鉄筋コンクリート住宅（RC住宅）の作り方｜設計・施工・完成まで完全ガイド【TEMPIO】

設計編

鉄筋コンクリート住宅（RC住宅）は、地震や台風などの自然災害に強く、快適で安全な住まいとして注目されています。このページでは、TEMPIOの建築プロフェッショナルが、RC住宅がどのように作られるのか、設計段階から完成までの全プロセスを詳しくご紹介します。

①壁式RC造かラーメン造を選ぶ

鉄筋コンクリート住宅を建てる際には、まず壁式RC造とラーメン造のいずれかを選択する必要があります。

• 壁式RC造は、耐力壁が建物の構造を支える方式で、室内に柱や梁が少なく、すっきりとした空間を作ることができます。耐震性にも優れており、小規模な住宅やマンションに適しています。
• ラーメン造は、柱と梁によって建物の構造を支える方式です。広々とした大空間を自由に設計できることが特徴で、店舗併用住宅や大規模な邸宅などに向いています。

TEMPIOでは、耐震性に優れた壁式RC造を推奨しております。

②外断熱か内断熱を選ぶ

② 外断熱か内断熱を選ぶ

RC住宅では、断熱方法として外断熱と内断熱のどちらかを選択することが重要です。

• 外断熱は、建物の外側から断熱材を施工する方法で、躯体自体を外気温の影響から守ります。温度変化が少なく、建物の耐久性が向上するほか、室内空間を広く確保できる利点があります。
• 内断熱は、室内側に断熱材を施工する方法です。

TEMPIOでは、お客様のご予算や求める住環境に最適な断熱方法をご提案し、快適な居住空間の実現をサポートいたします。

施工編

①地盤調査

地盤調査

建物の支持地盤の深さや強度を確認します。ケースバイケースですが、ボーリングと呼ばれる工法や、スウェーデン式サウンディングと呼ばれる工法で調査します（写真はボーリング）。建物は建物だけが丈夫でも意味がありません。適切な支持地盤に、適切な方法で建物の加重を伝えないと、建物が不同沈下を起こしたり、液状化によって建物がかたがるリスクがあります。

鉄筋コンクリート造の住宅は一般的にはボーリング工法によって地盤調査が行われます。ボーリング調査は、地面に棒を突き刺すだけのスウェーデン式サウンディングと違い、地面の中の土の強度を調査しながら、土質を調査する為に、土のサンプルを1ｍ事に採取します。地盤調査において、この土質の調査が何よりも重要で、液状化の調査や建物の荷重が地盤にかかった時の地盤の沈下量の測定等にも役に立ちます。そもそも、地盤の強度は土質が解らないと判断する事は出来ないので、土質の調査が出来ないスウェーデン式サウンディングは、軽微な建物向けの簡易試験となります。鉄筋コンクリート造の住宅は軽微な建物（法的に構造計算の提出が必要のない建物）には該当しないので、一般的にはボーリング調査を行い、適切に地盤の強度を測量する事になります。

②地鎮祭

地鎮祭

土地の神様に工事の無事をお祈りします。神主様はエリア毎に担当する神社が決まっていたりしますが、地域によって考え方が違うので、確認する必要があります。玉ぐし料（神主様にお支払いします）が必要で、地域差がありますが3万円や3.5万円程度のケースが多いです。地鎮祭（建物の敷地で行う）だと、台風や大雨の日に延期する必要があるので、祈願祭として、敷地の近くの神社でお参りするケースも増えています。

②地盤改良工事　or　杭工事

地盤調査の結果に基づき、地盤改良工事か杭工事を選択する事になります。支持地盤（比較的硬い地盤）の深さが浅い場合は、地盤改良が必要の無い土地もあります。都内で言うと、相対的に下町側や海側が支持地盤が深く、山側に移動するにしたがって支持地盤が浅くなる（地盤改良工事の費用が少なくなる）傾向にあります。詳しくは東京の地盤を検索して、建物の付近のボーリングデーターを調べるとある程度の情報が手にはいります。

地盤改良

支持地盤の深さや、土地の状態を考慮して地盤改良の方法を検討します。セメントとその土地の土を撹拌させて表層改良と呼ばれる建物の下部を全て改良する方法と、柱状改良と呼ばれる直径60～80CM程度の改良杭によって支持地盤まで改良する方式があります。支持地盤が表層部分より2Mより深い場合は柱状改良になるケースが多いです（写真は柱状改良）。参考程度ですが、地盤改良は支持地盤は10ｍ以下の深さの時に採用される事が多く、それより深いと杭工事になります。

