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鉄筋コンクリ―ト住宅は長期優良住宅の申請が必要か

登録免許税の税率の引き下げ、不動産取得税の控除額の増額、固定資産税の減税措置等が無くなり、長期優良住宅の認定を受けるメリットがH30年3月入居までとなり、長期優良住宅にするメリットは年々減少している。

そもそも長期優良住宅とは

長期優良住宅制度とは、短命である日本の住宅の寿命を伸ばし、スクラップ&ビルド型の社会から、ストック活用型の社会へと変革を促す国の主導の事業である。

長期優良住宅認定制度に概要

基本的には、木造住宅を中心に考えられている制度であるが、鉄骨住宅や鉄筋コンクリート住宅でも勿論、採用する事が出来る。では、採用する事に対するメリットについて、木造や鉄骨造の場合と比較しながら具体的に考えてみたい。


価格的なメリットを考えてみる

税の特例措置

H30年5月現在に適応できる措置は、所得税に対して、住宅ローン減税と投資型減税が利用できる。詳しい内容は長期優良住宅認定制度に概要を参照してもらいたいが、住宅ローン控除は上限が4000万円が5000万円に引き上げられるだけで、大半の人には関係が無い。投資型減税は性能強化費用の10%の控除があるので、性能強化費用が100万円だと10万円の控除がある。


住宅ローンの金利引き下げ

フラット35Sの場合、長期優良住宅であれば、当初10年間の金利を年0.3%引き下げる事が可能であるが(金利Aプラン)、一般的な仕様でも金利Bタイプにする事は可能で、総返済額の差額は借入額3000万円で34万円である。
フラット35S金利比較


申請費用等の比較

長期優良住宅の場合、確認申請の他に長期優良住宅の認定に関する申請を行う必要があり、申請費用が違ってくる。当社の場合、極力申請費用を抑える為にERI等の民間の施設ではなく、役場に確認申請を提出しているが、長期優良住宅の申請を扱う場合、合わせてERIに申請する事になり合計した費用差が5万円程度ある。さらに、申請書類を作成する費用が、当社の経費と構造関係を合わせて20万円程度必要になります。


建築費の増減

長期優良住宅にする事で、建築費はどの程度増加するのか検討してみたい。

劣化対策

主に木造向けの項目である。木造住宅の場合、蟻害(シロアリ)や地域によってはカビ菌が猛威を奮う。木造住宅の歴史は、白蟻との戦いであり、断熱的にはマイナスであるが、床下に換気口を設けたり屋根裏の換気を行ったりして構造体の乾燥に気を配る事が建物の寿命に大きく影響を与える。鉄骨造や鉄筋コンクリート造に床下に換気口を設ける法律が無いのは、そもそも構造体が鉄やコンクリートで出来ているので、白蟻対策する必要が無いからである。断熱的にマイナスなので、床下を外気に開放する意味が無い。富山では、カビ菌が建物に与える影響は少ないが、北海道や東北地方、富山でも山間部の雪深い地域ではカビが建物の寿命を縮めている。山間部の一階部のみ鉄筋コンクリート造になっている理由の一つが、カビによる木材の劣化対策なのである。

鉄骨造の場合は防錆塗装が必要で、鉄筋コンクリート造の場合は、水セメント比を減ずる必要がある。

個人的に納得がいなかいのが、木造や鉄骨造のコンクリート基礎部の水セメント比については、減ずる必要が無い事である。基礎は構造的に一番重要な部分であり、その基礎の耐久性は建物の寿命を左右する。木造や鉄骨造は、基礎の鉄筋コンクリート造との混構造であり、基礎の寿命を上げる事はなによりも重要だと思うのだが・・・。

当社では、設計基準強度を27N・温度補正有として、水セメント比を50%以下に下げているので(木造は通常21N・温度補正無です)、標準仕様で長期優良住宅の基準に該当します。

RCTV-11 高強度のコンクリートの作り方

 

耐震性

耐震性の項目は、以下の①~③のいずれかに該当する必要があり、木造住宅であれば、一番簡易な①を選択する事になる。鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合、①か②を選択する事になるだろう。

