カビの発生条件・腐朽菌との違い・カビが生える住宅の特徴
住宅のトラブルの中でも、特に多いのがカビ問題です。
「新築なのにカビが生えた」
「壁の中でカビが発生していると言われた」
「北側の部屋だけカビが出る」
このような相談は非常に多くあります。
しかし実は、カビは偶然発生するものではありません。
カビが発生する家には共通した条件があります。
この記事では建築の専門家の視点から
カビとは何か
カビの広がり方
カビの発生条件
カビと腐朽菌の違い
カビが発生しやすい家の特徴
について分かりやすく解説します。
カビとは何か?実はキノコと同じ菌類
カビは植物ではなく、**菌類(きんるい)**です。
つまり、キノコと同じ仲間です。
キノコは目に見える大きさまで成長した菌ですが、
カビは微細な菌糸の集合体です。
カビは
菌糸(きんし)
と呼ばれる細い糸のような構造を伸ばしながら成長します。
そして菌糸の先端で
胞子(ほうし)
を作り、この胞子が空気中に飛び散ることで増殖します。
実はカビの胞子は、
常に空気中に存在しています。
つまり、住宅の中にもカビの胞子は存在しています。
カビが発生するかどうかは
胞子があるかどうかではなく、繁殖できる環境かどうかで決まります。
カビの広がり方
カビは表面に少し付着するだけではありません。
カビは菌糸を伸ばしながら、
材料の内部にまで侵入していきます。
例えば住宅では
壁紙(クロス)
木材
接着剤
石膏ボード
ほこり
などを栄養にして広がります。
一度カビが根を張ると、
表面を拭き取るだけでは完全に除去することはできません。
特に住宅で問題になるのは
壁の内部で発生するカビ(壁内カビ)
です。
これは表面から見えないため、
気づいた時には広範囲に広がっていることがあります。
カビの発生条件
カビが繁殖するためには、主に次の4つの条件が必要です。
①湿度(最も重要)
カビの繁殖に最も重要なのが湿度です。
一般的に
湿度60%以上
↓
カビが活発化
湿度70〜80%
↓
急激に繁殖
つまり湿度の高い住宅環境は、
カビにとって非常に好条件になります。
②温度
カビが最も増えやすい温度は
20〜30℃
です。
これは人間が快適と感じる温度とほぼ同じです。
つまり、住宅の室内環境は
カビにとっても理想的な温度と言えます。
③栄養
カビは様々な有機物を栄養にします。
住宅では
木材
壁紙
接着剤
ほこり
石膏ボードの紙
などが栄養になります。
つまり一般的な住宅は、
カビの栄養が非常に多い環境です。
④酸素
カビは生物なので、酸素が必要です。
そのため完全に密閉された環境では
カビは繁殖できません。
しかし住宅内では空気が存在するため、
この条件は常に満たされています。
カビと腐朽菌の違い
カビとよく混同されるのが
腐朽菌(ふきゅうきん)
です。
両者には大きな違いがあります。
| 項目 | カビ | 腐朽菌 |
|---|---|---|
| 栄養 | 表面の有機物 | 木材 |
| 影響 | 見た目・健康被害 | 構造劣化 |
| 危険性 | 中程度 | 非常に高い |
腐朽菌は木材を分解する菌です。
つまり腐朽菌が発生すると
住宅の構造そのものが劣化します。
木造住宅では
腐朽菌
シロアリ
この2つが大きなリスクになります。
カビが発生しやすい家の特徴
住宅の設計によって、カビの発生リスクは大きく変わります。
ここではカビが発生しやすい住宅の特徴を紹介します。
①断熱性能が低い住宅
断熱性能が低い住宅では
結露が発生しやすくなります。
結露は水分です。
つまりカビにとって最も重要な条件である
湿度が発生する原因になります。
特に
北側の壁
窓周り
押入れ
などは結露が発生しやすい場所です。
②気密性能が中途半端な住宅
気密が低い住宅では
外部の湿気が壁の中に入り込みます。
すると
壁内で結露が発生
↓
壁内カビ発生
という問題が起きます。
これは表面から見えないため、
非常に厄介な住宅トラブルです。
③換気設計が不十分な住宅
住宅では空気の流れが重要です。
換気がうまく設計されていないと
押入れ
クローゼット
北側の部屋
などで湿気が滞留します。
湿気が滞留すると
カビが発生しやすくなります。
④木材が湿りやすい構造
木造住宅では
湿気
温度
栄養
が揃うと
カビや腐朽菌が発生するリスクがあります。
特に壁の内部で発生する場合、
長期間気付かないこともあります。
RC住宅はカビが発生しにくい構造
鉄筋コンクリート住宅(RC住宅)は、
木造住宅と比べてカビのリスクが低い構造です。
その理由は大きく2つあります。
木材が構造材ではない
RC住宅では木材が主要構造材ではありません。
そのため
腐朽菌が発生するリスクが極めて低いです。
コンクリートは有機物ではない
カビは有機物を栄養にします。
コンクリートは無機材料のため、
カビの栄養になりにくい素材です。
そのため構造的に
カビの発生リスクを抑えやすい住宅構造と言えます。
まとめ
カビが発生する条件は次の4つです。
湿度
温度
栄養
酸素
この条件が揃うとカビは繁殖します。
そして住宅においては
住み方よりも家の構造や設計が大きく影響します。
カビの発生を防ぐためには
断熱性能
気密性能
換気設計
建築材料
などを総合的に考えた住宅設計が重要です。
住宅はデザインだけではなく
建築科学に基づいた設計が必要です。