工法解説

内断熱・外断熱・両断熱を徹底比較|RC住宅で本当に選ぶべき断熱工法とは?

はじめに|断熱工法で住宅の性能はすべて決まる

住宅の快適性・省エネ性能・寿命は、断熱工法に影響を受けます。

ですが、一般的に言われているほど、断熱の方法で快適性に差が無いのも事実!

本記事では、

  • 内断熱とは何か
  • 外断熱とは何か
  • 両断熱とは何か
  • それぞれのメリット・デメリット
  • RC住宅に最適な断熱方法

を、設計のプロ視点で解説します。


内断熱とは?|一般的なバランスの良い断熱方法

内断熱とは、建物の室内側に断熱材を施工する方法です。
*ここで言う内断熱は、蓄熱体(コンクリート)の内側に断熱する事を指し、木造住宅で採用されている内貼り断熱とは区別して述べています。

特徴

  • 壁の内側に断熱材を入れる
  • 鉄筋コンクリート造で最も普及している工法

メリット

  • コストが安い
  • 施工が容易
    -工期が短い
  • メンテナンスがしやすい
  • コンクリート打ちっ放しの外観に出来る

デメリット

  • コンクリートが外気温の影響を直接受ける
  • 外壁側の躯体が蓄熱しない(*外部のコンクリートはしないが、内部のコンクリートは蓄熱体として利用できる。)
  • 内部結露のリスクが外断熱に比べると高い(実際には、空気の隙間を無くせば結露はしない)

結論

内断熱であっても、適切な断熱設計と設備計画を行えば、十分快適な住環境を実現することは可能です。

しかし、コンクリートの大きな特長である「蓄熱性」は、外断熱に比べると十分に活かしきれない点があります。これは、室内側とコンクリート躯体が断熱材によって切り離されるためです。

一方で内断熱には、外装のメンテナンス性に優れるという明確なメリットがあります。特に打ち放しコンクリートの外観をそのまま表現できるため、コンクリート建築ならではの質感やデザイン性を最大限に活かすことが可能です。

また、万が一壁内で結露が発生した場合でも、コンクリートは水分によって腐朽する材料ではないため、木造のように腐朽菌の発生や構造劣化につながるリスクは極めて低いと言えます。

さらに、カビの発生には「水分・空気・栄養」の3要素が必要ですが、高性能なウレタン断熱材(独立気泡構造)により外壁側を密閉することで空気の流動を抑制でき、カビの発生条件を大きく制限することが可能です。


外断熱とは?|RC住宅の性能を最大化する工法

外断熱とは、建物の外側から断熱材で包む方法です。

特徴

  • コンクリート全体を断熱材で覆う
  • 躯体が室内側にくる

メリット

  • コンクリートの蓄熱性を最大化
  • 室温が安定する(超重要)
  • 結露リスクが低い
  • 建物の耐久性が上がる
  • 内部をコンクリート打ちっ放しにする事ができる。
  • ヒートブリッジとなる場所が少なくなる

デメリット

  • コストが高い
  • 施工難易度が高い
  • 施工会社を選ぶ必要がある
  • メンテナンスがややしにくい

結論

快適性とコンクリートの耐久性を最大限に引き出すのであれば、外断熱工法が最も合理的な選択となります。

当社の施工方法における外断熱では、一般的な鉄筋コンクリート造で採用されるコンクリート用サッシではなく、住宅用サッシを使用できるという大きなメリットがあります。

通常、RC造では躯体に直接サッシを取り付けるため、コンクリート用サッシに限定されますが、製品バリエーションが少なく、断熱性能の高いサッシはコストが大きく上がる傾向があります。

一方、外断熱工法では断熱材に下地がついている商品を使用する事で、木造住宅などで一般的に使用されている高性能な住宅用サッシの採用が可能となります。

これにより、デザインの自由度を確保しながら、高い断熱性能とコストバランスを両立することができます。


両断熱とは?|両断熱にする必要があるのか?