①耐震等級を2にする(耐震等級1の1.25倍の強度)

②耐震等級1(建築基準法)+安全限界時の相間変形1/100(木造1/40)

③品確法に定める免震建築物

簡単に説明すると、①は建築基準法をベースに考えて1.25倍の強度に高めるのが条件である。木造住宅の場合、許容応力計算をかけるのが理想的ではあるが、長期優良住宅ですらそこまで求めていない。あくまで、普及しやすい範囲で規定が考えられている。Eディフェンスの実験で、長期優良住宅の基準で倒壊した実験があるが、耐力だけを上げても問題がある事が証明されている。

鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、許容応力計算を掛けるのが建築基準法で義務付けられていて、木造に比べて上位の計算方法であるが、長期優良住宅の基準が、建築基準法の1.25倍を前提にしているので、同様に強度を上げる①か、もしくは②を採用する事になる。壁式鉄筋コンクリート造の場合、何もしないでも安全限界時の相間変形1/100を達成できるが証明する必要が出てきて構造計算費用が高額になります。追加費用は20万円~ といった感じだと思います。

維持監理・更新の容易性

この項目は、点検口を多めに設置したり、排水管を二重管にして改修を容易にすれば達成出来るので、容易な条件です。

省エネルギー性

断熱等性能等級4に対応する。個別対応ですが、当社で一般的に採用している断熱等級程度で対応可能です。

以上の項目が、長期優良住宅にした場合の仕様変更です。当社の場合、基本的には長期優良住宅の基準に該当しています。ですが、「②耐震等級1(建築基準法)+安全限界時の相間変形1/100(木造1/40)」を証明する費用が追加で掛かってしまいます。もしくは元々、壁の多いプランであれば「①耐震等級を2にする」になってる場合もあってケースバイケースですが、おおよそ40坪程度の家で30万~程度の追加費用が必要です。


総括

以上をまとめて考えると、ケースバイケースではあるが、40坪程度の住宅である場合、税金の緩和分より、書類を作成する経費及び書類内容を証明する構造計算費用が勝り、コストメリットは無い。フラット35を利用される場合は、最終的にはトントンぐらいになるかもしれませんが、ローン金額が上がってしまうので、気分的にトントンでは割に合わないのではないかと思います。かといって当社の場合、仕様に大差ないので現実的には長期優良住宅を採用する必要がないと思いますが、申請されたい方はお気軽に言って頂ければ対応いたします。

木造住宅の場合は、一定の性能を表示する事になると思いますが、個人的には、かねてから建築業界で言われている「木造住宅にも全棟、構造計算が必要である」という至極あたり前の事すら、長期優良住宅で実行していないのはどうかと思います。木造住宅でも構造の項目以外は一般的な内容が殆どなので、長期優良住宅を申請する費用があるのであれば、構造計算をかけて、設計で出した基礎のコンクリート強度に温度補正を掛けた値で基礎を施工した方が、現実的に安心して住める住宅になるのは間違いないので、木造住宅をご検討の方は是非構造計算を行う事をご検討下さい。

住宅はストック活用型(長期型)である必要があるという考え方には、当社は物凄く共感しています。ヨーロッパでは長期的に建物が愛され、中古物件が新築より価値が高いケースすら存在します。環境を考えた時に、住宅の長寿命化は必須項目です。では、住宅を何世帯にも渡って引き継いで行く為にはどうすれば良いかというと、構造を長期的に信頼出来るものにする事だと思います。古くなってきた建物には、地震で倒壊しないかという不安が募り、地震大国である日本は新築を選ぶ事になります。建物に愛着を持って、引きついていく為にはどうすれば良いのか・・・、その答えは「構造を鉄筋コンクリート造にする」だと当社では考えています。100年以上愛される家を作る為に、当社は存在するのです。


100年以上愛される鉄筋コンクリートの家
富山県・石川県を中心に活動中!
株式会社RC design studio
http://rc-ds.jp

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