【施工事例】連続アーチが美しいRC造(鉄筋コンクリート)の豪邸|傾斜地の難易度を克服した設計・施工


初めて敷地を視察した際、この土地に住宅を建築することが本当に可能なのか、判断に困るほど難しいと感じました。それほど複雑な条件を持った土地でした。

具体的には、敷地の奥側が地下室となる傾斜地であり、隣地側には高さ約6メートルの擁壁が設けられ、一部が深く切り下がった状態でした。高低差のある部分については地下構造で対応可能でしたが、切り下がった土地の処理方法が最大の課題でした。

設計上、切り下がった部分の上にも建物を配置したいという要望があったため、構造的な工夫が必要でした。最終的に、地中梁を跳ね出す設計を採用することで、この課題を解決することができました。この方法は高度な施工技術と構造知識が必要で、非常に難易度の高い設計・施工となりました。

お施主様にお話を伺ったところ、あえて見晴らしの良い傾斜地を購入されたそうです。傾斜地ならではの素晴らしい眺望を最大限に活かし、週末に家でゆっくりとくつろぐライフスタイルを実現されたいとのことでした。また、建物はヨーロッパ調のデザインを望まれており、外観には美しいアーチを連続させるデザインをご提案しました。

敷地の形状は大きな旗竿地であり、その土地の大部分は道路側からは見えない状態でした。道路から奥の敷地へと繋がる通路部分の幅は約6メートルしかなく、この限られた幅をどのようにデザインするかが、外観デザインにおける重要なテーマとなりました。

ここでは、簡単にですが外観デザイン検討の過程をご紹介いたします


こうして振り返ってみると、最終的な形は必然的なものだったように感じられます。お施主様と共に、「屋根を付けるとどうなるか」「ボリュームは小さくても十分ではないか」など、内部のプランニングと併せて様々な角度から検討を重ね、この住宅のデザインを完成させました。

ここでは簡単にですが、その外観デザイン検討の過程をご紹介いたしました。


 

外観デザインを進めると同時に、内部プランニングについても並行して検討しました。このプロジェクトの場合、お施主様のご要望が明確であったため、比較的スムーズにプランニングの方針を定めることができました。具体的なご要望は「眺望を楽しみながら家でリラックスしたい」ということでしたので、必然的に眺望の良い方向にリビング・ダイニング・キッチン(LDK)やバルコニーを配置し、階段や水回り、各居室などは眺望を妨げない方向に計画しました。


眺望が良い側に配置した屋上バルコニー空間でリラックスする計画になっています。


敷地は一方通行の奥にあり、方向転換する為に門扉の前にターンテーブルを置いています。ロートアイアンで制作したゲートは電動式になっていて、車の中からリモコンで開閉する事が可能です。この建物ではロートアインをデザインのアクセントに随所に使用していて、それによってRC住宅にワンランク上のテイストに仕上げています。

アプローチ部分の床に照明を設置し、光のラインが玄関空間へと誘導するデザインとしました。玄関ドアとブラケット照明は、お施主様がロートアイアンのイメージに合わせて選ばれた既製品を使用しています。また、アプローチの床材には天然石の割石を採用し、建物内部は大判タイルを使用することで、外部と内部のデザインにメリハリを持たせました。さらに、玄関前の構造壁にはモールディングを施し、構造的な要素とデザインの一体感を確保しています。

 

玄関を入ると、白を基調としたモダンな印象のインテリアが広がります。シンプルなデザインの中にも、シャンデリアを象徴的に取り入れたり、ロートアイアンの手摺や框戸の扉を採用したりすることで、北欧風のテイストを感じさせる個性的な空間を演出しています。また、1階部分の半分は地下に埋まっており、玄関より奥は完全に地下空間となっています。この静かな地下の特性を活かし、防音ルームを設けました。さらに、インナーガレージからファミリー玄関やファミリークローゼットへ直接アクセスできる動線を計画し、来客用とは別に日常生活に適した機能的な動線を確保しています。

 

LDK空間はワンフロア全体を使った開放的な構成となっています。高度地区における北側斜線制限の中で、可能な限り階高を確保し、リビングの天井高を最大限まで高くしました。大きなシャンデリアを設置できるように天井の高さを確保するとともに、天井の廻り縁には大きめのモールディングを採用し、北欧デザインを現代的にアレンジした空間としました。

この住宅は、家族が休日をゆったりと快適に過ごせることを目的として設計されています。ダイニングスペースを眺望の良い方向に配置し、朝食をとりながら開放的な景色を楽しめるよう工夫しています。また、ダイニングに隣接するバルコニーからは、お子様の送り迎えの様子が自然と目に入る設計となっており、家族の日常にさりげない彩りを添えています。

LDK空間に隣接してサニタリーゾーンがあります。サニタリーゾーンは回遊動線を採用し、効率的に動けるよう計画しました。動線を短縮するとともに、複数人が同時に利用してもお互いが干渉しないよう配慮されています。薄緑色の洗面台はキッチンと同じくクッチーナ製で、デザイン性に優れた空間となっています。また、その他の部分にも造作家具を多用し、機能性とデザイン性を兼ね備えた居心地の良い構成となっています。

 

ダイニング横の螺旋階段を上がると、書斎コーナーへと繋がります。書斎はご主人様が頻繁に使われるスペースであり、ダイニング空間と程よい距離感が保たれているため、使いやすいプランニングとなっています。また、書斎コーナーには眺望の良いバルコニーが隣接しており、仕事の合間に気軽にリフレッシュしたり、ダイニングから気分転換に螺旋階段を上がってバルコニーに出たりすることも可能です。

3階には寝室、子供部屋、予備室が配置され、それぞれ異なる内装デザインを採用し、多彩な空間構成を実現しました。子供部屋は外側が屋根構造となっており、防火規定の関係で外壁に窓を設置できなかったため、トップサイドライトを設けて十分な自然光を取り込んでいます。

リビング空間側からアクセスするメイン階段にはロートアイアンの手摺を用いてデザイン性を高めました。また、2つの階段を設置することで回遊動線を確保し、移動の楽しさを演出しています。このような動線計画は一般的に冬季に冷気が降りてくる問題がありますが、こちらの住宅では全館空調システムを導入しており、建物内の温度を一定に保つことでその問題を解消しています。全館空調により、1階から3階まで連続した空間全体が快適で心地よい住空間となっています。

 

3階の屋根空間にも出ることが可能で、屋上からは街全体を見渡せる開放的な景色を楽しめます。2階のバルコニーと同様に、自宅にいながらリフレッシュできるよう、眺望と開放感を重視して設計しています。この開放的な空間構成は、お施主様がこの土地を選ばれた当初から抱いていた理想であり、この住宅の設計コンセプトそのものと言えます。住宅の性質はコンセプトによって大きく左右されますが、今回はお施主様が明確なビジョンをお持ちだったため、理想に忠実で個性豊かな住まいを実現できたと感じています。「世界にただ一つの家づくり」は、明確なコンセプト設定から始まります。

 

延床面積 490㎡(施工面積529㎡)
地上3階(1階地下部分有)
TEMPIO ISOLAMENTO

 

中庭があるRC住宅の豪邸

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大きなプレイルームがある家

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