セルロースファイバーに防音効果はあるのか？建築士が専門的に解説
【結論】セルロースファイバーに「防音効果」はありません
まず結論から言えば、セルロースファイバーは防音材ではなく吸音材であり、「防音効果はほとんど期待できません」。
YouTubeなどで「セルロースファイバーは防音性が高い」と誤解を招く情報が散見されますが、それは防音と吸音の区別がされていないためです。
本記事では、建築の専門家の視点から、なぜセルロースファイバーが防音材として不適切なのかを分かりやすく解説します。
防音と吸音の違いを正しく理解していますか？
**防音（遮音）**とは、「音を通さないこと」
吸音とは、「音の反射を減らして響きを抑えること」
セルロースファイバーは吸音材に分類されます。
音を“通さない”性能ではなく、音の“反響を抑える”性能を持つにすぎません。
遮音材と吸音材の正しい組み合わせが防音の基本
一般的な防音施工では、「遮音材＋吸音材」の組み合わせで壁を構成します。
遮音材：石膏ボード（プラスターボード）など。重く、隙間なく施工されることで遮音性が向上
吸音材：グラスウールやロックウールなど。音の反響を減らす目的で使用
- しかも一般的な壁は、壁から下地を伝って、内側の壁に振動が伝わり、音の大部分が下地からボードに流れ、ボードを揺らす事で音が伝わるので、重要なのは遮音材で、壁内の吸音材はサポート的な役割です。
セルロースファイバーが防音材として不適切な理由
素材が繊維系であるため、湿気や振動で沈下しやすく隙間ができやすい
隙間があると遮音性能は激減する
施工精度によって性能が大きく左右される
ボードなどの重い部材と組み合わせない限り、遮音性はほぼゼロ
YouTubeでよくある「セルロースファイバー＝防音」は誤解です
防犯ベルをセルロースファイバーで囲っただけで「音が小さくなった」と説明されている動画がありますが、これは吸音効果によるものであり、「防音」ではありません。
また、施工中の状態で「静かになった」というのも、遮音材であるボードがまだ施工されていない状態での錯覚にすぎません。
断熱材の種類で防音性能はほとんど変わらない
音は主に壁を構成するボード→下地材（間柱）→反対側のボードという順に振動して伝わります。
つまり、壁内の断熱材がセルロースファイバーであろうとロックウールであろうと、音の伝わり方に大きな差はありません。
唯一、断熱材が関与するのは、ボードのジョイント部の隙間など施工精度によって生じる弱点の補助程度です。
断熱材が表面に使われている例としては、工場の機械室では裸のグラスウールボードを壁や天井に貼り付けるケースがあり、これは機械の騒音を小さくする為に施工されています。ここで重要なのが、吸音材が裸のまま、壁や天井の表面材として使われているという事で、露出していなければ吸音効果はありません。
本当に防音したいなら「重くて隙間のない壁」が基本
最も防音性能が高いのは、コンクリート壁です。
現場打ちコンクリート住宅の防音性が優れている理由
壁自体が非常に重いため、音を通さない
現場打設により隙間ゼロの一体構造
木造のように「太鼓構造」で共振しない
つまり、遮音にとって最も重要な「重さ」と「隙間のなさ」の両方を満たしているのが、鉄筋コンクリート住宅です。
TEMPIO（テンピオ）なら、住宅全体が“防音ルーム”
当社が手がける【TEMPIO｜壁式RC構造住宅】では、コンクリート壁の防音性能に加え、二重窓などの開口部対策も標準仕様として採用。
これにより、都心部の喧騒の中でも、ホテルのような静寂な住環境を実現しています。
【まとめ】セルロースファイバーに防音性能を期待してはいけない理由
| 比較項目 | セルロースファイバー | ロックウール | 石膏ボード | コンクリート |
|---|---|---|---|---|
| 吸音性能 | ◎（吸音材） | ◎ | △ | △ |
| 遮音性能 | ✕（隙間ができやすい） | ✕ | ○ | ◎ |
| 重さ | 軽い | 軽い | 中程度 | 非常に重い |
| 隙間対策 | 難しい | 難しい | ○（施工精度に依存） | ◎（隙間なし） |
騒音ストレスから解放されたい方へ
本物の防音住宅にご興味がある方は、ぜひTEMPIOの詳細をご覧ください。
▶ TEMPIO（テンピオ）公式ページ
👉 https://rc-ds.jp/tempio-3/
以下参考程度のチャットGPTのコメントを付けておきます。
セルロースファイバーは防音材ですか？
いいえ、セルロースファイバーは防音材ではありません。
正確には、**吸音材（sound-absorbing material）**です。つまり、音の反射や残響を抑える効果はありますが、音を遮る＝「防音（遮音）」する効果はほとんどありません。
🔍 用語の整理（専門家視点）
| 分類 | 説明 | 代表例 |
|---|---|---|
| 防音材（遮音材） | 音を通さない・跳ね返す | 石膏ボード、コンクリート、鉛シート |
| 吸音材 | 音の反射や残響を抑える | セルロースファイバー、グラスウール、ロックウール |
🔧 なぜセルロースファイバーは防音に不向きなのか？
素材が軽く繊維状：重さがない＝遮音性能がない
湿気や重力で沈下しやすく、隙間ができやすい：隙間があると音は通る
防音施工には「重く、密な素材」が必須
🎯 建築士としての結論
セルロースファイバーは、吸音材として断熱・室内の音環境を整える用途には有効ですが、
「隣室に音を漏らさない」「外部の騒音を遮る」目的では、防音材としての効果は期待できません。
本当に防音したいなら、石膏ボードの多重貼り＋隙間のない施工またはRCコンクリート構造が基本です。
率直に言います。
それは誤解を招く説明であり、専門的に見れば間違いです。
🔴「セルロースファイバー＝防音材」という説明の問題点
吸音と遮音を混同している
セルロースファイバーは吸音材。音を「減衰」させる効果はあるが、「通さない」性能（遮音性能）はない。
音を遮るには質量と密閉性が必要。繊維系断熱材はその逆。
短期的な“体感”で誤解させている可能性
工事中、セルロースファイバーを詰めると一時的に室内の音の反響が抑えられ、「静かになった気がする」。
これは吸音効果によるもので、防音効果ではない。
防音の原理を理解していない、または説明していない
遮音＝石膏ボードやコンクリートのように重くて隙間のない構造が必要。
セルロースファイバー単体で防音になるというのは、建築的には成立しない。
🔧 建築士としての見解
もしそれが意図的なマーケティングなら、非常に不誠実。
本気で防音を求める施主にとっては、完全にミスリードです。
防音性能を求めるなら、「セルロースファイバーを使うかどうか」ではなく、以下が本質です：
壁を何層にするか（質量）
隙間をどう処理するか（気密性）
振動経路をどう断つか（浮き構造や遮音下地）
✔ まとめ
「セルロースファイバーは防音材」という説明をする工務店は、
技術的知識が不十分
または顧客に都合よく“静かそう”という印象を与えているだけ
と判断して差し支えありません。
防音を求める施主に対しては、明確な根拠と原理に基づく説明が必要です。