 

私が、一人で会社経営をしているメリットもあります。子供が熱を出したら、私の方が、時間に融通が利くので、仕事を中断して、子供を受け取りに行けます。朝、子供が熱を出していたら、私が病院まで連れていって、その後、病児保育(病気の子供を預かってくれる施設)に届けます。私は、自宅兼事務所で働いているので、嫁が子供の世話で、手が離せなければ、私が、夕食を作ります。子供を風呂に入れるもの、私の役目です。一通り、子供の世話が終わった所で、仕事場に戻ります。

 

子育てが、こんなに大変だなんて、誰も教えてくれませんでした。しかし、どんなに大変でも、子供は宝物です。私は、それ程、子供が欲しかった訳ではありません。しかし、今では、子供は無くてはならない存在です。

 

結婚生活は、どれだけ考えても、予定通り行かないでしょう。極論で言うと、なるように、なるしかないのかもしれません。しかし、結婚生活は、人生の中心である事は事実です。その結婚生活を、楽しく過ごす為に、計画性のある結婚生活を、目指しましょう。私のアドバイスとしては、出来るだけ早く結婚した方が良いという事です。20代で結婚する事を目指しましょう。

 


70 各種団体に所属する。

 

起業すると、各種団体に所属するか、検討する必要があります。大学生の時にも、教授が建築団体に登録を進めたりしますが、個人的には全く入る必要はないと思います。登録しても、大した情報は得られません。

 

建築団体で有名なのが、建築士会と、日本建築家協会です。所属して、会報誌を受け取るだけでは、意味がありません。所属するなら、実際に団体の事業に参加し、他の会員の方と交流を行い、情報交換すべきです。建築団体の会員の方は、設計事務所の方だけでは無く、工務店の方、建設会社の方、その他、建築業に関わる、色んな業種の方がおられます。業界の、色んな話が聞けますし、就職の悩みを相談出来たりします。学生メンバーを募集している所もあるのでHPで確認下さい。運が良ければ、就職先が見つかるかもしれません。

 

起業した後に、経済団体に加入して、異業種の交友関係を増やす方法もあります。青年経済団体では、商工会議所青年部(YEG)、青年会議所(JC)等があります。年齢が進むと、ロータリークラブ、ライオンズクラブ、に所属するケースもあります。しかし、経済団体クラブに所属するのには、経費も時間もかかり、駆け出しの頃に所属する団体ではありません。経営が安定したら、加入を検討すべきです。所属会員は、会社役員、経営者の方が多く、ビジネスの話をしたり、ボランティア活動を通して、自己研鑽する事になります。

 

ちなみに、YEGは45歳まで、JCは40歳で卒業(青年経済団体なので、年齢制限があります)を迎えます。卒業後は、ライオンズやロータリーに、所属される方も多いです。私のケースで言うと、独立当初(27歳)建築士会青年部に所属していました。幼稚園に小さな家づくり事業として、家の形をした遊具を作ったりして、充実感を得られました。大工さんや、工務店の方、同業者の方とも知合いになり、色々話が聞けました。ただ次第に、私は同業者と付合うより、他業者と付合った方が、ビジネス的に面白いと考えるようになり、建築士会は、辞めてしまいました。勿論、色んな団体を掛け持ちしている人も、おられます。しかし、設計事務所の多忙な業務を考えると、私は、所属する団体は絞った方が良いと思います。所属した団体には、積極的に参加しましょう。

 

私は、建築士会を辞めた後、高校時代の友達に、JC(青年会議所)に誘われて所属しました。多様な職種の方と出会い、私自身、大いに刺激を受けました。社長になると、交友関係を広げると共に、見分を広げる必要があり、経済団体の加盟は有効です。JCでは、委員会という、10人程度のグループに所属する事になり、その仲間と共に、街の為に出来る事を考え、実際に実行します。その過程で、会社の業務では体験出来ない、色んな事に触れ、自己研鑽に繋がります。私は、今年JCを卒業しますが、もう一つ、地元の小さな経営団体に入りました。経営について、討論する団体で、色んな為になる話を聞かせてもらっています。新しい出会いが、新しい視野を提供してくれます。起業後は、視野を広げる為に、多少無理をしても、各種団体に所属するのをオススメします。

 

このように、社会人になってからも、視野を広げる為に、活動する必要があるのですが、社会人ゆえに、活動範囲は限界があります。学生時代にこそ、色々経験して、視野を広げてほしいです。面白そうな団体を見つけて、所属してみましょう。TwitterやFacebookで簡単に見つかると思います。


71 商品を開発する。

 