杭工事

支持地盤が10ｍより深い場合は杭工事を採用する事になります。杭には鋼管杭、プレキャストコンクリート杭、現場打ち杭等ありますが、ＲＣ住宅では鋼管杭が採用されるケースが多いです。勿論、ケースバイケースなのですが、住宅は敷地が小さい事が多く、鋼管杭は他工法に比べて、敷地が小さくても対応できる工法で、近年主力の工法になります。鋼管杭は、一本をそのまま持ってくるのは長さの関係で難しいので、搬入出来るサイズに切って、現場で溶接等でジョイントして使うのが一般的です。

③防湿シート工事

防湿シート工事

コンクリート自体にある程度の防湿性があるので、べた基礎や土間スラブを施工した場合は省略される事もありますが、基本的には防湿シートを施工して土間からの湿気の上昇を防ぎます。

④基礎工事

支持地盤の深さによって、地盤改良にするか杭工事にするか決まります。又、地盤改良か杭工事かによって基礎形状が違ってきます。さらに、地盤改良工事も地盤の強度によって、べた基礎にするか布基礎にするかが違ってきます。

べた基礎工事

基礎配筋、基礎型枠を行います。木造住宅に比べて、配筋量やスラブの厚みが極端に大きいので、強度が強いのは勿論、その状態を目で確認する事で、家に対する安心感に繋がります。土間スラブ部分は当然でるがダブル配筋（配筋をスラブの上下に入れる）になります。耐圧版設計において、シングル配筋（配筋をスラブの真ん中のみに入れる）にする考え方は簡易な考え方になります。建物の荷重を均等に地盤に伝える為には耐圧版を強固にする必要があります。

布基礎工事

比較的支持強度の高い地盤の場合は、布基礎＋柱状改良で基礎を作ります。

杭基礎工事

杭基礎は杭の支点間距離が長くなるので、基礎梁が大きくなります。敷地が狭い場合は、隣地から建物までの距離も重要になり、50ｃｍ程度は建物を境界線から離す必要があります。（付近の状況や施工方法によってはもう少し隣地に寄せられるケースがあります）

⑤基礎コンクリート打設

基礎配筋と基礎型枠工事が終了したら、基礎のコンクリートを打設します。

コンクリート打設

基礎コンクリートを打設します。

⑥壁配筋工事

壁配筋工事

壁配筋を行います（型枠から先に施工するケースもあります）。壁配筋はダブル配筋で行います。壁型枠の一番下の木材は壁の水平を取り直す為や、壁型枠の固定用に使います。

⑦壁型枠工事

壁型枠工事

壁型枠を施工します。コンクリート打ちっ放し部分は塗装合板を使用します。打ちっ放し部分以外は、古い塗装合板や塗装されていない一般型枠で施工します。型枠の組み方には、横組みと縦組みがあり、敷地の状況や地域性によってもケースバイケースでセレクトします。一般的に横組みは幅1800の組みあがったパネルをレッカーで型枠を釣り上げる事になるので、周りが開放されている広い敷地の場合に採用出来ます。狭い敷地だと内部から型枠を上階に上げていく事になるので、巾600の縦貼りで作る事になります。

外断熱型枠工事

外断熱を採用する場合は、外部側の型枠を外断熱用の断熱型枠を採用します。外断熱を採用する場合は、外壁の仕上げ材や窓の選定によって施工方法が違ってくるので、ケースバイケースでやり方を検討します。

型枠が横と縦のデザイン的な違い

巾600、縦貼（パネルのラインが600巾で入っている）

巾600　縦貼り

巾1800横貼

巾1800横貼

⑧スラブ型枠工事

スラブ型枠工事

スラブ（床とか屋根の事です）型枠を施工した後に、スラブ配筋を行います。電気配線が後から出来るように、から配管（写真のオレンジ色の配管）を設置します。

⑨コンクリート打設工事

コンクリート打設

コンクリートを流し込みます。打設工の方がコンクリートを流し込み、型枠にコンクリートが充填するようにバイブレーターをかけたり、木づちで型枠を叩いたりします。左官やさんがスラブを均します。

建物の階数が増えれば、配筋→型枠→コンクリート打設を繰り返して、上階を作っていきます。

⑩サッシ取り付け工事

RC住宅の場合は、ＲＣ造用のサッシを溶接によって強固にコンクリートの躯体にサッシを固定します。外断熱の場合は当社の場合は、断熱型枠に木造住宅用のサッシを固定しています。

