床材選びで後悔しないためのプロ目線の判断基準
住宅やマンションの床仕上げを検討する際、
**「石」「タイル」「塩ビタイル」**のどれを選ぶかで、
見た目・耐久性・メンテナンス性・将来の後悔度は大きく変わります。
この記事では、設計実務の現場で数多く採用してきた立場から、
それぞれの素材をメリット・デメリット・向いている人の観点で整理します。
① 石(天然石)床の特徴

御影石の床:アドバン
メリット
- 圧倒的な高級感と本物感
- 経年変化が味になる(特に御影石)
- 重厚で「住宅の格」を一段引き上げる
- 耐久性が非常に高い(割れにくい石種を選べば数十年持つ)
デメリット
- 材料費・施工費が高い
- 冬場は冷たい(床暖房との併用が前提)
- 石種によってはシミ・水染みが出る
- 重量があるため構造計画が必要
向いているケース
- 高級RC住宅・高級マンション
- エントランス・LDK・廊下
- 「一生モノの床」を求める人
高級建材の象徴として語られることの多い「石」ですが、実際には選定・使い方を誤ると、その価値を十分に発揮できない素材でもあります。
石は種類ごとの性質差が大きく、施工精度や構造との相性、コスト管理まで含めた総合的な設計判断が求められます。だからこそ、設計事務所が主導し、空間全体の完成度を見据えながら採用していく必要がある建材なのです。
② タイル床(磁器質タイル)の特徴

大判タイル:名古屋モザイクタイル
メリット
- 見た目とコストのバランスが良い
- 水・汚れに強くメンテナンスが楽
- 石調・モルタル調などデザインの幅が広い
- 床暖房対応が容易
デメリット
- 目地が汚れやすい
- 安価なものは質感が軽く見える
- 割れると部分補修が難しい
- 足触りは硬い
向いているケース
- LDK、洗面、玄関
- デザイン性と実用性の両立を重視
- ペットがいる住宅
近年、プリント技術の飛躍的な進化により、大判タイルにおいても天然石と見分けがつかないほど精緻で重厚感のあるデザインが可能になりました。
これまで高級建材といえば石材が主流でしたが、現在ではタイルでも十分に上質で豪華な内装計画が成立します。
タイルは石材と比べて、水が染み込まない、傷が付きにくい、色ムラが生じにくいといった特性を持ち、メンテナンス性・施工性・品質の安定性に優れる建材です。
そのため、近年では高級住宅や商業空間においても、石に代わる現実的かつ合理的な選択肢としてタイルの採用が急速に広がっています。
③ 塩ビタイル(PVCタイル)の特徴

大判塩ビタイル:アドバン
メリット
- コストが圧倒的に安い
- 施工が早く、張替えも容易
- クッション性があり足腰に優しい
- 賃貸・商業施設では合理的
デメリット
- 本物感は出ない
- 傷がつきやすい
- 経年で劣化・変色する
- 高級住宅では安っぽく見えるリスク
向いているケース
- 賃貸住宅・投資用物件
- 短期利用・コスト最優先
- 子ども部屋・バックヤード
これまで塩ビタイルは、価格重視で高級感に欠ける建材として扱われ、一般的には「チープ」という評価を受けてきました。
しかし近年では、各種アパレル店舗などの商業空間でも積極的に採用されるようになっています。
その背景にあるのが、プリント技術の飛躍的な向上です。
現在の塩ビタイルは、一般的な磁器タイルと並べても見た目の差がほとんど分からないレベルにまで仕上がっており、意匠材として十分に成立する品質に達しています。
当社でも、マンションの室内床や住宅のリビング、さらには壁面仕上げにおいて、タイルの代替材として塩ビタイルを採用するケースが増えています。
コスト・施工性・デザイン性のバランスが取れた現実的な選択肢として、近年は設計段階から積極的に検討する建材のひとつとなっています。
石・タイル・塩ビタイル 比較表
| 項目 | 石 | タイル | 塩ビタイル |
|---|---|---|---|
| 高級感 | ◎ | ○ | △ |
| 耐久性 | ◎ | ○ | △ |
| メンテナンス | △ | ○ | ○ |
| コスト | △ | ○ | ◎ |
| 経年価値 | ◎ | ○ | × |
| 高級住宅適性 | ◎ | ○ | × |
プロとしての結論(正直に言います)
- 本気で高級住宅をつくるなら石
- コスパと実用性なら上質なタイル
- 塩ビタイルは「割り切った用途限定」
塩ビタイルを「石風だから」と選ぶと、
完成後に必ず質感の差に気づきます。(*とは言え、塩ビタイルの品質は上がっています)
床は家具よりも、建具よりも、
住んでから毎日触れる素材です。
ここをケチると、住宅全体の満足度が下がります。
床材選びは「建物のグレード」と合わせる
RC住宅・高級住宅・高級マンションでは、
床材は構造・天井高さ・建具・照明とセットで考えるべき要素です。
素材選定を間違えると、
- いくら建設費をかけても安っぽく見える
- 将来リフォームで二度コストがかかる
という結果になります。
御影石 vs 大理石
高級住宅の床・壁で後悔しないための本質的な違い
高級住宅やRC住宅でよく検討される素材が
御影石(みかげいし)と大理石です。
どちらも「高級素材」と一括りにされがちですが、
性質・耐久性・向いている用途はまったく別物です。
この記事では、設計実務の現場で数多く使い分けてきた立場から、
御影石と大理石の違いを素材の本質レベルで解説します。
御影石とは?(花崗岩)