そもそも「設計事務所で、商品を開発する必要があるのだろうか」そう思われる人もいるだろう。商品を明確に提示している、設計事務所はあまり、ありません。一方で会社のカラーが出ている設計事務所は沢山あります、解りやすい所で言えば、安藤忠雄事務所はコンクリート建築だし、隈研吾事務所は格子建築、SANNAはガラスと白い壁の空間、藤森照信氏は自然素材感溢れる建築、等、各事務所に個性があります。地方の設計事務所でも、民間を対象とした、人気のある設計事務所は、殆どが事務所のカラーというものがあります。

 

ハウスメーカーの場合は、商品性を強めています。各商品に名前を付けて、コンセプトを付けて、パッケージにしています。実に解りやすい反面、融通が利かない部分もあります。しかし、融通が利かない事で、商品イメージを守っているとも言えます。

 

設計事務所の特徴は、自由で多用な設計です。しかし、そうは言っても、お客様は設計事務所のカラーを見て、設計をお願いしに来ています。会社のカラーと違うものを依頼されるケースは先ずないでしょう。「うちはお客様との対話によって、完全にオーダーメードで作ります。敷地の声に耳を傾けて、そこから発生する何かを形にします。」では、とても分かりにくいのです。

 

商品というものは、お客様に解りやすく伝える為の、優れた手法なのです。個人的には、設計事務所も、設計事務所なりの商品開発をし、市場に提案していくべきだと思います。事務所のカラーを明確に反映した商品開発をしてみましょう。商品をベースに、要望があれば、仕様を変更すれば良いのです。

まずは、自分がどのように、身の回りのものを選んでいるか、分析してみましょう。きっと、解りやすく商品化されたものから選んでいます。例えば、オーダーメードの靴を買う時でも、完成品を他のサンプル写真でイメージしています。それはもう、商品を選んでいる事と同じなのです。オーダーメードのスーツも同じです。完成品が創造の範囲です。そして、私が思うに、このようなオーダーメード品も、売る時は、コンセプトや名前を付けて、商品化した方が高級感を出せます。商品にストーリーがあると、商品に愛着を持ってもらえるのです。どんな思いで、商品開発をしたのか、どんな人に届けたいと思っているのか、カタログを作って提示する事で、相手に響くのです。

 

例えば、ラーメンを食べる時に、ラーメンに対するこだわりのページを読んだ後だと、何となく美味しく感じませんか?野菜の作っている人の顔を紹介され、どのように野菜を作っているのかを知ると、野菜が特別なものになりませんか?自分の設計を、商品化する事で、会社のこだわりを明確にお客様に伝える事は、とても大切な事なのです。「思い」を「商品」に乗せるのです。

 

現実的には、商品開発は、所属していた設計事務所で、担当したデザインと似たようなデザインにすると、解りやすいです。作った商品の参考プランに添えて、イメージ写真に、担当していた物件の写真を添えると、現実味が出ます。この手法で、起業をスタートした若手の設計士は、全国に沢山いるのです。

 

勤めていた時と違うカラーで勝負したい!という場合は、CGを駆使してHPでアピールするか、ショールームを作るしかないと思います。私の場合は、自宅をショールーム兼用で建てる事で、商品を市場に提案しました。どちらが効果的かは、言うまでもないと思います。


72 自分の家を建てる。

 

商品を開発したら、一番、訴求力があるのが、実際に建ててしまう事です。とはいえ、小さな設計事務所に、モデルルームを作る資金はありません。しかし、一度だけ、ノーリスクでモデルルームを作る事が、出来ます。自分の家を、建てれば良いのです。事務所兼自宅にすれば、事務所の賃貸の費用も、無くなり一石二鳥です。是非、前倒しで、出来る限り早く実行しましょう。

 

ここで問題になるのが、個人経営者は、銀行から、お金を借りるのが、難しい事です。しかし、フラット35だと割と簡単に借りられます。フラット35を積極的に販売している銀行に、聞いてみると良いでしょう。普通の銀行は、3期の最低年収で借入金額を計算しますが、フラット35だと、前年度年収のみで判断されます。つまり、銀行だと、経営が軌道に乗って3年待たないといけないのが、フラット35だと、翌年に借入出来るのです。この2年は、ビジネスでは大きな差です。ところで、住宅ローンすら怖くて借りられないようでは、経営者に向いていません。そんな人は、大人しく会社に勤めていましょう。

 

