富山県中の土地を探して、なんとか買える価格で自分好みの土地に出会いました。
その土地は、インターも近く交通の便が悪くない土地でありながら、田んぼ越しに山並みが広がる開放的な土地でした。
この土地にどんな建物を建てよう、、、
私はワクワクしながら毎日毎日検討しました。
この機会に建築家として成長するんだと息巻いて、色んな事を調べて、色んなデザインを検討しました。
すると、私のなかで二つの経験がくっくり顔を出してきました。
書道と陶芸の経験です。敷地を半紙と見立てバランスを見たり、CGで立体的に作る感覚が陶芸を作っている感覚でデザインできるようになりました。一つの建築を突き詰める事で、自分の中のデザイン的な感覚が磨かれていったのです。
そうして色んなプランを模索する事で、紆余曲折しながら自邸のデザインは決まっていったのです。
プランの他にも決めなくてはならない事がありました。
それは建物の仕様をどうするかです。
と言っても、鉄筋コンクリート住宅の専門書籍はほとんどなく、どうやって建物の仕様を構成していくかは、全くの手探りでした。
ですが人生を思い返すと、二つの鉄筋コンクリート住宅に住んだ事があるのに気が付きました。大学生の時に住んでいた学生寮と、一人暮らししていたマンションに住んだ経験がありました。
大学寮は全く断熱されておらず、快適とは言えない建物でしたが、コタツを置いたりストーブを付けると別に寒いとは思いませんでした。夏はエアコンが無かったので暑かったですが、除湿機を付けるとなんとかなり、そこまで住み心地が悪かった印象はありません。
マンションの方は三階建ての小さなマンションで壁式RC造でした。周りから全く音が聞こえないので、凄く快適に暮らせました。こちらはエアコンもあり、暖かく涼しく過ごせた印象があります。学生なんで、冬はコタツで夏は我慢出来ない時だけエアコンを付けていましたが、個人的には快適性に不満はありませんらでした。今、思うと、木造のアパートに比べると遥かに住み心地の良い建物だったと思います。
あ〜鉄筋コンクリート住宅って、あんな感じか〜
別にある程度断熱すれば問題なさそうだな、、、そう思いました。
当時私にとって最優先は、コンクリート建築のデザインであって性能ではありませんでした。性能は、住むのに問題無い程度であれば許容範囲内でした。
フラット35で住宅ローンを組む予定だったので、フラット35の断熱仕様にしとけば、最低限住める程度の性能にはなっているだろう、と、気軽な感じで建物仕様を決めていきました。そんなに断熱の事を気軽に決めれたのは、それまで数多くの断熱していない建築を見てきた経験や、断熱していない寮でも問題ない程度に快適に過ごせた経験からです。むしろ、断熱していなくてもなんとかなるんじゃないか!そう思っていました。
とは言え、ある程度は暖かく住みたかったので、窓は当時、普及率50%弱だったアルミ樹脂複合サッシにして、ガラス窓は勿論、ガラス壁の部分もペアガラスにして、市場の標準をやや下回る程度の断熱性能の建物にしました。
この図面の建物がどの程度の快適性になるかという話は勿論あるのですが、当時の私にはそれよりも遥かに重要な問題がありました。
それは、建物の金額が借りられる範囲内に納まるかと言う事でした。当時、私は起業して5年目くらいで年収が400万円代、借りられる金額が3000万円程度でした。この範囲内に予算が納まるのだろうか、、ドキドキしながら入札を行いました。