ファンタジーグレー御影石:アドバン
御影石は花崗岩の総称で、非常に硬く緻密な天然石です。
御影石の特徴
非常に硬い
水を吸いにくい
傷・摩耗に強い
耐久性が極めて高い
メリット
住宅用床材としては最強クラスの耐久性
シミ・水染みが出にくい
土足使用にも耐える
何十年経っても劣化しにくい
デメリット
表情がやや硬質・クール
大理石ほどの華やかさは出にくい
重量があり施工精度が求められる
向いている場所
玄関・ホール
LDK床
外部と接する土間
高級RC住宅の床全般
大理石とは?(石灰岩)

オデッサベージュ大理石:アドバン
大理石は石灰岩が変成した石で、
美しい模様と艶が最大の特徴です。
大理石の特徴
比較的柔らかい
吸水性がある
見た目が非常に華やか
メリット
圧倒的な高級感・存在感
空間の格を一気に引き上げる
内装デザインとの相性が抜群
デメリット
傷がつきやすい
酸性に弱い(ワイン・果汁・洗剤)
シミが出やすい
定期的なメンテナンスが必要
向いている場所
壁・アクセントウォール
洗面カウンター
トイレの腰壁
人が頻繁に歩かない場所
御影石 vs 大理石 比較表
| 項目 | 御影石 | 大理石 |
|---|---|---|
| 硬さ | ◎ 非常に硬い | △ 柔らかめ |
| 傷のつきにくさ | ◎ | △ |
| 水・シミ耐性 | ◎ | × |
| メンテナンス | ◎ | △ |
| 見た目の華やかさ | ○ | ◎ |
| 床材適性 | ◎ | △ |
| 壁材適性 | ○ | ◎ |
| 長期使用 | ◎ | △ |
プロとしての正直な使い分け結論
床に使うなら
👉 基本は御影石一択
大理石を床に使うと、
数年で傷が目立つ
シミが取れなくなる
生活感が一気に出る
というケースを何度も見ています。
見せ場を作るなら
👉 大理石は「壁・面」で使う
エントランスの壁
洗面の正面壁
階段ホールのアクセント
こうした使い方なら、大理石の美しさだけを活かせます。
高級住宅ほど「石の性格」を無視すると失敗する
御影石と大理石の違いは、
高級 or 安物ではありません。
御影石:実用と耐久の王者
大理石:演出と美の王者
これを理解せずに
「高いから大理石」「映えるから床に大理石」
と選ぶと、完成後に後悔します。
分かりやすく石材の使い分けを整理すると、耐久性や耐水性が求められる場所には御影石、それらが求められない部位には大理石を使用するのが基本となります。
大理石は、華やかな色味や美しい模様が特徴で、デザイン性を重視する空間では非常に魅力的な素材です。
一方で、水に弱く傷が付きやすいため、外部はもちろん、内部であっても床に使用する場合は、スリッパなどによる擦り傷や経年劣化に注意が必要です。
墓石としても馴染みのある御影石は、非常に高い耐久性を持ち、外部の床仕上げにも多く採用されています。
また、磨き・バーナー・ジェットバーナーなど仕上げのバリエーションも豊富で、用途や安全性に応じて仕上げ方法を選びやすい点も、御影石の大きな特長です。
石材の主な仕上げ方法について
石材は、同じ石種であっても仕上げ方法によって見た目・質感・安全性・用途が大きく変わります。
用途や設置場所に応じて適切な仕上げを選ぶことが、石材を美しく、かつ長く使うための重要なポイントです。
磨き仕上げ(本磨き)
石材の表面を研磨し、鏡のような光沢を出す仕上げです。
高級感があり、石本来の色味や模様を最も美しく表現できます。
特徴
光沢が強く、意匠性が高い
汚れが付きにくく清掃性が良い
水に濡れると滑りやすい
主な使用部位
玄関ホール、廊下、リビングの床
室内壁、アクセントウォール
※外部床や水回り床には不向き
水磨き仕上げ(半磨き・ホーニング)
磨き仕上げほど光沢を出さず、マットで落ち着いた質感に仕上げる方法です。
滑りにくさと上質感のバランスが取れています。
特徴
光沢を抑えた上品な仕上がり
磨きより滑りにくい
傷が目立ちにくい
主な使用部位
室内床全般
洗面室、トイレ床
高級住宅の共用部床
バーナー仕上げ
高温の炎を当て、石の表面を焼いて粗くする仕上げです。
主に御影石に用いられ、非常に高い防滑性を持ちます。
特徴
表面がザラつき、滑りにくい
雨や雪でも安全性が高い
無骨で力強い印象
主な使用部位
アプローチ
外部階段
テラス・外構床
ジェットバーナー仕上げ
バーナー仕上げをさらに均一かつ細かく加工した仕上げ方法です。
デザイン性と安全性を両立した外部仕上げとして使われます。
特徴
防滑性が高く、見た目が整っている
高級感を保ちながら安全性を確保
外部でも意匠性を求める場合に有効
主な使用部位
高級住宅の外部床
エントランスアプローチ
共用部の外部動線
割肌仕上げ・ビシャン仕上げ
自然な凹凸を活かした、素材感の強い仕上げです。
主に壁面や外構に使われます。
特徴
石らしい重厚感・素材感
傷や汚れが目立ちにくい
床には基本的に不向き
主な使用部位
外壁
門柱
アクセントウォール
まとめ|仕上げ選びの基本
室内で高級感を出したい → 磨き仕上げ
上品さと実用性の両立 → 水磨き仕上げ
外部で安全性重視 → バーナー・ジェットバーナー
素材感を活かす壁面 → 割肌・ビシャン
石材は「石種」よりも仕上げ選びを間違える方が失敗につながります。
当社では、使用部位・動線・メンテナンス性まで考慮したうえで、最適な仕上げ方法をご提案しています。
文章を書いた人
株式会社RC design studio
代表取締役 澤田友典