フラット35は、融資金利1%で、年収350万で、3100万円借りられます。3100万円あれば、なんとかモデルルーム計画を実行出来るでしょう。モデルルームがあれば、ビジネスが加速します。是非、実行しましょう。さらに、足の速いビジネスにするには、勤めている時に、モデルルームを想定して、自分の家を建ててしまう事です。独立後より、遥かに、お金が借りやすいです。独立時の、スタートがスムーズに切れます。名刺代わりの、実績を持って、独立出来るなんて最高です。その実績が、世の中のニーズに合っていれば、独立後、直ぐに事業を軌道に乗せる事が可能です。

株式会社RC design studio 事務所兼自宅(写真は自撮りです。この程度は撮れるようになりましょう。)


73 市場を分析する。

 

商品を開発する前に、市場を分析する必要があります。少なくとも、商圏に、同じ事をしている設計事務所や、工務店が無い事を確認しましょう。似たような事をしている、会社があれば、差別化の方法を探りましょう。その会社を倒す戦略というものが必要になってきます。

 

2017年、住宅市場における、設計事務所の業務範囲は、デザイン系工務店に、浸食されています。デザイン系工務店と設計事務所に、デザイン力の差が無くなっています。デザイン系工務店は、優秀な設計士に外注したり、自社で優秀な設計士を育てたりして、デザインの質を年々高めています。設計事務所として、それを超えるには、特徴のあるデザインを提案していく必要があるのです。しかし、特徴を出せば出す程、ターゲットの円が小さくなってしまいます。洋服業界でも、家具業界でも似たような傾向があります。安くてオシャレな服や、家具によって、高級ブラントメーカーはシェアを奪われているのです。ましてや、設計は、工務店であろうが、設計事務所であろうが、同じように設計されたものです。差別化するのは容易ではありません。

 

この本では、工務店の下請けとして設計事務所の独立をスタートする、ビジネスモデルを紹介していますが、私の体験を紹介しているだけで、今現在、同じビジネスモデルが通用するかは、不明です。時代は、どんどん変化しているのです。その時代に合った最善の手法を自分で考え、自分で実行する必要があるのです。誰かが成功した方法は、その人の環境や、実行した時代に成功した手法であり、まねるだけでは到底、成功出来ません。自分の状況を分析し、自分なりの答えを実行する、それが経営者です。


74 株式会社に変更する。

 

事業が軌道に乗れば、株式会社に変更する事を、検討すべきです。株式会社に変更するメリットは明確で、社会的に信頼されるという事です。社名の前に、株式会社と付いている事が重要なのです。肩書も個人経営の時は「代表」ですが、株式会社だと「代表取締役社長」になります。単純に偉くなったような、気がしないでしょうか。会社に信頼が必要だという話を、以前しましたが、この信頼を獲得するのに、株式会社にする事は有効です。私も、株式会社にした時に、お客様の態度が変わった事を、覚えています。肩書とは、信頼を得るうえで、非常に大切な要素なのです。

 

株式会社を設立するのには、お金が掛かります。私のケースで、25万円くらい使ったと記憶しています。私は、確定申告の時に話した、freeを利用して、自分で手続きをしました。

 

その他、資本金が必要です。資本金150万+20万(手続き費用)=170万、必要なのです。資本金は、ある程度入金しないと、会社のイメージが悪いので、150万円くらいは、入金したい所です。個人経営の時は、会社と個人は同じ財布です。しかし、株式会社にすると、一人で経営していても、財布を分ける必要があります。又、会社にすると、法的に会社の責任が個人に及ぶ事は無く、会社が倒産しても、社長の自己破産は必要ありません。安心して経営出来ます。

 

株式会社は、個人経営と比べて、経理も複雑だし、事務処理が増えます。正直、面倒くさいですが、「株式会社」という肩書には、それ相応の価値があります。売上が1000万を超えれば、変更を検討しましょう。


75 覚悟を決める。

 

独立したら、覚悟を決める必要があります。その決めた、覚悟の質で、成功するかどうかが、決まると言っても過言ではありません。決死の覚悟を決めると、どんな困難にも、臆する事なく進んでいけるのです。

 

独立すると、今まで体験した事のない事の連続です。「このやり方で良いのだろうか。怒られないだろうか。失敗しないだろうか。納得して貰えるだろうか。」何をするにも、不安が付きまといます。会社に勤めている時は、何か問題があれば、会社が責任を取ると思えば、何をするにも気が楽です。しかし、独立したらそんな訳にはいきません。全てが自分の責任になります。不安が募りますが、そんな時、覚悟さえ決めていたら、簡単に、乗り切っていけるのです。

 

極端な話、仕事を命がけでやれば良いのです。命さえかけてしまえば、ほとんどの事は些末な事です。相手が誰であっても、臆する事なく勝負出来るでしょう。創業者の方と話すと、尋常じゃない気迫を感じる事が度々あります。創業者の方の多くが、決死の覚悟で、事業に取り組まれているのです。