両断熱とは、内断熱+外断熱を併用する方法です。

特徴

  • 外側+内側の両方に断熱材
  • 最高レベルの断熱性能を実現しやすい。

メリット

  • 断熱性能が非常に高く施工しやすい
  • 外気の影響をほぼ遮断
  • 空調効率が極めて良い

デメリット(ここ重要)

  • コンクリートが室内と切り離される
  • 蓄熱性が内断熱と同じになる。
  • 施工完了時、コンクリートの施工状況が確認出来ない

結論

両断熱は、高断熱住宅を実現しやすい一方で、コンクリートの蓄熱性が一部犠牲になる工法です。

外断熱において断熱性能を高めようとし、断熱材を過度に厚くすると、既製品の対応範囲を超えてしまいます。その結果、断熱材を支持するための下地が必要となり、連続した断熱層が分断されるリスクが生じます。

これは、木造住宅の内断熱と同様に断熱材が途切れる状態を生み出し、外断熱本来のメリットである「熱橋の少ない一体的な断熱性能」を損なう要因となります。

そのため当社では、外断熱における断熱材の厚みは100mmを一つの上限として設計しています。

それ以上の断熱性能を求める場合には、室内側に高性能ウレタンによる付加断熱を行い、両断熱とすることで対応します。

ただしこの場合、コンクリート躯体が室内空間から切り離されるため、本来蓄熱体として活用できたコンクリートの効果は一部失われることになります。

さらに問題点として、施工当初、コンクリートの施工状況を確認出来ない問題点があります。内断熱の場合は断熱材は後から施工なので、コンクリートの施工状況を正しく確認できます。外断熱の場合は打ち込み断熱の場合は、型枠が無い側(内側)からコンクリートの施工状況を確認します。両断熱の場合は、両方打ち込みでなければ問題は少ないですが、施工効率を重視して、両方打ち込み断熱にするのは避けるべきです。


内断熱・外断熱・両断熱の比較まとめ

項目内断熱外断熱両断熱
コスト〇安い△ 高い× 最も高い
施工性〇簡単△ 難しい△ 難しい
蓄熱性△少ない〇最大△少ない
室温安定性
結露リスク△少ない〇非常に少ない◎ 非常に少ない
メンテナンス性×コンクリ検査不可

RC住宅で本当に選ぶべき断熱はどれか?

結論をはっきり言います。

デザインやメンテナンスを重視→内断熱
室内環境やコンクリートの耐久性を重視→外断熱
断熱性能を重視→両断熱


なぜ外断熱+全館空調が室内環境、最強なのか

RC住宅では、

外断熱+全館空調

この組み合わせで性能が一気に完成します。

理由は、

  • 蓄熱で温度が安定する
  • 空調負荷が小さくなる
  • 家全体が均一な環境になる

つまり、

「ほぼ温度変化しない家」になります。

これは住んでみないと分からないレベルの快適性です。

ただ、勿論、外断熱の方が理論的にも現実的にも全館空調に合っているのですが、内断熱でも外断熱の4割程度は蓄熱体があります。その蓄熱体を利用して、温度変化の少ない快適な全館空調を利用した住環境を実現するのは十分可能です。私自身、内断熱の住宅に住んでいますが、ビックリするような蓄熱性が建物にあります。夜、外部が冷え込んでも、蓄熱体によって、冷え込みが緩和され、鉄筋コンクリート住宅の温度を均一化する能力に驚いています。


注意点|断熱は「工法」より「設計力」で決まる

ここを間違える人が多いですが、

断熱は工法だけでは決まりません。

重要なのは、

  • 熱橋処理
  • 開口部(窓)の性能
  • 気密性
  • 空調設計

です。

特にRC住宅は、

窓性能も重要なので、断熱工法と合わせて選定しましょう。
窓の選び方については、次回のブログで解説します。


まとめ|断熱選びで失敗しないために

最後にまとめます。

実は、RC住宅で一番大切な事は誰が設計するかです。
コンクリートの蓄熱性を生かしながら設計すれば、内断熱でも非常に快適な住環境を実現できます。
逆に、何も考えないで設計すると、外断熱でも不快な住環境になってしまいます。

RC住宅の事を熟知した設計者に家づくりを依頼しましょう。


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