ＲＣ造用サッシ取付

⑪断熱工事

断熱工事、壁下地工事

ウレタン断熱材を壁と屋根の内側に吹き付けます。一階床下にはボード状断熱材を施工します。屋根面の外側にもボード状断熱材を施工します。

断熱工事が終わったら、スタッドと呼ばれる軽量鉄骨下地にて、壁の下地を作ります。

外壁側や内部にコンクリート壁がある部分は、GL工法と呼ばれる、モルタル団子を壁下地に利用した工法で施工するケースもあります。

⑫内装工事

内装は様々なものを施工する事が可能です。コンクリート建築だからと言って採用出来ない材料はありません。

内装工事

床を貼って、ボードを貼れば後は、クロスを貼って、照明器具を付ければ完成です。コンクリート住宅は内装部分にもコンクリートの躯体をアクセントとして内装デザインに使う事も多いです。

内装工事の参考事例

⑬防水工事　or 屋根工事

一般的に木造住宅では簡易防水であるFRP防水（防水塗膜が硬いので、簡易で小さな面積向け）が採用されていますが、鉄筋コンクリート住宅の場合は、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水からセレクトされるケースが大半です。
当社の場合は、屋根工事を採用する事も多く、屋根工事にすれば防水のやり替えが不要で、かつ防水工事に比べると防水性の高い状態に建物を作る事が可能です。

防水工事

当社では実績と耐久性に優れた、アスファルト防水＋押さえコンクリート（防水層の保護）を採用するケースが多いです。当社では屋根面は外断熱＋内断熱を基本仕様としています。アスファルト防水の特長として、耐荷重性が高いので防水層の外側に断熱材を敷いて、断熱材の外側にコンクリート土間を施工する事が出来ます。この仕様により、防水層が断熱材で覆われているので、防水層の外部の熱による変形が抑えられ、紫外線からも保護する事で、防水の耐久性を上げる事が可能です。

屋根工事

鉄筋コンクリート住宅でも木造住宅と同じように、屋根を設置する事は可能です。当社の場合は、屋根を採用する場合にのみ太陽光パネルを設置しています。陸屋根に設置する事も可能ですが、止水性に問題があるので、当社では採用しておりません。太陽光パネルは漏水の原因になりやすいので、当社では漏水リスクの低い縦ハゼ葺きの板金屋根を採用し、キャッチ工法で施工した場合のみ太陽光パネルを設置しております。

⑭屋上工事

屋上工事

鉄筋コンクリート住宅の屋上は、木造や鉄骨造と違い押さえコンクリートで仕上げる事が可能です。これにより、屋上空間を非常に自由に使用する事が可能です。防水層が露出している場合、サンダルで歩いたりするだけで防水層を傷つける事になりますし、走って使用するなんてもっての他です。押さえコンクリート仕様のバルコニーは、屋上でバーベキューをする事も可能なくらいタフな使い方が可能です。防水層が露出している場合、バーベキューの火の粉が床に付いたら防水が溶けてしまいます。

⑮造作浴室工事

造作浴室工事

ユニットバスを置くことが一般的ですが、鉄筋コンクリート住宅の場合、二階でも造作浴室を施工する事も可能です。通常、造作浴室は漏水のリスクが高く、二階に制作するのは一階に設置するよりも極端にリスクが上がります。ですが、鉄筋コンクリート造の場合、躯体がコンクリートなので水がしみ込んでも腐らない、コンクリートのスラブ自体に止水性がある、構造体の変形が木造に比べて極端に小さく防水層の破断のリスクが少ない等のメリットがあり、二階以上の造作浴室の工事にも対応可能です。

浴室工事の参考事例

⑯造作サウナ工事

鉄筋コンクリート住宅の場合、湿気に強いので造作サウナを設置する事も可能です。木造の場合、木が湿気で腐ってしまうので造作サウナは非常にリスクの高い工事になります。鉄骨造の場合は、鉄が湿気で錆びるので、木造住宅よりはリスクは低いと思われますが一定のリスクが発生します。

⑰設備機器や家具の搬入

内装が仕上がったら、家具やトイレ、キッチン等の設備機器を取り付けます。

⑱外部塗装工事、外部配管工事

敷地が狭い場合は、通常基礎に先行して外部配管工事を行いますが、敷地に余裕がある場合や最後に施工したりします。

外部塗装工事、外部配管工事

コンクリート部分の保護の為に塗装を行います。塗装が終わったら足場を片付けて、外部の設備配管を行います（外部配管はスペースが無い場合は先行して行う事も多いです）。
当社では、コンクリート打ちっ放し部分も耐久性の向上や美観の維持の為にランデックス塗装を行っています。ランデックス塗装は、コンクリート打ちっ放し部に採用される最も普及している塗装で、コンクリ―トの表情に多様な施工方法があるので採用しています。

⑲外構工事

外構工事

外部の擁壁を作ったり、コンクリート土間を施工して完成です。植栽がある場合は、最後に植栽を植えます。

⑳完成

RC造　解説動画一覧　→

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