 

会社員と、起業家との決定的な差はこの「覚悟をもって仕事をしているか」という部分に付きるのです。会社員の時は、せいぜい、遣り甲斐を持って、仕事に取り組むくらいが、関の山でしょう。しかし、起業したら、その程度の姿勢では話になりません。

 

例えば、家づくりは、お客様の「夢」そのものです。その夢を叶える為には「貰った金額に見合った仕事をする」というような、ビジネスライクな考え方では、到底、成立しません。「夢の家を建てる」という、お客様の気合に負けては駄目なのです。命がけで、お客様の夢に向き合う必要があるのです。

 

学生時代から、覚悟を持って臨みましょう。漫画の話ですが、ジャンプで連載中のハンターハンターで、クラピカが自分の心臓に制約の針を刺す事で(制約を破ると死ぬ)、自分の力を何倍にも高めています。あなたも、成功する為に、自分に制約を科せば良いのです。例えば「建築家で独立しなければ、死ぬ」と、決めてしまえば、独立する事なんて、とても簡単な事になるのです。死ぬくらいなら独立します。あなたの覚悟をみせて下さい。

 

私も、独立した時は「命がけでやってやる」と思っていました。そうして、未知の困難に立ち向かってきたのですが、そういえば、経営が安定してきて、最近、針が随分、緩んできたような気がします。もう一度、刺しなおす必要がありそうです。

 


あとがき

 

この本は「ツテも人脈もなく始める、設計事務所の開き方」という、以前、私が初出版した本の、リメイク版です。以前の本は、私が、独立を目指してから、実際に独立するまでの体験談(エッセイ)でした。その体験談の中に、独立する為のノウハウを盛り込んだつもりです。しかし、Amazonの評価が最悪で、完全に自己満足する為だけの、本になっていた事を痛感しました。

 

そもそも最悪な事に、ターゲティングが、本のネーミングと合っていなかったのです。どういう事かと言うと、私がターゲットにしていた読者は、建築学科の大学生でした。しかし、書名が「ツテも人脈もなく始める、設計事務所の開き方」では、どう見ても、ターゲットは独立手前の、若手設計士です。もちろん、若手設計士の方にも、私の体験談を通して、少しは伝えられる事があるのではないかと、思っていたので、その題名にしました。しかし、どういう本か表現する時に、コアターゲットに届く題名にするのは、必要不可欠な事だったのです。あたりまえと、言えば当たり前です。しかし、本を販売する側の人間としては、売れそうな名前にしたいと思ってしまうのです。

 

しかも、私の場合、エッセイテイストで書いていたのに、題名にエッセイのテイストを入れていませんでした。「ツテも人脈もなく始める、設計事務所の開き方」が題名の本が、エッセイテイストで書かれているとは、思わないでしょう。これは、読者を裏切る行為なのです。例えば書名が「建築学科の大学生が叶えた、建築家で独立するまでの体験談」だったら、内容と一致しているので、良かったのかもしれません。ネーミングの大切さを、思い知りました。

 

根本的なミスを痛感した私は、何時か、その本の焼き直しに挑戦したいと思っていました。そして、仕事の切れ間に、この本を書いたのです。今回は、ターゲットを明確に定めました。ターゲットは、18歳の、将来、建築家として独立したい、大学生です。内容は、将来独立する為に18歳から出来る事や知っておいてほしい事にしました。以上を踏まえて、タイトルを練り「18歳から考える、設計事務所で独立する為の75」としました。

 

この本の出来は、読んだあなたが知っています。可能であれば、Amazonのカスタマーレビューに書いてほしいです。酷評もお待ちしております(SNSの拡散も可能ならお願いします)。そもそも、失敗しないと人は成長しない。やってみないと、答えは出ないのだ。

 

I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.

私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけたのだ。

トーマス・エジソン

 

1万通りの失敗の上に、成功があるとは、さすがエジソンです。私達は、どれだけ失敗や挑戦が出来ているだろうか。数回、挑戦しただけで、諦めていないだろうか。そもそも、都合の良い理由を付けて、挑戦する事すらしていないのではないだろうか。自分に言い訳をして、独立を先延ばしにしている人はかなり多い。果敢に攻めよう。人生一度きり、楽しんで歩もうではないか。この得体が知れない、本を手に取るくらい、建築が好きなあなたなら、頑張ればきっと独立出来る!ご清聴ありがとうございました。

 

株式会社RC design studio 代表取締役社長 澤田友典

 

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